今回はマラソンと5000mの相関と、マラソンのタイム向上に繋がるトレーニング方法について解説致します。
以前にマラソンサブスリーに向けた練習方法の記事を書きました。
この中でロングファルトレクについての重要性について一部解説しているのですが、今回はその内容を深掘りした記事です。
本記事は以下の方を対象にしています。
・マラソンのタイムを向上させたい
・トレイルランのパフォーマンスを向上させたい
・マラソンの結果に繋がる5000mの練習方法について知りたい
以下記事で解説していきます。
マラソンのタイムを決める要素
マラソンのタイムを決める要素は、筋持久力とその人が持つトップスピードです。
どちらか片方が欠けても良いタイムは期待できません。
筋持久力が優れていて、ウルトラマラソンの完走経験が何度もある人でも、マラソンで2時間30分を切ろうと思ったら、それ相応のトップスピードが必要になってきます。
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逆に5000mで14分台のタイムを持っている選手でも、筋持久力が低く10㎞以上は走ったことがない人はポテンシャルはあるものの、2時間30分を切るタイムを狙うのは難しいでしょう。
つまりマラソンで記録を出すには筋持久力と高いトップスピードの両方が必要となるのです。
先程からトップスピードと言いましたが、100mのスピードがあればいいのかと言えばそうではなく、これは5000mを指します。
5000mはランナーの酸素処理能力を問われる種目
先にマラソンにおけるトップスピードは5000mを指すと解説しましたが、5000mはランナーの酸素処理能力を問われる種目なのです。
レースで5000mが絶妙にキッツイのは自分の酸素処理能力をまさに開発しているところだからです。
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サイヤ人が強くなるあたって瀕死の経験が必要となるのと同じです。
できることなら走りたくない5000mですが、ランナーにとってこれだけ自分の力量を知ることが出来る種目はありません。
5000mのレースに出て記録を狙ったことのある方なら分かると思いますが、最初からかなりきついですよね。私自身、学生の頃に日体大記録会に出場していた頃は、スタートラインに立つのが憂鬱だったことを記憶しています。
マラソンの記録を伸ばしたいのであれば酸素処理能力を向上させる必要があり、5000mのタイムを向上させるトレーニングが必要となるのです。
当然5000mのタイムが良ければ早いペースであっても余裕を持って走ることが出来ます。
これはモータースポーツと一緒で、排気量の異なる車は最大出力が違ってくるのと同じで、カートがF1に勝てない理由と同じです。
レース当日にF1がクラッシュすれば勝つ可能性はありますが、ランナーのポテンシャルとしてトップスピードが明らかに速い方が記録を出す可能性は高いのです。
カートとF1が同じ努力量で完走した時のタイムは大幅に異なることは明らかです。
マラソンのタイムはある程度5000mのタイムで分かる
マラソンのタイムはある程度5000mのタイムで分かるという話は聞いたことはあるかと思います。
良く言われているのは5000mの走力の1分20秒足したタイムがマラソンの5kmラップに相当するというものです。
但し、この相関はマラソンに必要な筋持久力とトップスピードの両方を強化するトレーニングが出来ていることが前提となります。
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マラソンのタイムは5000mのタイムに左右されるということですが、これは70㎞~100㎞のトレイルランニングの成績がその選手のマラソンのタイムに左右されるという事実とにています。
マラソンの基準ペース(このままだと42.195㎞走れるという最高ペース)もこれと同じで、その時の5000m走力が最も参考になるということです。
5000mのタイムがマラソンに影響するもう一つの理由「使用する代謝経路」
5000mがマラソンのタイム向上に影響するもう一つの理由ですが、これは代謝経路の切り替えにあります。
ランニング中に「脂質」を使って走ることが出来るのです。
この脂質って、糖質と比較してエネルギー効率がかなりいいんです。この辺りの詳細は以下記事でも解説しております。
つまり酸素をランニングに効率よく使えるランナーは速いペースで走っても楽に走れますし、心拍もその能力が未開発のランナーよりも低く維持でき、使用するエネルギー源も変わってきます。
身体に取り込んだ酸素を効率よく走力に変えられるのであれば、速く走っても酸欠状態にはなりませんし、心拍が低ければ身体を動かなくする物質である乳酸が蓄積することもないのです。(正確には乳酸をエネルギー源に変える)
5000mがきつくもマラソンに効果的というのは、5000mが有酸素ランニング能力の開発に最も効率的だからです。
5000mはペースにもよりますが、スタートして1000m最大酸素摂取量に達してそこから約10分以上動かない体と酸欠の中走り続ける必要があります。
そうすることでランナーに必要な有酸素能力が開発され、これまでのマラソンペースが楽に感じるのです。
ここで言う楽というのは、前回と同じ感覚で走った際に意外にも速く走れているということです。
5000mのタイムが把握できればどれだけのペースでマラソンを押していけるのかが分かるので、5000mはマラソンの指標になるということなのです。
5000mのタイムを向上させるだけでマラソンのタイムが向上するわけではない
5000mのマラソンにおける重要性について解説してきましたが、5000mだけ練習すればマラソンが速くなるわけではありません。
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インターハイに出場している14分台の高校生にフルマラソンを走らせても、全員3時間を切れるかと言えば、そんなことはないはずです。
距離に対して耐性のある練習をしていれば話は別ですが、そうでない選手が殆どのはずです。
ただ14分台で走れれば2時間30分を切る素質は18分台の選手よりもあるということは断言できます。
5000mの力量は有酸素ランニングの目安で、一定のペースで長く走るには別の用途のトレーニングが必要となってきます。
先程のモータースポーツの例で解説すると、5000mはエンジンを強化してより早く走れるようにするということです。
ただそれだけだと長いレースの場合、車体自体も頑丈にしておく必要があります。そうでないとタイヤが外れたり、パンクに繋がったりする可能性があるからです。
マラソンタイム向上の為に取り組む5000mの練習方法は?
マラソンのタイムを向上させようとすると5000mのタイムを向上させる必要があることは先に解説してきましたが、具体的にどうすればいいか分からない方は多いかと思います。
マラソンのタイム向上には5000mの対策だけすればいいわけではなく、様々な要素の練習を複合的に行う必要があります。
やるべきことは多くなるので、ただのジョグで終わる日は少ないと思ってください。
具体的には以下の内容を行うと効果的です。
・ショートインターバルとロングインターバルを両方行う
・LT値を向上させる練習は欠かせない
・中強度でのロングラン
以下で解説していきます。
練習方法①ショートインターバルとロングインターバルを両方行う
練習方法の1つめとして、ショートインターバルとロングインターバルを両方行うことです。
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最も効果的なのはロングインターバル(もしくはロングファルトレク)を行うことです。ただこのロングインターバルをキッチリ行うには補助的にショートインターバルを入れることが不可欠になります。
ロングインターバルは具体的には3㎞k程度を目安にするとよく、イメージとしては10分間の閾値走です。Tペースよりも速いペースを指します。
走り終わった後に動けなくなるまででは負荷が強すぎますので、適度にきついぐらいが良いでしょう。
10分間ちょっと我慢する様なそんなイメージです。
この10分間というのがポイントで、実際に走ると分かると思いますがこの10分間って絶妙にきついんです。
6分間あたりから走るのを辞めたい衝動にかられますし、その状態で身体を動かし続けることになります。
その中で酸素を走力に変える力が培われるのです。
マラソンではこの酸素を走力に変える有酸素的代謝経路を開発することが重要ですので、この練習は重点的に取り組みたいところです。
この練習を継続していれば気が付くと思いますが、これまで以上に速いペースで走っても負荷が低く感じるかと思います。
練習方法②LT値を向上させる練習は欠かせない
練習方法として、LT値を向上させる練習はマラソンの競技力向上には必須となります。
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ダニエルズのランニングフォーミュラで解説されているところの「Tペース」がこれに該当します。
ペース走や上記のロングインターバル的な要素も少し絡んできます。
LT値を向上させたり、リズム感を身体に刻むことが出来るTペースでの練習は極めて重要です。
Tペースについては以下記事でも解説していますので参考にしてみてください。
練習方法③中強度でのロングラン
練習方法として、中強度でのロングランも重要です。
上記では5000mに必要なトレーニングについて解説しましたが。
ここで開発した有酸素能力をマラソンに活かすには、中強度のロングランを入れる必要があります。
イメージとしては30㎞走ですが、これはマラソンレースペースよりも20~30秒遅くても問題ありません。逆にそのくらい負荷を下げるべきです。
ただしここでは筋持久力を付けることが目的ですので、長い距離を走ります。
2時間30分近く走るか、30km以上の距離を走れればいいでしょう。
よく30㎞走と言えばマラソンレースペースで走らなくてはいけないと思い込みがちですが、それってかなりの負荷なんです。ペース的にも速すぎます。
トレイルランニングの競技力向上にも効果的
高い酸素処理能力はトレイルランニングにも効果的です。
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トレイルランニングのトップ選手は山でのトレーニングももちろん行っていますが、基本となるマラソンのタイムが速いです。
「いや、マラソンはあまり走ったことがないんです」というトップ選手に過去のマラソンのベストタイムを聞くと大体ハンパないタイムを持っていることが多いです。
また練習内容を聞くとマラソンをかなりのタイムで走りぬく力量は例外なく持っています。
このことからも、マラソンを速く走れればトレイルランニングの競技力向上にもつながるのです。(つまり5000mの練習も必要であるということです)
まとめ
今回はマラソンと5000mの相関について解説しました。
私もこの当たり前の事実に気が付いてから練習を組みなおしたところ、ひとまずサブスリー(3時間7分→2時間53分)まで身体をスムーズに戻すことが出来ました。
その時の練習内容については以下記事で解説していますので良かったら読んでみてください。
一部有料記事もありますが、思っていたよりも好評で私がビビっています。
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