フルマラソンでは、レース中の補給が重要になります。
特にエネルギージェルなどの補給食を持って走る場合、
「ジェルは何kmで摂ればいいのか?」
「疲れてから補給するのでは遅い?」
「フルマラソンではジェルを何本持てばいい?」
「サブ3とサブ4では補給タイミングも変わる?」
と悩むランナーも多いのではないでしょうか。
マラソンの補給で重要なのは、疲労や空腹を感じてから慌てて補給するのではなく、
あらかじめ補給するタイミングを決めておくことです。
また、「10kmごとに1本」といった距離だけで考える方法もありますが、フルマラソンの走行時間はランナーによって大きく異なります。
同じ10kmでも、40分で走るランナーと60分かかるランナーでは、補給までの時間も変わります。
そのため私は、距離だけではなく「どのくらいの時間走ったか」も考えながら補給計画を組むことが重要だと考えています。
私自身、これまで多くのフルマラソンに出場し、さまざまなエネルギージェルや補給方法を試してきました。
現在のフルマラソンの自己ベストは2時間46分48秒ですが、ここに至るまでには補給がうまくいったレースだけでなく、タイミングや摂り方で失敗した経験もあります。
また、市販のジェルを使用するだけでなく、成分や摂取方法を調べながら自分でジェルを試作し、実際のランニングで検証してきました。
この記事では、そうした実体験も踏まえながら、
・マラソンではなぜ補給が必要なのか
・レース前・レース中の補給タイミング
・フルマラソンではジェルを何本持てばいいのか
・給水所とジェルを組み合わせる方法
・目標タイムによる補給の考え方
・私が実際に行っている補給方法
・補給で失敗しないための注意点
について詳しく解説します。
これからフルマラソンを走る方が、自分の目標タイムに合わせた補給計画を作れるところまで具体的に紹介していきます。
| 著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者) 書籍などを通じてトレーニングを独学し、初マラソン4時間58分から記録を伸ばし、40代でサブエガを達成。 主な自己ベスト YouTube|マウンテンランニング研究所 |
マラソンではなぜ補給が必要なのか?
フルマラソンでは、体格や走るペースによって違いはありますが、
1レースで2,500kcal前後、あるいはそれ以上のエネルギーを消費することがあります。
以下は私が防府読売マラソンを走った時のデータですが、実際に2500Kcal近く消費していることが分かります。
これだけを見ると、
「走って消費する2,500kcalを、ジェルなどでその分補給しなければならないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
私たちの身体には、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして糖質が蓄えられているほか、体脂肪として非常に多くのエネルギーが蓄えられています。
それらをレース当日は最大限活用することになります。
グリコーゲンとして蓄えられるエネルギー量には個人差がありますが、一般的には数千kcal程度が一つの目安になります。
今日はSAMURAI練習会で35km。
この距離を週1で当たり前にやるようになってから、ひとつ大きな変化を感じています。
それは回復が明らかに速くなったこと。
普通に考えたら、35kmも走れば疲労は溜まるはず。
でも実際には逆で、継続するほど回復力が上がっていく感覚があります。… pic.twitter.com/fyYJJfdAy9
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) April 4, 2026
ただし、身体に蓄えられているグリコーゲンのすべてをマラソンだけに使えるわけではありません。
特に肝臓のグリコーゲンは血糖値の維持などにも利用され、身体は走っている間も生命活動を続けています。
そのためフルマラソンでは、限られた糖質を利用しながら、同時に脂質もエネルギー源として使って走り続けることが重要になります。
マラソンでは糖質と脂質の両方を使って走っている
ランニング中のエネルギー源は、糖質か脂質のどちらか一方ではありません。
運動強度などによって割合は変化しますが、
糖質と脂質の両方を利用しながら走っています。
ここはマラソンの補給を考えるうえで非常に重要です。
仮に2,500kcalを消費するレースだからといって、2,500kcal分のジェルを持って走る必要はありません。
身体に蓄えられたエネルギーを利用しながら、レース中には必要な糖質を追加していく。
私はこのように考えて補給計画を組んでいます。
糖質は定期的に摂る
そこで重要になるのが、糖質を補給するタイミングです。
身体に蓄えられている糖質には限りがあるため、レース後半になってエネルギー不足を感じてから一気に補給するのではなく、前半から計画的に糖質を摂っていくことが重要です。
運動中の糖質摂取は、血糖を維持し、長時間運動で利用できる糖質を供給するという点でも意味があります。
また、マラソン後半の倦怠感やペースダウンは、
単純に「筋肉のエネルギーがゼロになったから起こる」と説明できるものではありません。
筋疲労や体温、脱水、ペース配分、脳・神経系を含めたさまざまな要因が関係します。
だからこそ私は、
「エネルギーが切れてから補給する」のではなく、
「エネルギー切れを起こす前から身体に定期的に糖質を入れておく」
という考え方で補給しており、その方法でかなりうまくいっています。
別府大分毎日マラソン2026
2時間46分38秒。PBを約2分更新!
うまくいった要因を、すぐ忘れてしまう自分のためにも整理しておこうと思います。
今回はレース前日でも大腿部の張りがなかなか引かず、不安要素は多めでした。… pic.twitter.com/WM4ZJ3Xp9r
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) February 2, 2026
実際のフルマラソンでも、距離だけではなく時間を基準にして一定間隔でジェルを摂るようにしています。
では、具体的に何分ごとに補給すればいいのでしょうか?
次から、マラソンの補給タイミングについて詳しく解説していきます。
マラソンの補給タイミングはいつがいい?
マラソンの補給では、疲れや空腹を感じてからジェルを摂るのではなく、
レース前から補給するタイミングを決めておくことが重要です。
長時間の運動では、運動中に糖質を摂取することが推奨されており、一般的には1時間あたりの糖質摂取量を目安に補給計画を考えます。運動時間が長くなるほど、必要となる糖質量も増える傾向があります。
ただし、
「フルマラソンなら○km地点で必ずジェルを摂る」という決まった正解があるわけではありません。
走るペースや目標タイム、ジェル1本に含まれる糖質量、給水・スポーツドリンクから摂る糖質、胃腸の強さなどによって補給方法は変わります。
そのため私は、距離だけではなく「時間」も基準にして補給するようにしています。
レース前から補給を始める
マラソンの補給は、スタートしてから始まるわけではありません。
レース当日の朝食を摂り、スタートまでの時間を考えながら必要に応じて補給し、できるだけエネルギーを確保した状態でスタートラインに立つことが重要です。

私の場合も、スタートしてから最初のジェルを摂ることだけを考えるのではなく、スタート前の補給からレース中までを一つの流れとして考えています。
ただし、本番当日に普段食べていないものを大量に摂るのはおすすめしません。
朝食の内容やスタート前の補給についても、できれば普段のロング走などで試しておきましょう。
レース中は疲れる前から計画的に補給する
レースが始まってからも、
「お腹が空いたらジェルを摂ろう」という考え方ではなく、あらかじめ決めたタイミングで補給していきます。
特にフルマラソンでは、前半は身体に余裕があるため、
「まだ元気だからジェルはいらない」
と感じることがあります。
しかし、後半になって急激に疲労を感じてから補給しても、そこから立て直すのは簡単ではありません。
そのため、余裕のある前半から定期的に糖質を補給していくことがポイントです。
一定量の糖質を後半にまとめて摂るより、運動開始後から一定間隔で分けて摂る考え方には、スポーツ栄養の研究からも合理性があります。
距離だけではなく「時間」で補給タイミングを考える
マラソンでは、
「10kmごとにジェルを1本」といった距離を基準に補給する方法もあります。
もちろん、この方法が間違っているわけではありません。
ただし、同じ10kmでもランナーによって走る時間は大きく異なります。
例えば10kmを40分で走るランナーと、60分で走るランナーでは、同じ「10kmごと」でも補給間隔には20分の差があります。
そのため私は、距離よりも時間を基準に補給する方が、自分の補給計画を管理しやすいと考えています。
私自身のフルマラソンでは、現在は40分程度を一つの目安として定期的に補給しています。
ただし、「40分に1本」がすべてのランナーにとって正解という意味ではありません。
ジェルによって含まれる糖質量は異なりますし、スポーツドリンクなどから摂取する糖質もあります。
大切なのは、
「何kmで摂るか」だけではなく、
「1時間あたりどの程度の糖質を摂っているのか」まで考えることです。
長時間の持久系運動では30~60g/時、2.5時間を超えるような運動では条件によってさらに多い糖質摂取が用いられることもあります。
ただし、高い摂取量ほど誰でも適しているわけではなく、胃腸の許容量などを含めて個別に調整する必要があります。
給水所の位置も考えてジェルを摂る
ジェルの補給タイミングを決めるときは、大会の給水所の位置も確認しておくことをおすすめします。
エネルギージェルの中には濃度が高く、水と一緒に摂った方が飲みやすいものもあります。
その場合、
ジェルを摂る → その後の給水所で水を飲む
という流れをあらかじめ決めておけば、レース中もスムーズです。

私自身もレース前にはコース図を確認し、給水所の位置を見ながら補給タイミングを考えるようにしており、給水した後に少ししたらジェルを取るようにしています。
また、大会によってスポーツドリンクや補給食の内容は異なります。
大会の給水所だけに完全に頼るのではなく、自分で必要な補給を準備したうえで、給水所をどう利用するか考えておくと安心です。
フルマラソンではジェルを何本持てばいい?
フルマラソンの補給を考えるとき、
「ジェルは何本持って走ればいいの?」
と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、フルマラソンで必要になるジェルの本数に、すべてのランナーに共通する正解はありません。
目標タイムだけでなく、
・どのくらいの間隔で補給するのか
・使用するジェルがどのような設計なのか
・ジェル1本にどのくらいの糖質が含まれているのか
・スポーツドリンクなどからも糖質を摂るのか
・カフェインやアミノ酸などをどう取り入れるのか
・自分の胃腸がどの程度の補給に対応できるのか
などによって変わるからです。
そのため、単純に、
「フルマラソンだからジェルを5本持てばいい」
と考えるのではなく、自分がどのくらいの時間走り、その間にどのような補給をするのかから考えていくことが重要です。
糖質の摂取量は補給計画を考える一つの目安
持久系スポーツでは、運動中に摂取する糖質量について一定の目安があります。
一般的には長時間の運動では1時間あたり30~60g程度、さらに2時間30分を超えるような長時間運動では、条件によってそれ以上の糖質摂取が用いられることもあります。
そのため、エネルギージェルを選ぶ際に、1本にどのくらいの糖質が含まれているのかを確認することは補給計画を作るうえで一つの参考になります。
商品に「糖質」の表示があればその数値を確認し、糖質の記載がない場合は「炭水化物」の量も参考になります。
例えば、1本に20g程度の糖質を含むジェルを40分ごとに摂れば、単純計算では1時間あたり約30gになります。
ただし、これはあくまで糖質摂取という観点から見た場合の計算です。
ジェルは糖質量だけで選ぶものではない
ここで注意したいのが、
「糖質を何g摂ればいいか」=「ジェルを何本摂ればいいか」と単純に考えないことです。
エネルギージェルにはさまざまな商品があり、糖質を中心としたものもあれば、カフェイン、アミノ酸、ミネラルなどを組み合わせたものもあります。
また、レース中に摂取する糖質はジェルだけとは限りません。
先に解説したように、スポーツドリンクや大会の給水所などから糖質を摂ることもあります。
つまり、ジェルだけを切り取って補給を考えるのではなく、レース全体で何を摂るのかを見ることが重要です。
私自身も、単純に「消費したカロリーをジェルの糖質で補う」という考え方では補給計画を作っていません。
前述したように、マラソンでは身体に蓄えられている糖質だけでなく、脂質もエネルギー源として利用しながら走っています。
そのうえで、レース中には定期的に補給を行い、長時間走り続けるためのエネルギー供給をサポートしていく、という考え方をしています。
使用するジェルによって補給の考え方も変わる
私自身が現在使用しているSAMURAIGELも、糖質だけを大量に補給することを目的として作ったものではありません。
はちみつをベースとしながら、MCTやアミノ酸、ミネラル、カフェインなど、長時間の運動中に摂取することを考えて成分を組み合わせています。
そのため私の場合は、
「1時間あたり糖質○gにするためにSAMURAIGELを何本摂る」
という考え方だけで補給タイミングを決めているわけではありません。
レース全体の補給計画の中で、何を・いつ摂るのかをあらかじめ決めておくことを重視しています。
もちろん、一般的な糖質摂取量の目安を知っておくことは重要です。
そのうえで、使用するジェルの特徴やスポーツドリンクなどからの補給も含めて、自分に合った方法を作っていく必要があります。
私の場合は40分程度を目安に定期的に補給する
私自身は現在、フルマラソンでは40分程度を一つの目安として定期的に補給するようにしています。
これは、
「40分で体内のエネルギーがなくなるから」ではありません。
前半から一定の間隔で補給を続けるために、私にとって管理しやすいタイミングとして40分程度を目安にしています。
フルマラソンの後半になると、疲労によって補給すること自体を面倒に感じることもあります。
そこで、「疲れたら摂る」のではなく、
「あらかじめ決めたタイミングになったら摂る」
という方法にしておけば、補給を忘れにくくなります。
また、使用するジェルによって成分や目的を変えたり、給水所の位置に合わせて多少タイミングを前後させたりすることもあります。
ジェルの本数は「走る時間」から準備しておく
したがって、ジェルの本数を決めるときは、まず自分がフルマラソンを何時間で走る予定なのかを考えてみましょう。
仮に40分程度を一つの補給タイミングとするなら、
3時間で走るランナーと5時間で走るランナーでは、当然必要になる補給回数も変わってきます。
ただし、
「サブ3なら4本、サブ4なら6本」と本数だけを決めてしまうのではなく、
走行時間 → 補給する間隔 → 使用する商品の特徴 → ジェル以外からの補給
まで含めて考えることが重要です。
そして、作った補給計画は本番で初めて試すのではなく、ロング走などで実際に試しておきましょう。
自分が問題なく摂取できる量やタイミングを確認しておくことが、最終的には最も重要です。
マラソン中は何を補給すればいい?
ここまでマラソンの補給タイミングについて解説してきましたが、もう一つ考えておきたいのが、
「レース中に何を補給するのか?」
ということです。
マラソンの補給というとエネルギージェルをイメージする人が多いと思いますが、ジェルに含まれている成分は商品によって大きく異なります。
私自身は、
・エネルギー源となる糖質
・水分・電解質
・カフェイン
・BCAAなどのアミノ酸
・マグネシウムなどのミネラル
といった成分を確認しながら、レース中の補給を考えています。
もちろん、これらをすべて必ず摂取しなければならないというわけではありません。
大切なのは、それぞれの役割を理解したうえで、自分が何を目的に補給するのかを考えることです。
エネルギージェル・糖質
フルマラソンのレース中に補給しやすいのが、エネルギージェルです。
コンパクトで携帯しやすく、走りながらでも糖質を摂取しやすいため、多くのランナーが利用しています。
前述したように、マラソンでは身体に蓄えられた糖質と脂質の両方をエネルギー源として利用しています。
そのため、レースで消費するカロリーをすべてジェルから補給する必要はありません。
一方で、身体に蓄えられている糖質には限りがあります。
そこで、レース後半にエネルギー不足を感じてから慌てて摂るのではなく、前半から計画的に補給していくことが重要になります。
また、ジェルを選ぶ際にはカロリーだけを見るのではなく、糖質や炭水化物がどのくらい含まれているのか、その他にどのような成分が配合されているのかも確認してみましょう。
どのようなジェルを選べばいいのかについては、以下記事で実際に使用してきたエネルギージェルを比較しています。
水分・電解質
マラソンでは、ジェルだけでなく水分補給も重要です。
長時間走り続けることで汗をかき、身体から水分が失われます。また、汗と一緒にナトリウムなどの電解質も失われます。
ただし、必要となる水分量は気温や湿度、発汗量、走行時間などによって大きく変わります。
そのため、
「給水所では必ず○杯飲む」と一律に決めるのではなく、当日の気象条件や自分の発汗量も考えながら調整する必要があります。
特に気温の高いマラソンでは発汗量が増えるため、レース前から水分・電解質についても補給計画を考えておきましょう。
一方で、水分についても多ければ多いほどいいわけではありません。
必要以上に水分を摂り続けることも問題になるため、「脱水を避けるために、とにかく大量に飲む」という考え方には注意が必要です。
カフェイン
マラソン用のエネルギージェルには、カフェインを配合した商品もあります。
カフェインは持久系運動のパフォーマンスとの関係が研究されている成分の一つです。
ただし、「後半はとりあえずカフェイン入りのジェルを使えばいい」というものでもありません。
ジェルによってカフェインの含有量は異なりますし、コーヒーなど普段の飲食物から摂取している量もあります。
また、カフェインに対する反応にも個人差があります。
そのためカフェイン入りのジェルを使う場合は、1本にどのくらいのカフェインが含まれているのかを確認し、レース全体でどの程度摂取するのかを考えておくことが重要です。
私自身もカフェインを補給戦略に取り入れていますが、本番で初めて使用するのではなく、トレーニングでも試すようにしています。
ランニングとカフェインの関係については以下の動画でも詳しく解説しております。
BCAAなどのアミノ酸
マラソンでは、BCAAなどのアミノ酸を補給に取り入れる方法もあります。
BCAAはバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類の必須アミノ酸の総称です。長時間の持久運動ではタンパク質代謝が変化し、BCAAの酸化も増加することが報告されています。
アミノ酸を補給するというと、アミノバイタルなどのアミノ酸を中心とした商品を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、方法はそれだけではありません。
エネルギージェルの中にも、糖質と一緒にBCAAなどのアミノ酸を配合した商品があります。
そのため、
「糖質はジェル、アミノ酸は別のサプリメント」と必ず分けて考える必要はありません。
レース中に使用するジェルを選ぶ際に、
エネルギー源となる成分を補給しながら、BCAAなどのアミノ酸も一緒に摂取する
という方法もあります。
私自身もさまざまな補給方法を試していく中で、単純にカロリーや糖質量だけを見るのではなく、そのジェルにどのような成分が組み合わされているのかも確認するようになりました。
ただし、
「BCAAを摂ればマラソン後半でも脚が止まらない」
と単純に考えるものではありません。
後半の失速にはエネルギー供給だけでなく、筋疲労、ペース配分、気象条件などさまざまな要因が関係します。
アミノ酸についても糖質の代わりではなく、マラソン全体の補給戦略の中でどう取り入れるかを考えるのがいいでしょう。
私がフルマラソンでアミノバイタルを使用した経験や、レース前・レース中・レース後の使い分けについては以下の記事で詳しく紹介しています。
マグネシウム
マラソン用のジェルには、マグネシウムを配合した商品もあります。
マグネシウムは身体に必要なミネラルの一つで、エネルギー産生や神経機能、筋収縮などに関わっています。
そのため、長時間にわたって身体を動かし続けるマラソンでも注目される成分の一つです。
また、ランナーの場合、
「マグネシウム=足攣り対策」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
実際、マグネシウムを配合したエネルギージェルやサプリメントも販売されています。
ただし、ここは注意が必要です。
マグネシウムが筋肉の働きに関係していることと、「レース中にマグネシウムを摂れば足攣りを防げる」ということは別の話です。
現在の研究では、運動に伴う筋痙攣は一つの原因だけで説明できるものではなく、筋疲労など複数の要因が関係すると考えられています。
また、マグネシウム補給による筋痙攣予防についても、運動中の筋痙攣を対象とした十分な研究はなく、予防効果が確立されているとはいえません。
そのため、
「マグネシウムを摂っておけば足は攣らない」
と考えるのではなく、筋肉や神経、エネルギー産生などに関わるミネラルの一つとして理解しておくのがいいでしょう。
ジェルによっては、糖質などのエネルギー源と一緒にマグネシウムを補給できる商品もあります。
私自身もジェルを選ぶ際には、カロリーだけではなく、BCAAやマグネシウム、カフェインなど、どのような成分が組み合わされているのかを見るようにしています。
補給は一つの成分だけで考えない
マラソンの補給を調べていると、
「糖質は何g必要?」
「BCAAは摂った方がいい?」
「マグネシウムは足攣りに効果がある?」
「カフェインはいつ摂ればいい?」
など、一つひとつの成分に目が向きやすくなります。
もちろん、それぞれの役割を理解することは大切です。
しかし、実際のマラソンではこれらをすべて別々に摂る必要はありません。
例えば一つのジェルで、エネルギー源となる成分に加えて、BCAAやマグネシウム、カフェインなどを同時に摂取できる商品もあります。
だからこそ私は、
「何kcal摂れるジェルなのか?」
だけではなく、
「このタイミングで何を補給するために、このジェルを使うのか?」
まで考えて補給を組み立てることが重要だと考えています。
スタートからフィニッシュまでを一つの補給計画として考え、その中で必要な成分とタイミングを決めていく。
そして、その補給方法が本当に自分に合っているのかを、普段のトレーニングで試しておくことが重要です。
次は、私自身が実際のフルマラソンでどのような補給を行っているのかを具体的に紹介します。
私がフルマラソンで実践している補給タイミング
ここまでマラソンの補給について一般的な考え方を解説してきましたが、ここからは私自身が実際にどのように補給しているのかを紹介します。
私はこれまでさまざまなエネルギージェルやアミノ酸系の商品を使用し、自作したジェルをトレーニングで試すなど、補給方法についていろいろと試してきました。

その中で現在特に意識しているのが、先にも解説したように
「疲れてから補給するのではなく、前半から一定の間隔で補給を続ける」
ということです。
基本は40分程度を目安に補給する
現在の私は、フルマラソンでは40分程度を一つの目安として補給しています。
例えば、
「脚が重くなってきたからジェルを摂ろう」
「空腹を感じたからそろそろ補給しよう」
というように身体の変化を感じてから判断するのではなく、あらかじめ補給するタイミングを決めておきます。
これは40分でエネルギーがなくなるという意味ではありません。
長時間走り続ける中で補給を忘れないため、そして後半にまとめて補給する状況を避けるために、自分にとって管理しやすい間隔として40分程度を設定しています。
また、毎回きっちり40分00秒で摂るわけでもありません。
給水所の位置などを確認しながら、多少前後させることもあります。
大切なのは、
「疲れたら摂る」ではなく「レース前に補給するタイミングを決めておく」
ということです。
前半から補給を始めて後半まで続ける
フルマラソンの前半はまだ身体に余裕があるため、
「今ジェルを摂らなくても大丈夫そう」
と感じることがあります。
しかし、私はここで補給を後回しにしないようにしています。
前半から予定通り補給を始め、そのまま中盤、後半まで一定のリズムで続けます。
特に30kmを過ぎてからは、疲労によってジェルを取り出したり開封したりすることさえ面倒に感じることがあります。
だからこそ、後半になってから補給を考え始めるのではなく、スタート前に最後までの補給計画を作っておくようにしています。
ジェルごとに摂りたい成分も考える
もう一つ私が意識しているのが、すべてのジェルを単純に「カロリーを補給するもの」として考えないことです。
前述したように、ジェルには糖質を中心とした商品だけでなく、
・BCAAなどのアミノ酸
・マグネシウムなどのミネラル
・カフェイン
・MCT
などを組み合わせた商品もあります。
そのため私は、レースのどのタイミングで、何を補給したいのかまで考えてジェルを選ぶようにしています。
現在は、自身で開発したSAMURAIGELもフルマラソンの補給に使用しています。
SAMURAIGELについても、単純に消費したカロリーを糖質で補うことだけを目的にしたのではなく、長時間の運動で使用することを考えて成分を組み合わせています。
ただし、ここで紹介している私の補給方法が、すべてのランナーにそのまま当てはまるわけではありません。
重要なのは、使用する商品の特徴を理解したうえで、自分の走行時間や補給目的に合わせて組み合わせることです。
2026年の別府大分毎日マラソンでも計画的に補給
2026年の別府大分毎日マラソンでは、2時間46分48秒で自己ベストを更新しました。
このレースでも、補給については当日の感覚だけで判断するのではなく、事前にある程度の計画を作ってスタートしています。
フルマラソンではレースが進むにつれて筋疲労も大きくなり、集中力も低下してきます。
そんな状態で、
「次はいつジェルを摂ろう?」と考え続けるより、事前に補給するタイミングを決めておいた方がレースそのものに集中できます。
もちろん、このタイムを補給だけの効果と考えることはできません。
フルマラソンの結果は、トレーニングや走力、ペース配分、当日の気象条件など多くの要因によって決まります。
それでも、42.195kmを走るための補給を事前に準備し、予定した補給を実行することもレース戦略の一つだと私は考えています。
そして、この補給方法にたどり着くまでには、うまくいったレースだけでなく、補給方法を失敗した経験もありました。
マラソンの補給で実際に失敗したこと
現在は40分程度を一つの目安として定期的に補給していますが、以前からこの方法だったわけではありません。
補給の重要性を強く感じたレースの一つが、過去に出場した金沢マラソンです。
このレースでは自己ベスト更新を狙っており、序盤から積極的なペースで走っていました。
しかし、そこで大きな失敗をしました。
走ることに集中するあまり、レース前半の補給をほとんど意識できていなかったのです。
自己ベストを狙って走ると補給を忘れやすい
自己ベストを狙うレースでは、余裕のあるジョギングとは違います。
設定したペースを維持しながら、
「このラップで大丈夫か」
「前の集団についていくか」
「少しペースが速すぎないか」
など、走ることそのものに意識が向きます。
さらにレース前半は身体も動くため、補給しなくても問題なく走れているように感じます。
金沢マラソンでもまさにこの状態でした。
序盤から攻めたペースで走っていたこともあり、補給すること自体を忘れてしまっていました。
途中で突然猛烈な倦怠感に襲われた
異変を感じたのは28km付近でした。
不思議だったのは、筋肉的にはまだ走れる感覚が残っていたことです。
普段から30km走も定期的に行っていたため、脚そのものにはまだ余力があるように感じていました。
ところが、身体全体には猛烈な倦怠感が出てきました。
「脚が痛くて走れない」というよりも、
身体全体が走ることを拒否しているような感覚に近かったのを覚えています。
その後、30~35kmでは大きくラップを落としてしまい、終盤は自己ベストを狙うどころではなく、何とかフィニッシュまでたどり着くようなレースになりました。
筋持久力だけがマラソン後半の失速原因ではない
当時は30km走も定期的に行っていたため、この経験は私にとって非常に印象に残りました。
もちろん、マラソン後半の失速にはさまざまな原因があります。
筋疲労だけでなく、序盤のオーバーペース、気象条件、水分補給、糖質の利用状況なども関係するため、金沢マラソンでの倦怠感を「補給不足だけが原因だった」と断定することはできません。
ただ、このレースでは序盤から高い強度で走っていたにもかかわらず、レース中に計画的な補給ができていませんでした。
長時間の持久運動では、運動中の糖質摂取によって血糖の維持や糖質利用を支えることができます。
そのため、前半から糖質を補給できていなかったことが、後半に強い倦怠感が出た一因だった可能性は十分に考えられます。
そして私自身、この経験から、
「脚が動くからまだ補給しなくていい」と考えるのは危険だ
と強く感じるようになりました。
この失敗から「疲れる前に補給する」ようになった
この経験が、現在の補給方法にもつながっています。
マラソン前半は身体が動くため、補給の必要性を感じにくいものです。
しかし、必要性を感じてから補給するのではなく、必要になる前から計画的に補給していく。
そのため現在は、
40分程度を一つの目安として、疲労感や空腹感に関係なく定期的に補給するようにしています。

また、自己ベストを狙うレースほど走ることに集中するため、補給をその場の判断に任せないことも重要だと考えています。
スタート前に、
「何分で何を摂るのか」をある程度決めておけば、レース中に考えることも少なくなります。
金沢マラソンでの失敗は、私にとってマラソンは脚を作るだけではなく、42.195kmを走り切るための補給まで含めて準備する必要があると実感したレースでした。
補給ジェルはレース本番前に必ず試しておく
マラソンで使用する補給ジェルは、できればレース本番前のトレーニングで実際に試しておくことをおすすめします。
エネルギージェルは商品によって、
・味や甘さ
・粘度や喉越し
・1本あたりの量
・糖質量
・カフェインやBCAA、マグネシウムなどの成分
・水と一緒に摂る必要があるか
・パッケージの開けやすさ
などが異なります。
成分だけを見ると良さそうなジェルでも、実際にマラソンで使ってみると自分には合わないことがあります。
特に私が重要だと考えているのが、
「疲れた状態でも美味しく飲めるか?」
「喉を通りやすく、ストレスなく摂取できるか?」
ということです。
疲れた状態でも美味しく飲めるか確認する
ジェルの味を確認するだけなら、自宅でもできます。
しかし、マラソンで実際にジェルを使用するのは、何時間も走って身体が疲れている状態です。
自宅で飲んだときには美味しく感じても、20km、30kmと走った後では、
「甘すぎて飲みたくない」
「粘度が高くて喉を通りにくい」
「口の中に味が残る」
と感じることもあります。

さらにフルマラソンでは、レース中に複数のジェルを使用することもあります。
1本目は美味しく飲めても、2本目、3本目になると同じ味を受け付けなくなることもあります。
だからこそ私は、ジェルを選ぶときに成分だけでなく、
「疲労した状態でも美味しく感じられる味なのか?」
「後半でもスムーズに飲み込める喉越しなのか?」
という点も重視しています。
どれだけ優れた成分が入っていても、レース後半に「飲みたくない」と感じて補給できなければ、そのジェルを十分に活用できません。
反対に、疲れている状態でも美味しく飲むことができれば、予定していた補給を継続しやすくなります。
結果として、レース中のエネルギー供給を途切れさせないためにも、味や喉越しは重要な要素だと考えています。
そのため、ジェルは栄養成分表示だけで選ぶのではなく、実際に疲れた状態で摂ってみることが重要です。
ロング走で実際の補給を再現する
ジェルを試すのであれば、短いジョギングだけではなく、20~30km走などのロング走で使用してみるのがおすすめです。
本番で40分程度を目安に補給するのであれば、ロング走でも同じようなタイミングで摂ってみます。
夏に距離走をする意味ってあるのか?
秋になって30km、35km走をするのであれば、個人的には夏のうちからある程度長い距離を走っておいた方がいいと思っています。https://t.co/pSrh5iG6cZ
ただ、夏に30km走る必要はない。… pic.twitter.com/r4HhkrWgCG
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) August 14, 2026
例えば、
40分→80分→120分
と複数回摂ってみれば、1本だけ飲んだときには分からなかったことも見えてきます。
「40分間隔なら問題なく摂れる」
「後半になると甘さが気になる」
「水と一緒の方が飲みやすい」
「もう少しサラッとしたジェルの方が自分には合っている」
など、本番に近い状況だからこそ分かることがあります。
また、給水所を想定してジェルを摂るタイミングを決めてみるのもいいでしょう。
補給計画そのものをトレーニングするという考え方です。
胃腸との相性も確認しておく
味や喉越しと同時に確認しておきたいのが、胃腸との相性です。
マラソンでは長時間にわたって走りながら補給するため、普段の食事とは条件が大きく異なります。
1本だけなら問題なくても、レース中に何本も摂取することで、
・胃が重くなる
・気持ち悪くなる
・お腹の調子が悪くなる
といったこともあります。
そのため、本番で複数のジェルを使用する予定であれば、トレーニングでも複数回の補給を試しておきましょう。
これは単純にジェルとの相性を見るだけではありません。
走りながら糖質や水分を摂取することに身体を慣らしていくことも、マラソンに向けた準備の一つです。
カフェイン入りのジェルも本番前に試す
カフェイン入りのジェルを使用する場合も、本番で初めて使うのは避けた方がいいでしょう。
カフェインへの反応には個人差があります。
また、ジェルだけでなく、レース当日のコーヒーなどからカフェインを摂取することもあります。
そのため、
「後半用だからカフェイン入りを使おう」と本番当日に初めて使用するのではなく、事前にトレーニングで試しておきます。
複数のカフェイン入りジェルを使用するのであれば、1本あたりの含有量を確認し、レース全体でどの程度摂取することになるのかも把握しておくといいでしょう。
ジェルの携帯方法や開けやすさも試しておく
意外と見落としやすいのが、ジェルの携帯方法です。
自宅では簡単に開けられるパッケージでも、走りながらではうまく開けられないことがあります。
特にマラソン後半では疲労も大きくなっているため、
「ジェルを取り出す→開封する→飲む→給水する」という一連の動作が想像以上に面倒になることがあります。
・ポケットやランニングベルトのどこに入れるのか。
・走りながら簡単に取り出せるのか。
・濡れた手でも開けられるのか。
こうした部分までロング走で確認しておけば、本番で補給に余計なストレスを感じにくくなります。
補給もマラソントレーニングの一つ
マラソンに向けたトレーニングというと、
・30km走をする
・マラソンペースで走る
・脚を作る
といったことに意識が向きがちです。
しかし、42.195kmを走り切るためには補給の準備も必要です。
金沢マラソンで補給を忘れて後半に大きく失速した経験からも、私は「走力があれば補給は何とかなる」というものではないと感じています。
本番で使用するジェルをロング走で試し、
いつ摂るのか、疲れていても美味しく飲めるのか、喉越しはどうか、胃腸に問題はないか、走りながら取り出して摂取できるか確認しておく。
補給もマラソントレーニングの一つとして、本番までに練習しておくことが重要です。
まとめ|マラソンの補給はタイミングを決めておこう
今回は、フルマラソンでジェルなどの補給食を摂るタイミングについて、私自身の経験も交えながら解説しました。
マラソンの補給で重要なのは、疲れたり空腹を感じたりしてから補給するのではなく、あらかじめ補給するタイミングを決めておくことです。
私自身は現在、40分程度を一つの目安として定期的に補給しています。
もちろん、40分という時間がすべてのランナーに当てはまるわけではありません。
走る時間や使用するジェル、給水所の位置などを考えながら、自分に合った補給タイミングを決めていくことが大切です。
また、ジェルは単純にカロリーや糖質量だけで選ぶものでもありません。
糖質に加えて、カフェインやBCAA、マグネシウムなどが配合された商品もあります。
「いつ補給するのか」だけでなく、「そのタイミングで何を補給したいのか」まで考えることで、自分なりの補給戦略を組み立てやすくなります。
そして、本番で使用するジェルは事前にロング走などで試しておきましょう。
私自身、金沢マラソンでは前半の補給を忘れ、28km付近から猛烈な倦怠感に襲われた経験があります。
そうした失敗もあり、現在は「疲れてから摂る」のではなく「疲れる前から計画的に摂る」ことを意識するようになりました。
マラソンに向けて30km走やペース走を行うのと同じように、補給についても本番までに練習しておく。
補給まで含めてマラソンのレース戦略です。
自分に合ったジェルと補給タイミングを見つけ、本番で迷わず実行できる状態を作っておきましょう。
いつもありがとうございます!更新の励みになりますのでクリックお願い致します。







コメントを残す