トレイルランニングを始めようと思ったとき、最初に迷いやすいのが「どんな装備を揃えればいいのか」ということではないでしょうか。
ロードランニングであれば、ランニングシューズとウェアがあれば比較的気軽に走り始めることができます。
一方、トレイルランニングでは山の中を長時間走ることもあり、ロードとは路面や環境が大きく異なります。
そのため、トレイルランニングシューズやザック、レインウェアなど、ロードランニングでは必ずしも必要ではなかった装備も準備する必要があります。
とはいえ、トレイルランニングを始めるからといって、すべての装備を専用品に買い替える必要はありません。
普段からランニングをしている人であれば、ロードで使用しているウェアやショーツなどを、そのままトレイルランニングで使える場合もあります。
私自身、ロードのマラソンだけでなく、日帰りのトレイルランニングからトレイルランニングレースまで走っていますが、走る距離やコース、天候によって持っていく装備を変えています。
特にトレイルランニングでは、
「速く走るための装備」と「山の中で安全に行動するための装備」の両方を考えることが重要です。
この記事では、これからトレイルランニングを始めたい初心者に向けて、最低限揃えておきたい装備から、ロードランニング用品で代用できるもの、専用品を用意したいものまで、実際の経験をもとに解説します。
また、レースの距離や天候によって装備をどう変えるのかについても紹介していきます。
| 著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者) マラソンと並行してトレイルランニングに取り組み、ショートからロングレースまで幅広く出場しています。 主なレース実績 ・比叡山インターナショナルトレイルラン 50mile 6位 ・富士登山競走 山頂コース 3時間21分 ・各務原アルプストレイルランニングレース 優勝 ・別府大分毎日マラソン 2時間46分48秒 YouTube|マウンテンランニング研究所 |
トレランで必要な装備一覧
トレイルランニングでは、走る距離やコース、季節、天候などによって必要な装備が変わります。
そのため「これさえ持っていけば、どんなトレイルでも大丈夫」という装備はありません。
ただし、私自身がトレイルランニングをするときには、最低限でも
・トレイルランニングシューズ
・ザック
・補給食
・レインウェア
は揃えておきたいと考えています。
基本的なトレラン装備をまとめると、以下のようになります。

特に山では、ロードランニングのように「雨が降ってきたからコンビニに避難する」「疲れたから電車で帰る」といったことができない場合があります。
そのため、単純に走るための装備だけでなく、トラブルが起きたときに自分自身を守るための装備についても考えておく必要があります。
一方で、近所の低山を短時間走る場合と、数十kmのトレイルランニングレースに出場する場合では必要な装備は大きく異なります。
まずはトレラン初心者が揃えておきたい基本的な装備から見ていきましょう。
なお、これからトレイルランニングを始める方は、装備だけでなく、初心者向けのコース選びや基本的な走り方についても知っておくと安心です。
トレイルランニングの始め方については「トレイルランニング初心者向け!始め方・必要な装備・走り方を解説」で詳しく紹介しています。
トレラン初心者がまず揃えたい基本装備
これからトレイルランニングを始める場合、すべての装備を一度に購入する必要はありません。
特に普段からロードランニングをしている人であれば、すでに持っているウェアなどをそのまま使用できることがあります。

一方で、ロードランニングとは使用環境が大きく異なるため、トレイルランニング専用品を用意した方がいい装備もあります。
私が特に専用品を用意しておきたいと考えているのが先にも解説した、
・トレイルランニングシューズ
・ザック
・レインウェア
・インナーウェア
です。
トレイルランニングシューズ
トレイルランニングを始めるなら、まず用意しておきたいのがトレイルランニングシューズです。
ロードランニングとトレイルランニングでは、走る路面が大きく異なります。
ロードでは舗装路を走ることが中心ですが、トレイルでは土、泥、砂利、岩、木の根など、さまざまな路面を走ります。

ロードランニングシューズでも走れないわけではありませんが、路面によっては滑りやすく、シューズ自体の耐久性もトレイルでの使用を前提としていません。
一方、トレイルランニングシューズはアウトソールに凹凸が設けられているものが多く、不整地でもグリップを確保しやすい構造になっています。
また、トレイル上でも安定して走れるよう、足元の安定性なども考えて設計されています。

最近では単に「山を安全に走る」だけでなく、トレイルでもスピードを出すことを目的としたシューズも登場しています。
ロードのランニングシューズと同じように、トレイルランニングシューズも用途によって特徴が大きく異なるため、自分が走るコースや距離に合わせて選ぶことが重要です。
トレイルランニングザック
トレイルランニングでは、ザックも用意しておきたい装備の一つです。
ロードランニングと違い、山の中では水分や補給食を簡単に購入できるとは限りません。
そのため、
・水分
・補給食
・レインウェア
・スマートフォン
・ファーストエイド用品
などを自分で携行する必要があります。
登山用のバックパックでも荷物を運ぶことはできますが、トレイルランニングでは走りながら使用するため、身体へのフィット感も重要です。

トレイルランニング用のザックは身体に密着しやすく、走ったときに荷物が大きく揺れにくいように作られています。
また、フロント部分にボトルや補給食を収納できるものも多く、走りながら水分や補給食を取り出しやすいのも大きなメリットです。
必要な容量については、走る距離だけではなく、行動時間やエイドの間隔、季節、天候などによって変わります。
レインウェア
トレイルランニングでは、レインウェアも重要な装備です。
山では天候が変化することもあり、ロードランニングと違って雨が降ったからといって、すぐに建物へ避難できるとは限りません。

また、レインウェアの役割は単に「雨に濡れないようにすること」だけではありません。
風を遮ることで、身体から熱が奪われるのを抑える役割もあります。
トレイルランニングは数時間以上の長時間行動になることも珍しくありません。
雨や風によって身体が冷えてしまえば、パフォーマンスが落ちるだけでなく、安全に行動すること自体が難しくなる可能性もあります。
もちろん、気象条件によってはレインウェアだけでは対応できない場合もあります。
それでも、通常の雨や風に対応するための装備として、トレイルランニングでは一着用意しておきたいアイテムです。
ちなみに私が使用しているのは以下のストライクトレイルジャケットです。
色は様々なものがありますが、薄くて軽い上、しっかり雨風を防いでくれるので、トレイルランだけでなくロードランニングにも重宝しています。
インナーウェア
トレイルランニングでは、体温調節も非常に重要です。
特に注意したいのが汗冷えです。
登りでは大量に汗をかいていても、その後に下りへ入ったり、風が強い場所へ出たりすると、一気に身体が冷えることがあります。
そこで役立つのが、汗を肌から素早く離してくれるインナーウェアです。

汗をかいた状態が長く続くのを抑えることで、身体が冷えにくくなり、長時間のトレイルでも快適に走りやすくなります。
私自身、インナーウェアは一枚持っているだけでも快適性がかなり変わると感じています。
トレイルランニングだけでなく登山にも使用できるため、山へ行く機会が多い人なら持っておいて損のない装備です。
ちなみにトレイルランニングでは、上記の様な袖なしが動きやすくて個人的にはオススメです。
ノースリーブのウエアーでも合わせられますし、袖なしでも汗冷え機能は十分にあります。
ランニングウェアはロード用でも代用できる
一方で、トップスやショーツについては、トレイルランニング専用品を最初から揃えなくても問題ありません。
普段ロードランニングで使っている吸汗速乾性のあるトップスであれば、そのまま使用できます。
ショーツについても同様です。

特にマラソンなどでポケットの多いランニングショーツやコンプレッションタイツをすでに使用しているのであれば、それをトレイルランニングで使ってもいいでしょう。
トレイルランニング専用ウェアには収納力や耐久性などに工夫された製品もありますが、まずは手持ちのランニングウェアから始めて、必要性を感じてから買い足していけば十分です。
トレランの装備は走る距離によって変わる
トレイルランニングでは、走る距離が長くなるほど必要な装備も増えていきます。
ただし、「20kmならこの装備」「40kmならこの装備」と距離だけで判断するのはおすすめしません。
同じ40kmでも、エイドが約10kmごとに設置されているレースと、自分で水分や補給食をすべて持って山へ入るトレーニングでは、必要な装備は大きく異なります。
また、コースの難易度や予想される行動時間、季節、天候、走った経験のある山域なのかによっても変わります。
大会に出場する場合は、まず大会が定める必携品やレギュレーションを確認し、それを前提として自分に必要な装備を追加しましょう。
ここでは私が実際にトレイルを走る際の装備をもとに、距離ごとの目安を紹介します。
10〜20km程度のショートトレイルの装備
10〜20km程度のショートトレイルであれば、それほど大容量のザックは必要ありません。
私が個人でトレーニングする場合は、走り慣れたコースであっても、最低限以下のような装備を持っていきます。
・2L程度の小型トレランザック
・500〜700ml程度のハイドレーションボトル
・ジェル2本程度
・天候が怪しい場合はレインウェア
・スマートフォン
・GPSウォッチ
夏場など気温が高い時期は、当然ながら水分を多めに持っていきます。
このくらいの距離であれば、背中に入れる大型のハイドレーションよりも、ザックの胸ポケットに入れられる500〜700ml程度のハイドレーションボトルやソフトフラスクでも対応しやすいと感じています。
私自身も、短い距離では胸ポケットにハイドレーションボトルを入れて走ることが多いです。
ただし、水分量は距離だけでは決められません。気温や湿度、水場の有無などを考えて余裕を持って準備しましょう。
シューズについても、10〜20km程度の短い距離であれば、必ずしも長距離向けの厚底トレイルランニングシューズを選ぶ必要はないと思います。
路面やコースにもよりますが、短いレースであれば軽量性や操作性を重視したシューズを選ぶこともできます。
一方、
「これから30km、50km、100kmといろいろなレースに出たい」
「トレランシューズを何足も買いたくない」
という人なら、最初から長距離にも対応できるクッション性や安定性の高いモデルを選ぶのもいいでしょう。
トレイルランニングでは、ロードレースのように単純に1秒を削り出すことだけではなく、不整地を長時間走りながら、いかに脚の消耗を抑えるかも重要になります。
そのため、自分が今後どのくらいの距離まで走りたいのかを考えてシューズを選ぶのがおすすめです。
また、初めて入る山域なら、地図機能を搭載したGPSウォッチがあると便利です。

大会であれば、事前に公開されているコースデータをGPSウォッチへ入れておくことで、ナビゲーションとして使用できます。
個人でトレーニングするときに特に便利なのが、現在地だけでなく「自分がどこを通ってきたのか」を確認できることです。
道を間違えた場合でも、自分が走ってきた軌跡を確認できれば、分岐まで戻る判断がしやすくなります。
もちろんGPSウォッチだけに頼るのではなく、スマートフォンの地図なども併用しておきましょう。
私が使用しているGPSウォッチはGARMINのFORERUNNER965という機種です。トレイルランだけでなくマラソンでも使用しています。
詳細については以下記事で解説しております。
30〜50km程度のトレイルの装備
30〜50km程度になると、ショートトレイルよりもしっかりとした装備が必要になります。
特にレースではなく、個人で初めての山域へ入るのであれば、10〜20kmで紹介した装備に加えて、水分、ジェルや固形食、防寒着などに余裕を持たせます。
レースであれば一定間隔でエイドが設置されていますが、個人のトレイルランニングではそうとは限りません。
途中に水場があるとも限らないため、長時間行動するのであれば2L程度入る背面型のハイドレーションも選択肢になります。
一方、レースでは事情が変わります。
私が8月末に走った志賀高原100の40kmでは、700mlのハイドレーションボトルで走りました。
これは約10kmごとにエイドがあり、そこで給水できることを前提にした装備です。
つまり同じ40kmでも、
約10kmごとにエイドがある40kmレース
と
給水できる保証のない山域を自分で40km走る
のとでは、携行する水分量がまったく違ってきます。
距離だけを見るのではなく、次に水分や食料を確保できる場所までどのくらいあるのかを確認することが重要です。
個人で長時間山へ入るのであれば、万が一のことを考えてフリースなどの防寒着を持っておくと安心です。

また、長時間のトレイルでは大量に汗をかくため、先ほど紹介したベースレイヤーも重要になります。
汗をかいたまま気温が下がったり風にさらされたりすると、想像以上に身体が冷えます。
雨や風を防ぐレインウェアと、汗冷えを抑えるベースレイヤーは役割が違うため、長時間のトレイルでは両方を組み合わせて考えています。
このくらいの距離になったら、個人で山へ入る場合はヘッドライトも携行しておきたいところです。
予定どおり走れれば明るいうちに帰ってこられるとしても、道を間違えたり、トラブルで予定より時間がかかったりする可能性があります。
また、30〜50km程度のトレイルレースでも、スタート時刻や制限時間によってはヘッドライトが必携品に指定されることがあります。

GPSウォッチにも、できるだけ事前にコースデータを入れておきましょう。
個人で走る場合には、YAMAPなどで公開されているルートを参考にしてGPXデータを準備する方法もあります。
ただし、公開されているGPXデータが現在も通行可能なルートとは限りません。登山道の状況や通行規制などは別途確認したうえで使用することが大切です。

これだけの装備を持つとなると、小型ザックでは容量が足りなくなってきます。
私は14L程度のトレランザックを使用しています。

14Lと聞くと大きく感じるかもしれませんが、トレラン用のベスト型ザックは身体にフィットするため、実際に背負ってみるとかなりコンパクトです。
私の場合はショートレースでも使うことがありますし、100マイルクラスの装備にも対応できるため、幅広い距離で使っています。
「最初から何個もザックを買いたくない」という人なら、こうしたある程度容量に余裕のあるモデルを最初に選ぶのも一つの方法です。
ちなみに私が使用しているのはULTRASPIREのZYGOSというモデルです。
これめちゃくちゃ使い勝手が良く、ロングからショートまで使えます。
100km前後のロングトレイルの装備
100km前後のトレイルになると、30〜50kmまでの装備に加えて、夜間走行と長時間行動への備えがさらに重要になります。
大会の場合は必携品が細かく指定されることが多いため、必ず大会ごとのレギュレーションを確認してください。
装備の一例としては、
・ヘッドライト
・ヘッドライトの予備バッテリー
・小型モバイルバッテリー
・トレッキングポール
・レインウェアの上・下
・防寒着
・エマージェンシーブランケット
・十分な補給食・水分
などが挙げられます。
100kmになると夜間を走る可能性が高くなるため、ライトのトラブルは大きな問題になります。
そのためヘッドライト本体だけでなく、予備バッテリーまで含めて一つの装備として考えます。

スマートフォンやGPSウォッチを長時間使用することを考えれば、小型のモバイルバッテリーも役立ちます。
また、悪天候への対応としてレインウェアは上だけでなく下も準備し、万が一動けなくなった場合などに備えてエマージェンシーブランケットを携行しておくと安心です。
100kmクラスではトレッキングポールが使用できる大会もあります。
長時間の登りで脚への負担を分散できるため、使用可能かどうかを大会のルールで確認しておきましょう。
もちろん、100kmだからこれらをすべて一律に持つということではありません。
大会であればエイドやドロップバッグの有無、スタート時刻、コース、標高、季節などによっても必要な装備は変わります。
まず大会側が指定する必携品を確認し、そのうえで自分が安全に走り切るために必要な装備を追加することが重要です。
距離だけでなく行動時間・エイド・天候で装備を決める
ここまで距離別に紹介しましたが、トレイルランニングの装備を考えるうえで最も重要なのは、距離だけで判断しないことです。
私なら少なくとも、
走行距離・予想行動時間・エイドや水場の間隔・コース・天候・季節・必携品
を確認してから装備を決めます。
たとえば、5時間で走り終えられる40kmと、10時間かかる山岳コースの40kmでは必要な装備は同じではありません。
さらに、10kmごとにエイドがあるレースなら携行する水分を減らせますが、個人で山へ入るなら同じ考え方はできません。
反対に距離が20kmしかなくても、標高が高い山域で天候が崩れる可能性があるなら、防寒着やレインウェアなどをしっかり準備する必要があります。
初めて入る山域なら、道迷いによって予定より行動時間が長くなることも想定しておいた方がいいでしょう。
つまり、
「何km走るから何を持つ」ではなく、「その山の中で何時間行動し、途中で何を補給でき、どんなトラブルが起こる可能性があるのか」から逆算する。
これが、私がトレランの装備を選ぶときに大切にしている考え方です。
トレラン大会では「必携品」を必ず確認する

トレイルランニング大会に出場するときは、必ず事前に大会のレギュレーションを確認し、指定されている必携品をすべて揃えておきましょう。
トレラン大会では、同じような距離のレースであっても必携品が同じとは限りません。
大会が開催される山域や季節だけでなく、
主催者が安全管理についてどのように考えているのかによっても、必携品は大きく異なります。
レースでは少しでも装備を軽くして、できるだけ速く走りたいと思う人もいるでしょう。
しかし、軽量化を優先して必携品に抜けがあれば、装備チェックで問題になる可能性があります。
私自身、過去に参加したトレイルランニングレースで、必携品を持っていなかった選手がチェックを受け、ペナルティーを科されているのを見たことがあります。
必携品は「できれば持っていった方がいい装備」ではなく、その大会に参加するために携行を求められている装備です。
まずはすべて揃えたうえで、その範囲内で軽量化を考えるのが基本です。
また、レインウェアやヘッドライトなどは、単に持っていればいいとは限りません。
大会によってはレインウェアの性能などに基準が設けられている場合がありますし、ヘッドライトが正常に点灯することも重要です。
長期間使用したレインウェアは防水性能が低下していることもあります。
レース直前になって慌てないためにも、必携品は早めに確認し、持っているかどうかだけではなく、正常に使用できる状態なのかまでチェックしておきましょう。
また、トレラン大会で指定される必携品は、レインウェアやライト、防寒用品など、普段のトレイルランニングでも使用できるものが多くあります。
これから複数の大会へ参加したいのであれば、必要になるたびに購入するのではなく、基本的な装備は早い段階で一通り揃えておくといいでしょう。
大会によって必携品は大きく異なる
トレイルランニング大会の必携品は、主催者によって考え方が大きく異なります。
細かな装備まで指定する大会もあれば、山で必要になるものは参加者自身が考えて携行する、という考え方の大会もあります。
たとえば、私が2026年8月に参加した志賀高原100の40kmでは、必携品について非常に細かな指定がある大会ではありませんでした。
しかし、当日のレースはスタートからフィニッシュまで雨。
そのため私は、大会から指定されたものだけを見るのではなく、当日の天候を考えて自分が必要だと思う装備を追加して走りました。
反対に、私が過去に参加した伊豆トレイルジャーニーでは、携行する装備が細かく指定されていました。
私はこのレースで体調が悪くなり、途中でリタイアした経験があります。
その際、結果的に非常に役立ったのが、必携品として持っていたフリースやエマージェンシーブランケットでした。
レースを順調に走れているときには、
「本当にここまで持つ必要があるのか?」
と思う装備もあるかもしれません。
しかし、トレイルランニングでは山の中で急に動けなくなる可能性があります。
走っている間は身体から熱が発生していますが、立ち止まれば状況は変わります。特に雨や風、低温などが重なれば身体が冷えていきます。
私自身、リタイアした経験からも、必携品には「レースを走るため」だけではなく、トラブルが起きたときに自分を守る意味があると感じています。
最近はトレイルランニングやファストパッキング向けに、軽量・コンパクトに作られたレインウェアや防寒用品、エマージェンシー用品も多くあります。
大会だけでなく普段山へ入るときにも使えるため、一通り揃えておいて損はありません。
必携品だけでなく自分に必要な装備を追加する
大会の必携品をすべて揃えたら、それで装備選びが終わりというわけではありません。
必携品は大会側が指定した装備であり、その日の自分に必要な装備がすべて含まれているとは限らないからです。
たとえば、
・雨が予想されている
・気温が低い
・自分の予想フィニッシュタイムが長い
・汗をかきやすく汗冷えが心配
・エイド間隔が長い
・補給を多めに持っておきたい
といった条件によって、必要な装備は変わります。
先ほど紹介した志賀高原100でも、私は当日の雨を考慮して装備を判断しました。
「必携品=持っていけば十分な装備」ではなく、「必携品+自分に必要な装備」
と考えておくといいでしょう。
必携品を揃えたら実際にザックへ入れて走ってみる
必携品が一通り揃ったら、レース当日まで箱や袋に入れて保管しておくのではなく、実際に使用するザックへすべて入れて背負ってみることをおすすめします。
装備を一つずつ見ると軽くても、すべてザックへ入れると想像以上の重量になることがあります。
さらに重要なのが重量のバランスです。
実際に背負って走ってみると、
「後ろ側が重くて揺れる」
「補給食を取り出しにくい」
「レインウェアを出すために荷物を全部出さなければならない」
といった問題に気づくことがあります。
特に水分は装備の中でも重量が大きくなります。
500mlの水分だけでも約500gあるため、ソフトフラスクやハイドレーションをザックのどこに配置するのかは事前に確認しておきたいところです。
私の場合は、ザックだけで重量をうまく分散できない場合にはポーチを併用することもあります。
また、走りながら頻繁に使うジェルやソフトフラスクなどは、できるだけザックを下ろさずに取り出せる位置へ配置しておくと便利です。
つまり装備を揃えるだけでなく、
「どこに入れるか」→「実際に背負う」→「走って確認する」
ところまでがレース前の装備準備です。
本番と同じ装備で一度トレイルを走っておけば、重量や揺れ、取り出しやすさなどを事前に確認でき、レース当日に装備で困る可能性を減らせます。
雨や冬のトレランでは装備を追加する
雨のトレイルランニングでは、晴天時よりも装備を増やす必要があります。
ただし、「雨が降っているからこの装備」と単純に決められるものではありません。

同じ雨でも、夏と冬では必要な装備が大きく異なります。
さらに気温だけではなく、雨の強さ・風・標高・行動時間・コースの路面状況などを考えながら装備を決めることが重要です。
特にトレイルランニングでは、雨に濡れることそのものだけでなく、濡れた状態で風にさらされることで身体が冷えてしまうことにも注意が必要です。
夏の雨ならレインウェアを着込みすぎない
私が2026年8月末に参加した志賀高原100の40kmでは、スタートからフィニッシュまでほぼ雨というコンディションでした。
実際の雨天時の路面状況や装備については、志賀高原100を走った際の動画でも確認できますので参考にしてみてください↓↓
ただし、開催されたのは8月末です。
雨は降っていましたが気温はそれほど低くなく、強い風もありませんでした。
そのため私は、レインウェアについては上だけを携行し、下のレインパンツは持っていきませんでした。
一方で、万が一身体が冷えてしまった場合に備えて、エマージェンシーブランケットを追加で1枚持っていきました。
雨だからといって必要以上に厚着をすると、今度はレインウェアの中で大量に汗をかいてしまいます。
特にトレイルランニングは登りで運動強度が高くなるため、気温が高い状況ではレインウェアを着ているだけでもかなり暑くなります。
そのため、
「雨が降っているか」だけではなく、「気温と風を含めて身体が冷える可能性がどの程度あるのか」
を考えて装備を選ぶようにしています。
冬の雨や強風では防寒装備を増やす
一方、同じ雨でも冬になれば話はまったく異なります。
気温が低いうえに雨が降り、さらに風まで強い状況では、身体から急速に熱が奪われる可能性があります。
そのようなコンディションであれば、夏の志賀高原100と同じ装備にはしません。
状況によっては、より防護性の高いレインウェアを選んだり、レインウェアを上下で揃えたりする必要があります。
また、志賀高原100では夏だったためグローブは持ちませんでしたが、冬のトレイルであれば手を冷やさないためのグローブも重要です。
ネックウォーマーなどを使用して、首まわりから身体を冷やさない工夫も有効です。
特に長時間山の中で行動する場合は、
・ベースレイヤー
・防寒着
・レインウェア
・グローブ
・ネックウォーマー
・エマージェンシーブランケット
などを、気温や標高に応じて組み合わせていきます。
トレイルランニングでは、走っている最中は身体から多くの熱が発生しますが、ケガや体調不良などによって動けなくなれば状況は一変します。
「走っているときに寒くないから大丈夫」ではなく、「もし止まったらどうなるか」まで考えて装備を準備することが重要です。
大雨ではザックの中身も防水する
雨が強い場合は、自分の身体だけでなくザックの中身を濡らさない工夫も必要です。
レインウェアや防寒着を持っていても、使用する前にザックの中で濡れてしまえば、本来の役割を十分に果たせない可能性があります。
そのため雨が強くなることが予想される場合は、ジップロックなどの防水できる袋を使って、濡らしたくない装備を個別に保護するのも一つの方法です。
特に、
・スマートフォン
・モバイルバッテリー
・防寒着
・着替え
・エマージェンシー用品
などは、濡れないようにしておきたい装備です。
ザック自体に防水性があったとしても、長時間強い雨にさらされる可能性があるなら、内部でも防水しておくと安心です。
雨のトレランではシューズ選びも重要
雨の日はウェアだけでなく、トレイルランニングシューズの選択も重要になります。
ただし、ここでも「雨だからグリップ力の高いシューズを履けばいい」と単純に考えるのではなく、コースの特徴とセットで考えます。
たとえば岩場や急な下り、木の根などが多いテクニカルなコースで、さらに雨によって路面が滑りやすくなるのであれば、Vibramなどのグリップ性能を意識したアウトソールを採用しているシューズは選択肢になります。
一方、2026年の志賀高原100の40kmは大雨でしたが、コース自体は比較的走れる区間が多いレースでした。
そこで私は、HOKA Rocket X Trail(ロケットXトレイル)を選択しました。

Rocket X Trailはトレイルランニングシューズでありながら、ロードランニングシューズに近い感覚でスピードを出しやすいモデルです。
雨によって路面状況はかなり悪くなりましたが、事前にこのシューズでトレイルを走っていたこともあり、最後まで走り切ることができました。
もちろん、同じ大雨でも岩場や急斜面が多いテクニカルなコースであれば、私は別のシューズを検討します。
つまりシューズも、
天候 × 路面 × コースの難易度 × 距離
を見ながら選ぶことが重要です。
大会に出場するのであれば、距離や高低図だけではなく、事前にコース写真や過去のレース映像などを確認して、どのような路面を走るのか把握しておくとシューズを選びやすくなります。
雨や寒さへの装備は「体温を下げない」ことから考える
雨や冬のトレイルランニングで装備を考えるとき、私が重要だと考えているのが体温を下げないことです。
単純に厚着をすればいいわけではありません。
登りで汗を大量にかいてしまえば、その汗によって後から身体が冷えることがあります。
そのため、
汗を肌から離す → 雨を防ぐ →風を遮る → 必要に応じて保温する
というように、それぞれの装備の役割を分けて考えると分かりやすくなります。
ベースレイヤーで汗冷えを抑え、レインウェアで雨や風を防ぎ、寒い状況ではフリースなどの防寒着を追加する。
さらに冬ならグローブやネックウォーマーなどを使って身体を冷やさないようにします。
特に山では、天候の変化やトラブルによって予定していたよりも長時間行動する可能性があります。
「今走っていて快適か」だけではなく、「天候が悪化したときや、自分が走れなくなったときにも身体を守れるか」まで考えて装備を選ぶことが、雨や冬のトレランでは重要です。
トレランの水分・補給食はどう準備する?
トレイルランニングでは、水分や補給食も重要な装備の一つです。
必要な量は単純に走行距離だけで決めるのではなく、予想される行動時間・気温・天候・エイドや水場の有無などから考える必要があります。
特に個人で山へ入る場合は、レースのように一定間隔で水分や食料を補給できるとは限りません。
事前にルートを確認し、「何時間行動するのか」「途中で補給できる場所があるのか」を確認したうえで準備しましょう。
水分量は季節と行動時間から考える
私の場合、夏に長時間トレイルを走るのであれば、2L程度の背面型ハイドレーションを使用することがあります。
一方、冬は発汗量が少なくなるため、比較的長い距離を走る場合でも700ml程度のソフトフラスクで足りることがあります。
ただし、
「夏だから2L」「冬だから700ml」と固定しているわけではありません。
同じ距離でも気温や湿度、行動時間によって必要な水分量は変わります。
また、レースであればエイドの間隔も重要です。
先ほど紹介した志賀高原100の40kmでは約10kmごとにエイドがあったため、私は700mlのハイドレーションボトルで走りました。
反対に、同程度の距離を個人で走り、途中に確実な給水ポイントがないのであれば、もっと多くの水分を持っていきます。
実際に暑いコンディションとなったロッキンベア妙高では、暑さへの対応がレースを左右する大きな要素となりました。
以下の動画はその時のレースのものですが、ハイドレーションも2Lのものを使用しています。↓↓
距離ではなく「次に給水できる場所までどのくらいかかるのか」から逆算するのが基本です。
補給食は予想行動時間から逆算する
補給食についても、基本的には予想される行動時間から必要量を計算します。
私の場合、ジェルであれば40分〜1時間に1本程度を目安として、予想行動時間から必要な本数を考えています。
ただし、長時間のトレイルランニングでは、すべてをジェルだけで補給するとは限りません。
個人で長時間山へ入る場合には、ジェルだけでなく固形食も持っていきます。
一方、トレイルランニングレースでは、エイドで固形食やフルーツなどのリアルフードを食べられることがあります。
そのような大会であれば、私の場合は自分で携行する補給食についてはジェルを中心にして、固形物はエイドで補給するという方法を取ることもあります。
ここで重要なのが、大会によってエイドの充実度がまったく違うことです。
エイドの数だけでなく、
・何km地点にあるのか
・水分だけなのか
・固形食があるのか
・フルーツなどのリアルフードがあるのか
まで事前に確認しておくと、携行する補給食を決めやすくなります。
つまり補給食についても、
予想行動時間 × エイド間隔 ×エイドで食べられるもの
から逆算して準備することが重要です。
トレイルランニングでの具体的な補給量やタイミングについては、別記事の「トレイルランの補給戦略」で詳しく解説しています。
また、実際に使用しているジェルや補給食については「トレイルランニングにおすすめの補給食」で紹介しています。
最初に使うジェルは取り出しやすい場所へ入れる
補給食は「何を持っていくか」だけでなく、ザックのどこに収納するかも重要です。
せっかくジェルを持っていても、毎回ザックを下ろさなければ取り出せない場所に入れてしまうと、レース中の補給が面倒になります。

私の場合、最初の1〜2時間で使用するジェルは、ザックの胸ポケットやランニングショーツのポケットなど、走りながらでも取り出しやすい場所へ入れています。
残りのジェルはザックへ収納しておき、エイドなどで立ち止まったタイミングに胸ポケットへ移すこともできます。
特に長時間のトレイルでは補給回数も多くなるため、「必要な量を持つ」だけでなく「必要なタイミングですぐ取り出せるようにする」ところまで考えて装備を準備しておくと、スムーズに補給できます。
トレランの装備に関するよくある質問
最後に、トレイルランニングの装備について初心者の方が疑問に感じやすいポイントをまとめます。
トレラン初心者は何から揃えればいい?
すでにロードランニングをしている方であれば、最初からすべての装備をトレイルランニング専用にする必要はありません。
ランニングシャツやタイツ、ポケット付きのランニングショーツなどは、そのままトレイルでも使用できます。
まずは、トレイルランニングシューズ・ザック・レインウェアなど、ロードランニングでは持っていない装備から揃えていくのがおすすめです。
その後、走る距離が長くなったり大会へ出場したりするようになった段階で、ベースレイヤーやヘッドライト、防寒着などを追加していけばよいでしょう。
トレランに普通のランニングシューズは使える?
走れないわけではありませんが、基本的にはトレイルランニングシューズをおすすめします。
トレイルでは土や砂利、岩、木の根、泥などさまざまな路面を走ります。
特に雨が降ると路面が滑りやすくなるため、アウトソールのグリップ性能や安定性は重要です。
一方で、最近ではロードシューズに近い走行感を持ったトレイルランニングシューズもあります。
そのため、「トレランシューズなら何でもいい」のではなく、走るコースや路面に合わせて選ぶことが重要です。
トレランザックは何Lがおすすめ?
ザックの容量は、走る距離だけでなく行動時間や季節、必要な水分量によって変わります。
私の場合、短時間のトレイルであれば2L程度の小型ザックを使用することがあります。一方、長時間のトレイルでは14L程度のザックを使用しています。
初めて一つ購入するのであれば、今後どのようなトレイルランニングをしたいのかまで考えて選ぶのがおすすめです。
ショートレースだけなら小型でも十分ですが、30〜50km、さらにロングレースまで考えているのであれば、ある程度余裕のある容量の方が使える場面は増えます。
ただし、容量が大きければよいわけではありません。
必要な装備を収納でき、実際に走ったときに揺れにくいザックを選ぶことが大切です。
トレラン大会の必携品はすべて用意する必要がある?
大会で必携品として指定されているものは、基本的にすべて準備する必要があります。
大会によっては装備チェックが行われることがあり、不足していればペナルティなどの対象になる場合があります。
また、レインウェアなどは単純に持っていればよいとは限らず、大会によって性能などの条件が指定されることもあります。
必ず出場する大会の最新の大会要項や競技規則を確認してください。
必携品の多くは普段のトレイルランニングでも安全のために使えるものなので、大会出場を考えているのであれば少しずつ揃えておくとよいでしょう。
トレランにレインウェアは必要?
山では天候が変化する可能性があるため、レインウェアは重要な装備の一つです。
ただし、必要な装備は季節や気温によって異なります。
私が8月末の志賀高原100 40kmを走った際は雨でしたが、気温が比較的高く風も強くなかったため、レインウェアは上だけを携行しました。
一方、冬の低温下で雨や風が予想されるのであれば、上下のレインウェアや防寒着、グローブなども検討します。
つまり、
「雨が降るから何を持つか」ではなく、「濡れた状態でどの程度身体が冷える可能性があるか」まで考えることが重要です。
なお、大会でレインウェアが必携品に指定されている場合は、天気予報にかかわらず大会規定を優先してください。
まとめ|トレラン装備は距離・天候・コースに合わせて選ぼう
トレイルランニングでは、シューズやザック、レインウェアなど基本となる装備がありますが、必要なものは走るコースや季節によって変わります。
特に重要なのは、距離だけで装備を決めないことです。
行動時間や天候、エイドの有無などを確認し、その日に必要な装備を準備しましょう。
また、大会に出場する場合は必携品を事前に確認し、実際にザックへ入れて走っておくことも大切です。
まずは必要最低限の装備から揃え、走る距離や参加するレースに合わせて少しずつ追加していくのがおすすめです。
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