トレイルランニングやファストパッキングで使用するザックは、レースや練習中に食料や必携品など命を守るために必要なものを収納する非常に重要なアイテムです。
本記事ではトレイルランニングザックの選び方や、オススメのトレイルランニングザックについて紹介いたします。
本記事は以下の方を対象に書いています。
・トレイルランニングザックの選び方について教えてほしい
・トレイルランニングザックの違いは走りに影響するのか?
・トレイルランニングザックには種類があるのか?
・オススメのトレイルランニングザックを教えてほしい
以下記事で解説して行きます。
トレイルランニングザックとその他のザックの違い
トレイルランニングザックと通常のタウンユースや登山用ザックの違いは主に
・ザック外部のポケットに物を入れるスペースがある
・身体にフィットするモデルが多い
・重心が前後に均等になる設計になっている
・容量が少ない
といった特徴があります。
まず登山用やファストパッキング用のザックと比較して、ザック外部についているポケットが多いというのがポイントでしょう。
理由は走りながらザックにアクセスすることが多いので、頻繁に使用するものはザックを降ろさなくてもいい設計になっているからです。
登山用のザックであればザックを何度か降ろすか、ポーチなどに物を入れて頻繁に使用するものはそこから使用するなどがあります。
またファストパッキング用のザックであればサコッシュを使用するか、トレイルランザックまではいかなくともポケットの多いモデルを使用することが多いでしょう。
ULTRASPIREのEPIC(エピック)などがファストパッキング用のザックでポケットが多い代表作と言えます。
トレイルランニングザックの選び方
次にトレイルランニングザックの選び方についてです。
荷物を背負って入れるものであれば、トレイルランニングザックはどれも大差はないのではないかと思われがちですが、そんなことはありません。
選択するザックにより走りのバランスや、長距離を走った時の疲労度、補給効率などトレイルランニングにおける様々な要素に影響してきます。
トレイルランニングザックの具体的な選び方については以下の内容が挙げられます。
・出場するレースから選ぶ
・自分に合ったザックタイプから選ぶ
・荷物を入れた時のバランスから選ぶ
以下で解説して行きます。
【ザックの選び方①】出場するレースから選ぶ
まず購入するザックを出場するレースから選ぶ方法です。
レースに出ることが決まると、距離や競技時間、必携品、エイドの数や補給物の内容から必要なザック容量が決まってきます。そこからザックを選ぶというものです。
特にレースであれば距離や規模によっては必携品が多いものもあります。
必携品は文字通り必ず持参してレースに参加しなくてはならないものなので、出場するレースの必携品が入りきらないザックは選択肢から外れてきます。
トレイルランニングの必携品については以下記事を参考にしてみてください。
ザックにはサイズがあり、
・軽量ザック(ショートレースや練習に)
・中量ザック(里山縦走やミドルレースに)
・重量ザック(ロングレースからファストパッキングにまで対応)
に分類されます。容量など特徴が異なってきますので以下で解説して行きます。
軽量ザック(2~5リットル、ショートレースや練習に)
まずは軽量ザックです。ザック型とベスト型がありますが、このサイズであれば入れる荷物も少ないのでベスト型のザックを選択される方が多いかと思います。
もしベスト型の柔らかい材質のザックよりも、硬い素材のものが良ければザック型もおすすめです。軽量ザックであれば両パターンあるので、一度ショップで荷物を入れた状態で背負ってみると良いでしょう。
中量ザック(6リットル程度で里山縦走やミドルレースに)
次に中量ザックです。最も使い勝手がいいのはこのタイプのザックかもしれません。
私は体に馴染んだザックが重量ザックなのでそのまま使用していますが、中量ザックを持っておけば里山の40㎞~50㎞程度の縦走には丁度いいでしょう。
但し、途中で補給できない様な山域に行くのであれば補給食や水分を多く必要とするのでこのサイズでも不十分である可能性はあります。
重量ザック(8~12リットル程度でロングレースからファストパッキングにまで対応)
次に重量ザックです。私は常にレースでの必携品ほとんどを持って山でトレーニングするので、このサイズのザックをよく使います。よく使うのはウルトラスパイアのZYGOSです。
重量ザックのポイントは、走りやすさを失わない為にも荷物を分散して入れられるモデルを選ぶことです。
また、トレイルランのレースには少し大きいですが、ウルトラスパイアのエピックXTもおすすめです。ザック前方にZYGOSと同じ様なホルダーがついており、ファストパッキングなどにはかなり使えます。
また、トレイルランナーらしさ溢れるULTIMATE DIRECTIONもおすすめです。
また、日本のハイカーが手掛けた「山と道」ブランドもおすすめです。昨年アルプスにファストパッキングに行った際にはこのザックを使いました。
【ザックの選び方②】自分に合ったザックタイプから選ぶ
次に自分に合ったザックタイプを選択するということです。ここで言うザックタイプとはベスト型かザック型かの違いです。
市場に出ているトレイルランニングザックは圧倒的にザック型の方が多いのですが、ベスト型を選択する場合も出てきます。
以下でベスト型とザック型のトレイルランニングザックの違いについて解説して行きます。
形状①ベスト型
トレイルランニングザックの中でもベスト型のザックは、背負うというよりは着るイメージのトレイルランニングザックです。ザック型とは異なり、生地もウエアーの様な材質で柔らかくストレッチが効くものが使われています。
ベスト型のトレイルランニングザックのメリットとしては、ウエアーを着ている様な感覚で走ることが出来、荷物のバランスも全体にかかってくるので疲労しにくいということです。
一方、デメリットとしては入れる荷物の容量が非常に少ないということです。ベスト型のトレイルランニングザックは、荷物を入れた際には膨らみが内側にも向かうので、入れ過ぎた場合はその反発で圧迫感を感じることがあります。
ただ、走っても揺れることがないので、少ない荷物のレースに挑む際にはかなりオススメで、私も40㎞程度のレースは必ずこれで出ます。
形状②ザック型
次に、ザック型のトレイルランニングザックについてですが、このタイプのザックは登山やファストパッキングのザックを、そのままトレイルランニングサイズまで小さくしたものというイメージです。
ベスト型のトレイルランニングザックの様な生地の伸縮は少なく、荷物を入れて走ると上下に少し揺れます。
しかし揺れと言っても走りを邪魔するほどのものでもなく、わずかな揺れです。このザックの揺れが走りのリズムを刻むのに丁度よかったりするくらいです。
但し、ファスナーを閉めておかないと、テクニカルな下りで補給食などが飛び出すことがありますので注意が必要です。
私は下記写真のULTRASPIREのZYGOSを愛用していますが、ザックの硬さから荷物を入れた際の荷重バランスが良いことからかなり愛用しています。
ザック型のトレイルランニングザックのメリットとして、荷物を入れた際にザックが膨張しても生地が硬いために締め付け感を感じないということです。
これだけの荷物を入れて、更に必携品などを全て詰め込んでも荷物の圧迫が身体の中心部に来ないので圧迫感を案じないのがすごいです。
【ザックの選び方③】荷物を入れた時のバランスから選ぶ
トレイルランニングザックと走りのバランスを確認する方法ですが、ザックに水や食料、必携品を入れた状態での荷重を確認してみましょう。
ここで自分の走りとザックの荷重バランスが合わない場合は、自分に不向きなザックであると考えて良いでしょう。
ザックにも色々デなザインや色があり、どうしてもかっこよさにだけ惹かれてしまいがちですが、最も大事なのは長時間背負って走っても疲労しないことと、自分の走りのバランスを崩さないということです。
過去にデザインだけで飛びついたトレイルランニングザックがありましたが、最終的にそれで失敗したことがあります。
トレイルランニングザックの選び方は、収納効率だけだと思われがちですが、実はそれだけではありません。
選択するザックによって、自分の走りに合った荷重やバランスを手に入れることも出来るのです。荷物のバランスが変わるということは、同じ重量の荷物を入れた際にも重たく感じないという利点もあるので、レース時の疲労度や成績にも差が出てきます。
それだけトレイルランニングにおいてザックの選択は重要になるのです。
私はトレイルランニングを始めたばかりの頃は、ザックの選び方を良く分からないまま購入してバランスの悪い走りをしていました。
これは私が70㎞少々のレース(IZU TRAIL JOURNEY)を走った時ですが、必携品や補給食をベストなバランスで配分して、走りのバランスを崩さない様にした時です。
この時はULTRASPIREのZYGOSを使用しています。
本来このザックは背部にハイドレーション(水を入れるタンク)は入れない仕様なのですが、ハイドレーションを加工して背部に水を入れる仕様にしました。
トレイルでの練習やレースを重ねる度に、自分にとって何をどこに入れるべきなのか分かってくるので、
自分のべスポジは早いところ確立させておきましょう、それに必要なのは自分の走りに合った荷重を得られるザックを手に入れることです。荷重バランスが合っていないザックを背負って走ると
・転倒しやすくなる
・転んだ際の受け身が取りづらい
以上のリスクが発生して危険です。
特に長距離のレースは集中力との闘いなので、長時間走って集中力が切れつつある時は、余分なリスクは取り払っておきたいものです。
私は転倒して肘を強打して走行不能になったことがあります。
店頭でトレイルランニングザックを選ぶ際には以下の点を注意しておくと良いでしょう。
・ハイドレーションは前後どちらに配置する設計なのか?
・荷物を分散して入れられるポケットがあるか?
・ポケットに自分が入れたいものを収納できそうか?
以上を確認した後に、ザックを背負って前後のバランスを確認するといいでしょう。
おすすめのトレイルランニングザック
ハセツネなど40㎞地点まで水がないレースだと話は別ですが、たいていのトレイルランレースには10㎞~20㎞おきにエイドステーションがあります。
この通常の間隔でエイドがあるトレイルランレースの場合について解説したいと思います。
40㎞でもエイドが少ない場合は以下の解説は当てはまらないので、コースマップや競技規則を確認してザックのサイズを考えましょう。
おすすめのトレイルランニングザック①【ULTRASPIRE ZYGOS】
ULTRASPIRE ZYGOSは私自身かなり使い込んでいるトレイルランニングザックです。ロングのトレイルランニングレースや、工夫次第でファストパッキングにも対応できるマルチザックです。
アメリカ発のブランドで、このメーカーを立ち上げたBryce氏本人が過去にトレイルランナーだったということもあり、彼を含めて総勢32名のエクストリームアスリートが製品開発に関わっています。
つまりシリアスにタイムを削り込むアスリートの試行錯誤が詰まった製品なのです。
日本ではトレイルランニングの第一人者である山本健一選手が開発に携わっていることで有名です。
ザックのサイドポケットの利便性や、ザック底部にカメラが収納できるポケットがあったりなど、彼の遊び心も組み込まれています。
・サイズ S(85~95cm)、 M(95~100cm) 、L(100~105cm) ※胸部の目安
・容量 : 14L
・重量 : 340g
・寸法 : 39x35x7cm
・想定距離:40㎞~100mile
ZYGOSは100mileの必携品までは入ります。
収納できるポケットが全体にバランスよく配置されており、補給食や必携品をいれてもかさばりませんし、走りのバランスもいいです。
山で遊ぶこともレースで追い込むにも最適なザックであり、私自身基本40㎞以上の距離はこのザックで走ることが多いです。
以下記事で詳細なレビューをしています。
現在最新のザイゴスについては以下記事で解説しております。
おすすめのトレイルランニングザック②【ULTRASPIRE ALPHA 3.0】
次におすすめなトレイルランニングザックがULTRASPIRE ALPHA 3.0です。
荷物の詰め込み方にもよりますが、70㎞程度の距離のレースには対応できます。
トレーニングにもちょうどいいサイズなのでALPHA3.0もおすすめです。
ハイドレーションも後ろに取り付けられますが前のポケットはZYGOSよりも少なめです。
・サイズS(90cm~95cm)、M(100cm~)
・容量 : 6L
・重量 : 272g
・想定距離:40㎞~70㎞
おすすめのトレイルランニングザック③【ULTRASPIRE MOMENTUM】
次におすすめなトレイルランニングザックがULTRASPIRE MOMENTUMです。
ZYGOSだと持て余してしまう方や、レースで必携品をちゃんと入れつつも軽量化したいという人にはオススメです。
私は40㎞程度までのレースであればぎりぎりまで荷物を絞ってMOMENTUMで出場することが多いです。
ハイドレーションボトルを使用する方であれば、水の収納場所や必携品を収納する場合でも走りのバランスを崩すことなく収納することができるのがこのザックのポイントです。
ザックのバックボトルがマグネットでバカっと開くのが非常に使いやすいのでかなりおすすめです。
またZYGOSとザック前部の構造も良いものは踏襲されています。
マグネットでロックされる小スペースにはマルチビタミンなどのタブレットを収納しますし、前のポケットも2重構造になっており、補給食の使い分けやゴミの分別がしやすいです。
・容量:6L
・重量:227g
・想定距離:~40㎞
ULTRASPIRE MOMENTUMのレビューは以下記事でレビューしています。
おすすめのトレイルランザック④【SALOMON S/LAB SENSE ULTRA 8】
次におすすめのザックはSALOMON S/LAB SENSE ULTRA 8です。
SALOMONはザックからシューズ、ウエアーまで実に様々な商品を提供していますが、ベスト型のザックと言えばまずSALOMON(サロモン)が浮かびます。
そんなSALOMONが提供するS/LAB SENSE ULTRA8は、まさに着るザック。伸縮性にも富み軽いです。
容量が少ないので40㎞程度のレースまでなら対応できますが、必携品が多いレースであればもう少し容量の多いザックを選択した方が適切でしょう。
私は40㎞以下の短い距離のレースや、少し荷物を持たなくてはならないナイトトレイルの練習会などで良く使用しています。
・容量 : 8L
・重量 :260g
・想定距離:40㎞まで
おすすめのトレイルランザック⑤【THE NORTH FACE フライトレースデイベスト8】
次におすすめなトレイルランニングザックはTHE NORTH FACE フライトレースデイベスト8です。
トレイルランニングと言えばTHE NORTH FACEは欠かせません。UTMBを始め様々なレースで輝かしいキャリアを築いているパウ・カペル選手がサポートを受けており、デザインも非常にカッコいいです。
ザックもこれまで様々な形状のものを出しており、これまでのトレランザックにはない形状のモデルを出してきた印象があります。
フライトレースデイベスト8はパウ・カペル選手が着用していたことで人気を集めました。コロナ渦で中止となったUTMBでしたが、彼が「BREAKING 20」という単独でUTMBと同じコースを走り、20時間を切るというチャレンジを行いました。
その時に使用されていたザックがこのフライトレースデイベスト8でした。
背中のロゴと体にフィットした時のシルエットが最高にカッコいいです。
おすすめのトレイルランザック⑥【THE NORTH FACE TR ZERO】
次におすすめなトレイルランニングザックはTHE NORTH FACE TR ZEROです。
ザックの荷物分散に使えるアイテム
ザックの荷物を分散するのに便利なアイテムが
ポケットの多いランニングショーツとウエストベルトです。
以下でおすすめを紹介いたしますので参考にしてみてください。
アイテム①ポケットの多いランニングショーツ
ザックの荷物分散に使えるアイテムにポケットの多いランニングショーツが挙げられます。これがかなり便利で、私の場合フルマラソンや、必携品の少ないトレイルランニングのレースにも使用します。
30㎞程度のトレイルランニングレースでは、ウォーターボトルに必要最低限の水を入れてレースに参加することだってあります。
腰以上の高さに重量がありすぎるとストレスになるというランナーであれば、ポケットの多いランニングショーツはかなりおすすめです。
アイテム②ウエストベルト
ザックの荷物分散に使えるアイテムにウェストベルトがあります。
フリップベルトなどが挙げられますが、ポケットの多いランニングショーツと同じくらい便利なアイテムです。
圧迫感の苦手な人にはオススメできませんが、ランニングショーツに多くものを入れたいけれども、もう少し腰側にも分散したいという方にはかなりおすすめです。
ウエストベルトがオススメなのは、うまく収納すればレインウエアなど補給食以外の装備も入るということです。
ザックの圧迫感から少しでも解放されたい人にはおすすめです。
まとめ
私が使用したザックなので大分厳選した内容になりましたが、距離別でオススメザックを紹介させて頂きました。
デザインも機能性も多岐に渡っているので、最初はどのザックを選んだらいいのか分からない方もたくさんいるかと思います。
自分に合うザックを選ぶには、
①自分の走りに合う荷重を見極める。
②自分がレースやトレイルランニング中に何をどこに入れたいかをイメージする。
③それを満たすザックで自分の好きなメーカーを選ぶ。
これが失敗しないザックの選び方だと感じていますので、参考にしてみてください。
また本記事の様に、シューズやザックについて選び方やおすすめのアイテムを紹介している記事を書いています。
トレイルランニングシューズについては以下記事でまとめています。
GPSウォッチについては以下記事でまとめています。
補給食やサプリメントについては以下記事でまとめています。
これからトレイルランニングを始めようという方は是非とも参考にしてみてください。
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