トレイルランニングでは、長時間身体を動かし続けるために補給が欠かせません。
エネルギージェルを持って走る人は多いと思いますが、距離が長くなってくると「ジェルだけで最後まで走れるのか?」「おにぎりやバナナなどの食べ物も取り入れた方がいいのか?」と悩むこともあると思います。
そこで選択肢の一つになるのが、リアルフードです。
リアルフードとは、おにぎりやバナナ、パンなど、普段の食事に近い食べ物を補給として取り入れる考え方です。
特に競技時間が長くなるトレイルランニングでは、こうした食べ物をエイドなどで補給に取り入れる場面も多くなります。
私自身、これまでさまざまな距離のトレイルレースに参加してきましたが、現在は「リアルフードがいい」「ジェルがいい」とどちらか一方に決めるのではなく、
それぞれの特徴を理解して使い分けることが重要だと考えています。
走りながら素早く補給したい場面もあれば、長い登りやエイドなど、少し時間をかけて食べられる場面もあります。
ロードレースとは違い、地形やレース時間によって補給方法を変えられるのもトレイルランニングの特徴です。
この記事では、トレイルランニングにおけるリアルフードの考え方から、おすすめの食べ物、エネルギージェルとの使い分け、食べるタイミングまで、私自身の経験も交えながら解説していきます。
| 著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者) マラソンと並行してトレイルランニングに取り組み、ショートからロングレースまで幅広く出場しています。 主なレース実績 ・比叡山インターナショナルトレイルラン 50mile 6位 ・富士登山競走 山頂コース 3時間21分 ・各務原アルプストレイルランニングレース 優勝 ・別府大分毎日マラソン 2時間46分48秒 YouTube|マウンテンランニング研究所 |
トレイルランのリアルフードとは?
トレイルランニングにおけるリアルフードとは、エネルギージェルなどのスポーツ用に作られた補給食ではなく、
普段の食事に近い食べ物をレース中の補給として取り入れることを指します。
例えば、おにぎりやバナナ、パン、カステラ、和菓子などが代表的です。
また、ロングトレイルではエイドにうどんやスープなどが用意されていることもあり、こうした食べ物もリアルフードとして補給に活用できます。

マラソンであれば、数時間の競技時間の中でジェルを中心に補給を組み立てることもできます。一方、トレイルランニングは距離やコースによって競技時間が大きく変わり、50km、100kmと距離が延びれば長時間にわたって補給を続けることになります。
そこで重要になるのが、ジェルだけにこだわらず、さまざまな食べ物を補給の選択肢として持っておくことです。
もちろん、トレイルランニングだから必ずリアルフードを食べなければならないわけではありません。
短いレースであればジェルを中心にした方が補給しやすい場合もありますし、長いレースでも固形物をあまり必要としない人もいます。
大切なのは、「リアルフードだから身体にいい」「ジェルだから効率がいい」と単純に考えるのではなく、
レース時間や地形、自分の胃腸の状態に合わせて選ぶことです。
特に長時間のトレイルでは、ジェルが使いやすい場面もあれば、普通の食べ物が欲しくなる場面もあります。この選択肢を持っておくことが、長いレースを最後まで補給し続けるうえで重要だと私は考えています。
特に長時間のトレイルでは、ジェルが使いやすい場面もあれば、普通の食べ物が欲しくなる場面もあります。
この選択肢を持っておくことが、長いレースを最後まで補給し続けるうえで重要だと私は考えています。
トレイルランニングにおける補給量やタイミング、ジェルと固形食の使い分けについては以下、「トレイルランニングの補給戦略記事」で詳しく解説しています。
トレイルランでリアルフードを取り入れるメリット
トレイルランニングでリアルフードを取り入れる大きなメリットは、
長時間のレースでも補給の選択肢を増やせることです。
エネルギージェルはコンパクトで持ち運びやすく、走りながらでも摂取しやすい優れた補給食です。
一方で、50km、100kmと競技時間が長くなれば、何時間にもわたって補給を続けることになり、そうなると、ずっと同じような甘さや食感のものを摂り続けることがつらくなる場合があります。
私自身も長時間のトレイルでは、ジェルだけで最後まで補給するというより、リアルフードを途中に入れながら補給を組み立てています。
味や食感を変えながら補給を続けられる
リアルフードのメリットの一つが、補給に変化をつけられることです。
ジェルのような甘いものを何時間も摂っていると、途中から甘いものを受け付けにくくなることがありますが、そんなときにおにぎりやパン、汁物などを取り入れることで、味や食感を変えることができます。
ロングトレイルでは、一度にたくさん食べることよりも、最後まで補給を止めないことが重要です。
そのためにも、自分が食べられるものをいくつか持っておくことは大きなメリットになります。
「食べた」という満足感を得やすい
リアルフードはジェルと比較すると咀嚼が必要なものが多く、普段の食事に近い感覚で摂ることができます。
長時間走っていると、エネルギーを補給するだけではなく、「何か普通のものを食べたい」と感じることもあります。

特にエイドで温かいスープや麺類などを口にすると、それまでジェル中心だった補給から大きく変化します。
こうした食事に近い補給を挟めることも、長時間のトレイルならではのリアルフードの良さだと思います。
ジェル以外の選択肢を持つことができる
リアルフードを取り入れる一番の意味は、ジェルを使わなくてよくなることではありません。
むしろ、ジェルだけに頼らなくてもいい状態を作れることだと考えています。
走りながら素早く補給したいときにはジェルが便利です。一方で、長い登りやエイドなど、少し時間をかけて食べられる場面ではリアルフードも選択できます。
レースが長くなれば、体調や胃腸の状態もスタート時と同じとは限りません。
そのときに「これしか食べない」と決めてしまうのではなく、いくつかの補給方法を持っておく。
その選択肢の一つとして、リアルフードは非常に使いやすい補給方法だと思います。
トレイルランにおすすめのリアルフード・食べ物
トレイルランニングでは、どのようなリアルフードを取り入れればいいのでしょうか。
私の場合、リアルフードを自分でたくさん持って走ることはほとんどありません。
基本的にはエイドに用意されている食べ物を活用します。
おにぎりやバナナ、パンなどをザックに入れて長時間走ることもできますが、荷物になりますし、暑い時期には食品の傷みも気になります。
そのため、自分で携帯する補給はジェルなどのコンパクトなものを中心にして、リアルフードはエイドで摂る。
このように役割を分けると、持って走る荷物を増やさずに補給の選択肢を広げることができます。
大会によってエイドの内容は異なりますが、次のような食べ物はトレイルランニングでも取り入れやすいと思います。
おにぎり
おにぎりは、トレイルランニングのエイドでも見かけることのあるリアルフードです。
炭水化物を摂取できるだけでなく、ジェルなどの甘い補給が続いた中で塩気のあるものを食べられるのもメリットです。
ただし、一度に丸々1個食べる必要はありません。長時間のレースでは胃腸の状態も変化するため、エイドで少量ずつ食べながら、自分の状態を確認するのがおすすめです。
バナナや果物
バナナやオレンジなどの果物も、エイドで取り入れやすい食べ物です。
特に果物は水分を含んでいるため、長時間走って口の中が乾いているときでも比較的食べやすく感じます。
ジェルとは味も食感も大きく異なるため、甘い補給食が続いたときの変化としても利用できます。
パンやカステラなど
パンやカステラなどがエイドに用意されている大会もあります。

炭水化物を摂ることができ、ジェルとは違って「食べている」という感覚を得やすいのが特徴です。
一方で、口の中が乾いていると食べにくいこともあります。その場合は無理に食べず、水分と一緒に少量ずつ摂るといいでしょう。
うどんやスープなどの温かい食べ物
ロングトレイルならではなのが、うどんやスープ、味噌汁などのエイド食です。
長時間走っていると、ジェルなどの甘い補給とはまったく違う、塩気のある温かい食べ物がおいしく感じることがあります。
また、こうした食べ物は自分で持って走ることができないため、
エイドだからこそ摂れるリアルフードともいえます。
ただし、エイドで食べすぎてしまうと、その後走り始めたときに胃が重くなることがあります。
エイドは食事をする場所ではなく、あくまでこの先も走り続けるために補給する場所です。
おいしいからと一気に食べるのではなく、自分の胃腸の状態や残りの距離を考えながら摂ることが大切です。
このように考えると、リアルフードをすべて自分で準備する必要はありません。
自分で持つものは携帯性の高いジェルなどを中心にする。そしてエイドでは、その場で食べられるリアルフードを活用する。
この組み合わせが、長時間のトレイルでは現実的な補給方法だと考えています。
なお、リアルフードだけでなく、ジェルや羊羹、カステラなど、自分で携帯できる補給食については、「トレイルランニングにおすすめの補給食」で詳しく紹介しています。
リアルフードとエネルギージェルはどう使い分ける?
トレイルランニングの補給では、「リアルフードとエネルギージェルのどちらがいいのか」と考える必要はありません。
私自身は、自分で携帯する補給はエネルギージェルを中心にして、エイドではリアルフードも取り入れるという使い分けをしています。
それぞれに向いている場面が違うため、両方を組み合わせることで長時間のレースでも補給を続けやすくなります。
私自身がトレイルレースで携帯しているジェルの一つが、ランナーとしての経験をもとに開発したSAMURAIGELです。
エイドとエイドの間はSAMURAIGELなどの携帯しやすいジェルで補給し、エイドに到着したらリアルフードも取り入れる。このように使い分けています。
それぞれに向いている場面が違うため、両方を組み合わせることで長時間のレースでも補給を続けやすくなります。
走りながらの補給はエネルギージェルが使いやすい
エネルギージェルの大きなメリットは、コンパクトで携帯しやすく、短時間で摂取できることです。
トレイルでは補給食を持って長時間走ることになるため、携帯性は重要です。

おにぎりやパンなどを何個も持つより、必要なエネルギーをコンパクトに携帯できるジェルの方が現実的な場面は多くあります。
また、走れる林道や緩やかな区間では、固形物を食べながら走るよりもジェルの方が摂取しやすくなります。
そのため私は、自分で持って走る補給の中心はジェルと考えています。
エイドではリアルフードを補給に取り入れる
一方で、エイドに到着したときには、おにぎりや果物、パン、汁物など、その大会で用意されているリアルフードを取り入れることができます。
せっかくエイドに食べ物が用意されているのであれば、すべてのエネルギーを自分で持って走る必要はありません。
特に競技時間が長くなるほど、ジェルだけを摂り続けるのではなく、エイドで味や食感の違うものを挟むことが補給を続けるうえでも役立ちます。

ただし、エイドに何があるかは大会によって大きく異なります。
レース前にはエイドの場所だけでなく、どのエイドにどのような食べ物が用意されているのかまで確認しておくと、補給計画を立てやすくなります。
「ジェルかリアルフードか」ではなく両方を利用する
短いトレイルであれば、ジェルを中心とした補給だけで走り切れることもあります。
一方、50km、100kmと距離が長くなれば、レース中に何度も補給することになります。
そこで、
・エイドとエイドの間は、自分で携帯したジェルなどで補給する。
・エイドに到着したら、必要に応じてリアルフードも取り入れる。
このように考えると、補給はかなりシンプルになります。
リアルフードとエネルギージェルは、どちらか一方を選ぶものではありません。
携帯性と摂取のしやすさを活かすならジェル、エイドではリアルフードも活用する。
それぞれの特徴を活かしながら組み合わせることが、長時間のトレイルランニングでは重要だと考えています。
リアルフードはいつ食べる?トレイルならではの補給タイミング
リアルフードを取り入れる場合、「何を食べるか」だけでなく、いつ食べるかも重要です。
私の場合、エイドに到着したからといって、毎回必ずリアルフードを食べるわけではありません。
トレイルランニングでは、この先が長い登りなのか、走れる区間なのか、次のエイドまでどのくらいかかるのかによって、補給の考え方が変わります。
そのため、エイドでのリアルフードもこの先のコースを考えながら選ぶようにしています。
以下は実際に私が走った志賀高原100(40㎞の部)のレース動画なのですが、ジェルとエイドのリアルフードを両方使い分けている様子が分かります。
次のエイドまで長い場合は補給しておく
次のエイドまで長い時間がかかる場合は、エイドを出る前にある程度補給しておくことを考えます。
トレイルでは、地図上ではそれほど距離が離れていなくても、標高差や路面によって想像以上に時間がかかることがあります。
そのため「次のエイドまで10km」という距離だけを見るのではなく、自分の場合は何時間かかりそうなのかで考えることが大切です。
次のエイドまで時間がかかりそうであれば、リアルフードを少し食べたうえで、ジェルなどの携帯する補給も十分に残っているか確認してから出発します。
この先に長い登りがある場合
エイドを出てから長い登りが続く場合も、リアルフードを取り入れやすいタイミングです。
登りでは平坦な区間ほどスピードが出ないため、リアルフードを食べた直後でも比較的ペースを調整しやすくなります。
反対に、エイドを出てすぐに走りやすい林道や下りが続くのであれば、食べすぎると胃の重さを感じることもあります。
エイドを出た後にどのような地形が待っているかまで考えて食べる量を決める。
これはロードレースにはない、トレイルランニングならではの補給の考え方です。
空腹になる前に補給する
リアルフードに限った話ではありませんが、補給は完全に空腹になってからではなく、その前に行うことが大切です。
長時間のレースでは、空腹を強く感じた時点ですでにエネルギーが不足している可能性があります。
「まだ大丈夫だから食べなくていい」とエイドを通過し続けるのではなく、レース時間や次のエイドまでの時間を考えながら、必要であれば早めに補給しておきます。
特にロングトレイルでは、食べられるうちに少しずつ補給しておくという意識を持っておくといいでしょう。
トレイルランニングの補給は、一定の時間ごとに機械的に食べればいいわけではありません。
エイドの位置、次のエイドまでの時間、この先の地形、そして自分の胃腸の状態。
こうした情報を組み合わせながら、「ここではリアルフードを食べる」「ここから先はジェルでつなぐ」と判断していくことが重要です。
リアルフードを補給するときの注意点
リアルフードを取り入れるときに注意したいのが、食べすぎと胃腸への負担です。
普段から食べ慣れているおにぎりやパンでも、長時間走っている最中では胃が重く感じることがあります。
特にエイドではさまざまな食べ物が用意されているため、おいしいからと一気に食べすぎないことが大切です。
また、リアルフードを活用する場合でも、補給をすべてエイド任せにはしません。次のエイドまで想定以上に時間がかかったり、自分が食べたいものがなかったりする可能性もあります。
そのため、最低限必要なジェルなどは自分で携帯し、エイドのリアルフードをプラスするくらいに考えておくと安心です。
リアルフードとの相性には個人差もあります。レース本番で初めて大量に食べるのではなく、普段の練習やレースを通して、自分が動きながらでも食べやすいものを知っておきましょう。
まとめ|リアルフードとジェルを上手に使い分けよう
トレイルランニングでは、レース時間が長くなるほど補給を続けることが重要になります。
リアルフードは、おにぎりや果物、パン、スープなど、普段の食事に近いものを補給として取り入れられるのが特徴です。特にロングトレイルでは、エイドを活用することで、自分で多くの食べ物を持たなくても補給に変化をつけることができます。
私自身は、エイドとエイドの間は携帯しやすいジェルで補給し、エイドでは必要に応じてリアルフードを取り入れるという方法を基本にしています。
大切なのは、「ジェルかリアルフードか」とどちらか一方に決めることではありません。レース時間や地形、エイドの内容、自分の胃腸の状態に合わせて使い分けていきましょう。
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