今回はファストパッキングの魅力について記事を書いてみました。
これからファストパッキングを始めてみようと考えている方には以下のような疑問は無いでしょうか
・ファストパッキンがトレイルランに効果的と聞くけれども本当にそうなのか?
・ファストパッキングは、上級者向けの登山と聞いたけれどもどうしたらできるのか?
・ファストパッキングをすることで得られるものは何なのか?
といった疑問について答えていこうと思います。
そもそもファストパッキングとは何をするものなの?
ファーストパッキングとは、元々縦走登山が源点になった山行スタイルで、必要最低限の荷物で本来の登山行程ではいけない様なスケジュールで行動するものです。
トレイルランニングと登山の間の位置づけですが、私としては山と向き合う上で非常に効率の良い登山スタイルだと感じています。
トレイルランナーには、登山出身の方、陸上競技出身の方がいますが、圧倒的に多いのがこの陸上競技からトレイルランに入る方です。
そういった方のほとんどが、レース以外では決められた山に入って競技を想定したトレーニングしかしないと言うことです。
これは私も同じでした。
かつて六甲山の麓に住んでいたことがありましたが、いつも六甲山の練習では、住吉か岡本から登り始め、山頂を通過して宝塚まで行く行程を往復するというパターンでした。
この練習のメリットは過去の自分のタイムと比較できると言うことなので、そういった点では自分の力量を把握するのに非常に良いのですが、
ファストパッキングと出会ってからは、なんとももったいないと感じています。
せっかく山を長時間走り続ける機動力があるので、もっとトレイルランナーは山を楽しむべきではないかと思うのです。
ファストパッキングを学べば、トレイルランニングでは学べないようなマウンテンギアの知識や、軽量化の知識、あらかじめ山に登る前にどういった作戦を立てればいいかなどの能力がつきます。
ファストパッキングの魅力は?
登山よりも数多く美しい景色に出会えるファストパッキングですが、魅力としては以下の内容が挙げられます。
・普通の山ではいけない場所まで短時間で行ける
・圧倒的に山での戦闘力が上がる
・アウトドアギアに対する知識が増える
・自分の体力面での課題が見つかる
・一歩踏み込んだアウトドアギアの使い方が出来るようになる
以下で解説して行きます。
普通の登山ではいけない場所まで短時間で行ける!
ファストパッキングの魅力のひとつに、通常の登山では入り込めない山域まで週末の登山で行けてしまうと言うことです。
例えば、新穂高からアルプスを縦走しようと考えた場合、一泊二日の行程の縦走であればある程度の場所までしか行けないと思います。
しかしこれが、荷物の軽いファストパッキングであれば、黒部五郎岳や薬師岳など、一泊二日ではいけないような場所まで行くことができます。
これがなんといってもファストパッキングの醍醐味でしょう。
圧倒的に山での戦闘力が上がる
登山なので様々なリスクが潜んでいるわけですが、事前に様々なことを調べ込む必要があります。
具体的に私がファストパッキング時に調べる内容としては以下のものがあります。
・行こうとしている山域のコースタイム、累積標高
・当日の天候や気温
・山小屋はやっているのか?補給できそうな場所はあるのか?
・体調不良時のエスケープルートと、エスケープ後の公共交通機関の状況
・目的地までの到着予定時間
以上をまずスケジュール立てします。
ファストパッキングを始めるまでは、山に行く前に地図を見るなど殆どありませんでした。
しかしファーストパッキングを始めてからは、山と高原地図に書かれたコースタイムから、自分は何%の時間で縦走するのかを計算する必要があるので、頻繁に地図を見る機会が増えました。
山と高原地図にはコースタイムも書かれていますが、なぜここの区間はこんなに短い距離なのにコースタイムが長いのだろうと考えたり、実際にそこの場所に足を運んでその地形を感じることで、地図を見ただけでその険しさが読めてきたりもします。
また、天候についても敏感に察知することができるようになります。
通常の天気予報の天気図ではなく、山の天気には独特の見方があるので、それを勉強することになります。
山の知識検定という検定がありますので、それを勉強すると山全体に必要な知識について身につけることができるのでお勧めです。
また、エスケープルートについてしっかり探しておくことも重要です。
大峯奥駈道などの様な、エスケープルートの少ない縦走路に入って、途中で体調が悪くなったりしたら事故に繋がります。
そういった場合は、本格的に体調が悪くなる前に引き返す必要がありますので、エスケープルートはしっかりと調べておきましょう。
そして、以上を調べ込んだ上で装備を考えます。
アウトドアギアに対する知識が増える
ファストパッキングでは、アウトドアギアについて熟知する必要があります。
まず考慮すべき内容として以下の内容があります。
・レインジャケットの厚さ
・補給食の種類と量
・ハイドレーションの大きさ
・ザックの容量
・ベースレイヤーの種類
・ダウンの有無(ペースや天候から)
これらをどのスペックのものを持参するか決めます。
決めるポイントは、前述しました天候やスケジュール決定時に想定したことをベースに考えます。
状を決めた後は、ヘッドライトなどの必要最低限の装備を詰め込んで完成です。
山小屋を使うか、使わずにテント泊にするかで大きく装備の内容は異なりますが、基本的によく調べ込んでから山に向かいます。
あとはGPSウォッチにルートを取り込んでおいたり、途中で迷うことによる時間のロスをなくし、ファストパッキングに集中できる環境を整えます。
自分の体力面で課題が見つかる
例えば自分が夜間に寝られる気温についても限界が分かります。
夏場であってもアルプスは当然夜は寒いです。
2時あたりに寒すぎて起きることがありますが、これを如何にしのげるかも醍醐味です。
この時はシェルターという簡易テントでの宿泊でしたので、特に寒かったのですが、ザックに足を突っ込み、シュラフカバーとレインジャケットをフル活用してなんとか暖をとって寝ていました。
持ってきたもので重ね着しますが、いかに工夫するかは自分の力量が問われる部分です。
こういった自分の限界を知ることで、通常の登山や日頃の日常生活に戻った時に戦闘力の上がっている自分に気がつくのです。
一歩踏み込んだギアの使いが出来るようになる
私がファストパッキングを始めて良かったなと感じるものの1つに、GPSウォッチの活用方法を学べたと言うことです。
トレイルランやマラソンだけだとどうしても決まった機能しか使わないのではないでしょうか?
私がそうでした。
山に詳しい友人が、色々とGPSウォッチの活用方法について教えてくれましたが、その時はあまり自分には関係ないとその時は思っていました。
でも迷わずに目的とする縦走路を踏破しようと考えると、あらかじめサイトから地図をウォッチにダウンロードしたりすれば、途中で立ち止まって地図を見る手間が省けます。
ウェア等についても同じです。
これまでは、トレイルランニングで使用する必携品となるレインジャケットも、大体トレイルランナーが選択するものを機械的に購入している自分がいました。
しかしファストパッキングを始めるとなると、レースのように守られた環境ではないため、快適性と様々な環境で身を守ってくれる機能性も重要な要素になってきます。
そうなると、
同じレインウエアでも、今回はいつものゴアテックスと違うものを選択してみようか?
いや、アウトドアメーカーが出した新しい素材を試してみようか?
などといろいろ考えるようになるのです。
トレイルランの練習にオススメの理由
これまでは、ファストパッキングの魅力について話してきましたが、このファストパッキングはトレイルランの練習に非常にオススメなのです。
その理由については以下の内容が挙げられます。
・筋力がつく
・体力を上手に使うことができる
・スタート前に自分に合った食事や、レース中の補給方法がわかる
・疲労した身体での俊敏性がつく
以下で解説して行きます。
トレイルランより重たい荷物を持って走ることで筋力が付く
ファーストパッキングは、登山よりも荷物が軽量とは言え、トレイルランニングと比較したら荷物が重たいです。
それで長い距離を縦走するのですから当然脚力が鍛えられます。
ファーストパッキングを何度か繰り返した後にトレイルランニングの装備で山を走ると非常に快適に余裕を持って走ることができます。
体力を上手に使うことが出来るようになる
また、ファストパッキングを行うことで体力を上手に使うことができるようになります。
トレイルランニングであれば、レースの最中にエイドステーションがありますが、ファストパッキングは食料を全て自分で持たなくてはなりません。
よって、どのタイミングで何を食べておくべきかだけでなく、ここでこのペースだったら確実に腹が減るから少しペースを落としておこうなどと考える必要がファストパッキングにはあります。
これはトレイルランニングのレースで燃費よく走ることにつながります。
私の場合、ファストパッキングで心がけた水分補給がトレイルランのレースで非常に役に立ちました。
トレイルランニングにおいて水分はもちろん取らなくてはなりませんが取りすぎてもよくないです。
その水分補給の塩梅を教えてくれたのがファストパッキングでの水の取り方だったのです。
スタート前の食事や、レース中の補給方法が分かる
ファーストパッキングは、トレイルランよりも多くの荷物を持ち、かつ長い距離を走ります。
そうなったときに重要になるのがファストパッキング前に何をどのタイミングで食べるかということで、これはトレイルランニングのレースやマラソンでも自分のベストを把握することができます。
山に入ったからの補給とは別で考えましょう。
まず、これはファーストパッキングだけでなくトレイルランニングにも言えることですが、山に入る前に取る食事はかなり重要です。
いちど山に入ってしまうと、どうしても携帯や保管に便利な補給食に頼らざるをえません。
なので、朝食で食べるものについては栄養価の高いものを極力多く食べるようにしましょう。
特にオススメなのが、山に入る2時間前に糖質と水分をしっかりとっておくことです。
糖質はできるだけ精製された炭水化物を避けたいところですが、玄米や十割蕎麦、全粒粉のパンなどはそうそう登山前に手に入れられないので、これは可能な限りで大丈夫かと思います。
なるべく血糖値を急激に上昇しない食事をとっておくことで、インスリンが急激に分泌されなくなり、バテにくいのです。
これについては、別記事で解説しむすが、
具体的には玄米ご飯や全粒粉のパンなど、食物繊維やビタミンB1を始めとする栄養素に富んだ食事です。
食物繊維が多いことが消化をゆっくりにさせ、満腹感が持続します。
つまり腹持ちが良いので血糖値の上昇も緩やかなのです。
トレイルランの補給については以下記事で解説しています。
疲労した中での俊敏性がつく
ファストパッキングの中で得られる能力として、疲労した中でも俊敏性を維持できると言うことです。
理由は長い距離を縦走していると、たとえ披露していても躓いたり転倒したりと俊敏性を要求される機会が多くなるからです。
トレイルランニングでも、長いレースであれば終盤に普段転ばないようなところで転んでしまったりすることがあるかと思いますが、それは疲労から日ごろの俊敏性が対応できないと言うことです。
俊敏性の重要性については、以前にもこちらの峠走の記事で少し触れています。
トレイルランニングには俊敏性が非常に重要になります。
木の根やちょっとした石につまずいたときでも、俊敏性があれば転ばないようにすぐさま体が反応できますが、そうでないとそのままビターンと地面に叩きつけられてしまいます。
これを防ぐには、脳からの指示に体が俊敏に対応できるようにしておく必要があり、これに必要なのが神経系のトレーニングなのです。
これには、陸上の短距離競技でよく行われるラダートレーニングなどが一般的ですが、ジョギング中にクロスカントリーコースや階段などを取り入れることでも強化できます。
地面の凹凸を感じながら走ることで、障害物を踏んだときの痛みや転ばないように路面をよく見て着地を考えるトレーニングの効果をファストパッキングは高めることができるのです。
必要最低限の装備
ファストパッキングでは、必要最低限の装備をまず準備しましょう。
まず買っておいて損がないものとして、以下のものが挙げられます。
・トレイルランニングよりも厚手のレインジャケット
・レインパンツ
・薄手のダウンジャケット
・ファーストパッキング用のザックもしくは少し大きめのトレイルランニングザック
・ヘッドライト(ヘッドライトの予備バッテリー)
・急速充電器
・構造の堅牢なトレイルランニングシューズ
・ストック
・GPSウォッチ
・ベースレイヤー
・ミドルレイヤー
・ハイドレーション
・シェルター
この辺りかと思います。
小屋を使用するスケジュールを取るのかどうかにもよりますが、以上の内容をピックアップして解説して行きます。
トレイルランニング用よりも少し厚手のレインジャケット・パンツ
私のオススメは何といってもこのモンベルのストームクルーザーでしょう。
ファストパッキングでは、レインジャケットとレインパンツは防寒着としても大活躍します。
それは活動中だけでなく寝る時もです。
防水性透湿性はもちろん、夜間も重宝しますのでぜひ1着持っておきたいところです。
小さくパッキングできますし、軽量な上、岩で多少擦っても破れません。
ヘッドライト
ファストパッキングでは長時間山を行動するので、ヘッドライトは必須です。
ヘッドライトについては以下記事を参照してみてください。
長時間バッテリーが持つもので明るいものが良いです。
そうなりますと、それぞれの場面で適切な照度を提案してくれるREACTIVE LIGHTING SYSTEMの搭載されたPETZLのヘッドライトがお勧めです。
現在、私が使用しているのはPETZLのNAOというシリーズですが、その後継機となるこちらの機種がお勧めです。
ウエアー類(ベースレイヤー、ミドルレイヤー)
トレイルランやファストパッキングについては以下記事を参照してみてください。
この記事に書いてあることは基本的にトレイルランの内容ですが、ベースレイヤーとミドルレイヤーについてはこのままファストパッキングでも応用できるかと思います。
GPSウォッチ
GPSウォッチについてはナビゲート機能の付いているものがオススメです。
私はSUUNTO9を使用していますが、予め地図を入力しておけば迷わずに初めての山でも案内してくれます。
以下はオススメのGPSウォッチの記事です。
以下では私が使用しているSUUNTO9のナビゲートシステムを起動させて初めての山に入った時の記事です。
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