ウルトラマラソンや、トレイルランニングのようにフルマラソン以上の距離を走るレースでは、走る為のエネルギー源を見直す必要があります。
本記事では、糖質と脂質それぞれのエネルギー源の特長と、より長い距離を高いパフォーマンスで走る為の方法について解説したいと思います。
私も若干試行錯誤しているところはありますが、2019年はその取り組みがうまくいった1年でした。
ランニングには糖質燃焼と脂質燃焼がある
ランニングには、糖質をエネルギー源とする場合と脂質をエネルギー源とする場合があります。
よく長い距離では「脂質を利用してランニングしましょう」などと言われることが多いですが、エネルギー源をコントロールするにはどうすれば良いのでしょうか?
トレイルランニングでは脂質を燃料として使いたい
糖質と脂質、長い距離を走るには両方とも欠かせないものになりますが、
長距離を気持ちよく駆け抜ける為には、
脂質を優先的に使える身体になっておく必要があります。
これはとある日の合同練習会で、京都トレイルrを1周した時に決死の思いで撮影したものです。
急登でもほぼ全て走るというハードなものでしたが、みんな限られた補給食で70㎞をしっかり走り切っていました。(この時私はこの中に奥三河や比叡山のチャンピオンや、ビッグレース入賞者が沢山いるとは思ってもいませんでした。。)
日頃の厳しい練習でエネルギー切れが起きにくい身体が出来上がっているのでしょう。
糖質だけでは消費カロリー分を賄えない
トレイルランニングは、ロードを走るマラソンよりも長時間走ることになります。
そうした場合どうしても、
糖質をエネルギー源とした場合は燃料不足となってしまいます。
人間は限られた量しか糖質を貯蔵することができず、糖質からひねり出されるカロリーも限られています。
実際に人間が貯蔵できるカロリーは約2000キロカロリーで、これはちょうどフルマラソンを走り切ると使い切ってしまう程度のカロリーになります。
糖質をメインに使用してエネルギー切れを起こさない為には、定期的に糖質を補給する必要があります。
脂質の貯蔵量は糖の貯蔵量量より多い
しかしそれが脂質となれば話は異なります。
脂質は糖質と同じ量であっても、
そこからひねり出されるカロリーは莫大です。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いみたいなもので、捻り出されるエネルギーが違うんです。
脂質が燃焼することで得られるエネルギー量は、1グラム当たり約9キロカロリーです。
しかも体の中に貯蔵できる量も、糖質よりはるかに多く、糖質は約2000キロカロリー蓄えられるのに対し脂質は約80,000キロカロリー蓄えられます。
このエネルギー源を利用しない手は無いのです。
しかし問題は、この脂質をどうやって優先的に使用するかと言うことです。
運動の強度によって糖質を使うか脂質が使うかが変わる
エネルギー源を分けるポイントは、
運動の強度です。
この運動の強度というは「心拍数」によって図ることができます。
ただ長い距離をゆっくりジョギングするだけではダメ
LSDなど、長い距離をゆっくりジョギングすることで、遅筋のミトコンドリアの数を増やすことができます。
これはこれで長距離を走る足を作るトレーニングとしては良いものですが、脂質を使ったランニングを体に覚え込ませたいのであれば足りません。
以前、ランニングで50キロジョギングしたのですが結果的に体重が落ちなかったと言うことがあります。
ポイントは運動の強度を変えること
心拍が高ければ運動強度が高く、心拍が低ければ運動強度が低いと言うことになります。
最も脂質が燃焼しやすいのは、
自分が出せるペースの50%位のペースと言われています。
つまりゆっくりでもなく早くでもなくといったペースです。
リディアードのランニングバイブルで提唱されているペースですが、50%といってもなかなかピンとこないと思います。
そこで心拍数データを目安にします。心拍数は今やGPSウォッチにデフォルトで内蔵されている機能で、手首から手軽に取ることが出来ます。
STRAVAなどでも後で振り返ることが出来るので、自分の50%の感覚と心拍数の関係を良く確認しておくことがおススメです。これに慣れてくるとレース中の自分のペース配分についてもベストなバランスが分かってきます。
脂質を使うための練習
日ごろのジョギングのペース配分について少し考えてみましょう。
先に述べたように、ゆっくりなペースのジョギングでは、脂質はあまり使われませんが、自分の50%位のペースでは脂質が使われます。
そして運動強度をさらに上げると糖質が使われることになります。
練習ではこの1連の流れを体に経験させることで、さまざまな代謝経路を使わせることがポイントです。
ビルドアップ走の勧め
そこでオススメなのがビルドアップ走です。
自分の中位のペースでずっと走り続けることが本来良いのですが、毎日それだと正直ジョギングに行くのが嫌になります。
そこでビルドアップ走というのがお勧めです。
このビルドアップ走では、様々なゾーンの心拍を1度の練習で経験させることができる練習です。
フルマラソンなどロードレースのトレーニングにも有効で、膝を上げればかなり負荷のかかるトレーニングになります。
ビルドアップ走といってもトレイルランニングの場合、最初から早いペースでそこからビルドアップするのではなく、最初はジョギングで走り後半に少しペースを上げて気持ち良いペースで終わると言うのが理想です。
大学の時にもゆっくりなジョギングでも最後は必ずビルドアップして終わるように言われましたが、指導者の目的としてはここがあったのかもしれません。
もしくはわかっていなくても実業団選手で活躍していた人ですから、肌で感じていたのかもしれません。
脂質を燃焼するためには糖質も必要である
フルマラソンなどでは、液状の補給食などを使用して糖質を補充しますが、これは糖質の補充だけが目的ではありません。
実は、糖質は脂質を燃やすための着火剤としての役割もあるのです。
脂質を燃焼させるためには、血糖値が安定している必要があり、血糖値が安定していないと、ハンガーノックと同じような状況が発生し、体が動かなくなります。
その結果心拍も上昇しなくなり体温も下がってきてしまうので、
血糖値をある程度の状態で保つことは脂質燃焼において非常に重要な前提条件となります。
また、アミノ酸の摂取も同じようにある程度血糖値が安定している状態が好ましいです。
低血糖でヘロヘロになった状態でアミノ酸を摂取しても全く効果がないのは、いろんな方がレースで経験されていると思いますが、血糖値が安定した状態でアミノ酸を摂取すると体の回復がよりわかりやすく感じられると思います。
私はロードの60㎞走などで20㎞、40㎞地点でアミノ酸を補給しますが、即効性のあるものが多いです。
競技力の向上には
つまり競技力を上げるには、周りから見て早いペースでも脂質を使っている状態が理想で、
そこそこのペースで走っても、心拍が上がらないようなトレーニングをすることです。
これはロードレースのトップ選手は早いペースで走っても心拍があまり上がらないのと同じことで、日々の地道な練習が必要になります。
トレイルでも同じで、登りで速いペースで走った時にも、心拍が上がらないような練習が必要になります。
そうなるとロードではない「登り」に特化した骨格筋を強化したり、傾斜をかけた上でLT値を向上させるなどの練習が必要になります。
走ることに慣れてきたら徐々に質を上げていってみましょう!
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