世界のトップ選手のトレーニングをSTRAVAで見ると、毎日のように山に入ってトレーニングしている人もいれば、トレッドミルを活用している選手もいます。
トレッドミルで練習を組み立てる上でも、
結果的にトレイルランニングのレースで効果のあるものにする必要があります。
そこで本記事では、
トレイルランのレースで成果の出るトレッドミルのトレーニングはどういったことに注意して組み立てればいいのか?
を考えてみました。
これらの記録を元に考えてみました。
現在もこの練習は継続中であり、定期的に分かったことを記事に肉付けしていきたいと思います。
ポイントがつかめれば、近くに山や坂がないトレイルランナーの方も安心です笑
トレッドミルでの傾斜練習はトレイルランに有効なのか??
結論から言いますと、
効果大です。
早速自宅の近くにあるスポーツクラブに入会して、トレッドミルでの練習を開始しました。
2019年の3月までは山での縦走練習が出来ていましたが、4月からは平地のみの練習で、5月からトレッドミルでのトレイルランに特化した練習を開始しました。
登りの筋力に関してはのトレッドミルに限定して、あとはインターバル的な要素の練習を多く入れましたね。
トレッドミルでのトレイルラントレーニングの目的
様々な書籍をよみましたが、目的としては
●登りで必要な脚筋力をつける
●登りを走る為の筋肉を使ってLT値を向上させる
以上の2点です。
登りで動員される筋肉に刺激を与えることで、その骨格筋に向かう毛細血管量が増えることになります。
その結果、骨格筋に多くの血液が送られる結果となるのです。
これはペース走でランナーが強くなる理論と同じで、このトレーニングを行うことで、
- 使用する骨格筋に血液を効率的に送れる
- 骨格筋そのものを発達する
が可能になるのです!
トレイルランの練習に最適なトレッドミルの傾斜
内容としては
ジムのトレッドミルに傾斜(9~15%)をつけて走る
というものですが、これがなかなかしんどいです。
実際に子この練習を開始して感じると思いますが、傾斜により動員する骨格筋は違います。
実際のトレイルでもギリギリ走れる傾斜や、パワーウォークが必要になる傾斜もあるかとおもいますが、
それぞれの傾斜に動員される筋肉を強化しておけば、少ない筋疲労で走ることが出来るのです。
実際のトレイルで走った場合、同じような傾斜でも段差の合間でちょっとした平地区間があったりしますよね?
そういった場所でリズムを整えたりするのですが、
トレッドミルだと息つく間もなく登りっぱなしになります。
だからこそ効果的なんです!
傾斜をつけた上でどの様な設定でトレーニングするのか?
獲得したい能力は、
山や坂を速いペースで登れる能力です。
つまり、
登りを走る動きでのLT値向上です。
ペース走的要素の他に、慣れてきたらインターバル的な要素を入れるのも良いかと思います。
ペース走がインターバルトレーニングを間の日に挟むと次回のペース走が少し楽になるのと同じイメージです。
傾斜は基本9%で、ペースは時速9㎞~12㎞ですが、
その日にきっちり練習できなさそうな日は設定を落とします。
また、インターバル的な要素を入れる場合は傾斜を15%まで上げるか、ペースを上げるかの2パターンで負荷を調整しています。
陸上の長距離トレーニングでも、ペース走やインターバルで最大酸素摂取量やLT値を向上させるべく負荷をかけますよね?それと同じです。
その練習での獲得標高は大体1000mは超えることが多いですが、2日後の練習ができないぐらい疲労する場合は内容を調節しています。
神戸にいたころは、六甲山の山頂までの往復を基本練習としていたので、登りの高さとしては大体同じくらいになります。
5月から定期的にこの練習を行っていますが、徐々に練習が楽になってきているイメージがあります。
また、トレッドミルで傾斜をつける練習により、
ペース走も楽にこなせるようになってきます。
トレッドミルでのトレーニングがトレイルランのレースに生きてくるのか??
正直なところ、自分としてはここが最大の疑問でした。
トレッドミルは地面(コンベア)が動く仕組みなので、トレイルで必要となる
斜面をプッシュして進む動きが果たして強化できるのか?
ということです。
練習を終えた後はトレイルを走った時と同じ筋肉が疲労しているので効果はあるのだと思いますし、何より不整地を走らないことによる怪我のリスクを抑えられるのは非常に大きなメリットだと感じています。
2019年5月頭から、登りに関してはこの練習のみに専念して、この練習の間に山や坂での練習は一切入れないようにしました。(というかどこの山も遠くて行けない。。。)
それに山や坂を走ってしまうとトレッドミルの傾斜走による効果があったか否かが分からなくなるためです。
それを確認するレースが「スパトレイル2019」でした。
トレドミルでのトレーニングのみで「スパトレイル 」で3位入賞!
まさかの3位入賞でした!
レース当日はミスコースして4㎞弱ロスりましたが、なかったらタイム的に2位には入れたはずです。(まあこれも勝負のうちですが。。)
安心したのは、
トレッドミルの練習がトレイルランの実戦に効果的であった
ということです。
これで登りに効果のない練習だったとしたらもう練習環境的に競技力の向上はあきらめなくてはならなくなるわけですしね。
そうであれば、あとはこのトレッドミルの傾斜走でのペースやよりきつい傾斜での練習に身体を慣れさせることです。
トレイルで必要な動体視力だけは、トレッドミルではつかない
スパトレイルのレース中にも感じましたが、テクニカルな下りに関してはかなり不安がありました。
六甲山の下りでは怪我しない程度に動体視力をつけるべくガンガン飛ばしたものでしたが、
実際のトレイルで養われた動体視力は重要だったんだなと感じます。
ひとまず登りに関してはトレーニングの問題は解決したわけですが、動体視力の問題は何とかしなくてはなりませんね。
世界のトップ選手もトレッドミルを使ったトレーニングを行っている
本を読むと、今回取り上げたトレッドミルでのトレーニングについては、
世界的なトップ選手も取り入れていることがわかります。
「ウルトラ&トレイルランニング コンプリートガイド」にも様々な選手のトレーニング例が書かれていますが、トレッドミルでの傾斜トレーニングは登りに特化した有益な練習であることが分かります。
具体的な例を挙げるとまずRyan Kaiserの例が挙げられるでしょう。
彼は練習の殆ど(約8割)をトレッドミルで実施したというのです。
日本の鏑木さんが走ったことや、優勝候補のJim Walmsleyがミスコースしながらも完走(でも速い)したことで有名なこのレースですが、2016年のハードロック100では5位に入るほどの実績の持ち主です。
ただ、トレッドミルの練習内容を見ると私なんかより全然長い距離を走っていますし、ペースもけっこう早いですし、トレッドミル上でインターバルも行っています。
フルマラソンも2時間30分台では走ってしまうVO2MAXはベースとしてある様なので、そこから登りに特化した練習をされているということです。
世界の鏑木選手も登りに特化した練習に関してはトレッドミルを利用されています。
猛者が集まるトレイルランレースで上位を取るには
コースにもよりますが、トレイルラン二ングレースで上位に入るには、
●トレッドミルでも長い時間走る練習と内容重視の練習を組み合わせる必要がある
●いろんな種類のランニングを入れる
●フルマラソン2時間30分くらいのVO2MAXは必要(国内のトレイルランレース上位選手のフルマラソンのタイムから)
この辺りが条件になってくるということです。
ただVO2MAXに関しては一概にフルマラソンのタイムと相関しているとは言えず、フルマラソンは2時間50分でも、登りが得意な人は大きなレースで上位に入ってきたりもします。
登りを意識したLT値向上を狙うと効果的
平地で行うペース走という種類の練習がありますが、この練習を入れることでマラソンでの基本ペースが上がります。
3分40秒設定でフルマラソンを走るのであれば、当然ペース走はそれよりも短い距離であればもっと設定タイムは早くする必要があります。
トレイルランの場合でもこの考え方は一緒です。
傾斜を付けた状態でのペースを上げられればレース当日のペースは自然と上がっていくわけです。
本当にそうなのか最初は不安でしたが、結果的にレースで証明できたのでデータとして信憑性はあるかと思います。
LT値が向上した上で、ジムのトレッドミルでトレイルラン練習をやってみました。
トレッドミル傾斜走 6月9日
様々な要素のランニングを入れることも重要
これもマラソンにおけるトレーニングにも言えることですが、色んなバリエーションの練習を入れることは非常に重要です。
インターバル、ペース走、クロスカントリートレーニング、トレイルラン、峠走、トレッドミル傾斜走などランニングの練習と言っても実に多岐に渡ります。
以下記事ではその重要性について書いたものです。↓↓
1週間異なるランニングを入れて感じたこと
トレイル・マラソンの走力を上げたいなら「トレッドミル」を積極的に使おう!
トレーニングデータは必ず記録しよう
トレッドミルでのトレーニングもメリハリをつけることはあります。ロードでの練習でジョギングとインターバル、ペース走の日がある様にトレッドミルでのトレーニングもメリハリはつけるべきです。
私は傾斜もしくはペースでインターバルトレーニングを行っていますが、この時に重要視するのが各ハード区間とリカバリー区間の心拍数管理です。
ある程度心拍が落ち着かないとインターバルトレーニングは意味がないですし、それを確認しながらトレーニングしないと非効率的なトレーニングになってしまいます。ここで活躍するのがGPSウォッチです。
最近のGPSウォッチは光学式心拍計が内蔵されており、トレーニング負荷を記録することができます。
以下でGPSウォッチを使用するメリットとおすすめのGPSウォッチについて解説していますので、良かったら参考にしてみて下さい。
GPSウォッチの活用方法について解説!トレイルランや登山、マラソンでの使い方は?
まとめ
実はこの練習を取り入れたのには理由があります。
過去に神戸に住んでいた頃は、裏山に六甲山があった関係で練習環境には非常に恵まれておりましたが、転勤で北関東にきてからというものの、
近くに山どころか坂もないんです。
これまでトレイルや峠走が出来るようなコースで脚筋力の強化していたので、神戸の練習環境が如何に恵まれていたかが分かります。
さてどうしたものかと考えていたところ、トレッドミルでの練習を思いついたわけです。
登りや平地でのスピード、下りの足さばきなど、人によって得意分野は様々です。
自分の得意分野をうまく見極めて、それを磨くことが勝つには大事なんだなと考えさせられる今日この頃です。
登りに関しては工夫次第だというのは間違いないので、是非取り組んでみてください。
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●設定した傾斜・ペースに対する心拍数
●他のトレーニングとの組み合わせ(LT値など)
●実際にトレイルを走った時との相関
●レースでの結果