トレッドミルに関する記事はこれまでに何度か書いてきましたが、私はかなりの頻度でポイント練習にトレッドミルを活用しています。
しかし、様々な書籍を見るとトレッドミルに関するトレーニングについては紹介されてはいるものの、あまり深く書かれていないことが多いのです。
トレッドミルよりはロードやトラックでのトレーニング内容が中心の本や発信が多いです。
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しかし私は、マラソンだけでなくトレイルランニングのパフォーマンス向上にもトレッドミルを使ったトレーニングは非常に効果的だと感じます、ちょっとしんどいですけどね。
今回はトレッドミルのマラソンのパフォーマンスを上げるために必要なトレーニングについて、その注意点とポイントについて解説して参ります。
トレイルランニングのパフォーマンスを上げるためのトレッドミル利用法については以下記事を参照して頂ければと思います。
トレッドミルとはどんなトレーニング機器なのか?
トレッドミルには自走式と電動式があります。
主に普及しているのはベルトが自動で動く電動式です。ジムに置いてあるのは電動式のトレッドミルが殆どです。
ポイントはメーカーごとに同じスピードでも速さの感覚が異なるということです。
商品を開発する時に基準や試験はあるはずなのですが、明らかにトレッドミルごとに速さの感覚が異なります。
私自身様々なジムを利用することがあるのですが(全国展開で自由に使える)、明らかに差を感じます。
トレッドミルのメーカーによっても異なるのですが、同じメーカーのトレッドミルでも取付方法や床の傾斜、メンテナンス状態によっても差が出てくるのかもしれません。
また、電動式トレッドミルの良いところは傾斜を付けることが出来るということです。
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自走式のトレッドミルであれば傾斜の調節はできず、速さも自分の脚力で調節する必要がありますが、電動式はその点トレーニング負荷の設定が楽なのが良いところでしょう。
トレッドミルの時速は20㎞/hまで設定できるのが普通ですが、ジムによっては更に速い設定までできるところもあります。
アスリート専門のスポーツ施設などではそういう設定のトレッドミルが多いですよね。
一方自走式のトレッドミルは傾斜の調整もできませんし、速さも自分の脚力でベルトを押し込むことで調節する必要があります。
構造もシンプルで、脚力もつくというメリットはありますが、結構しんどいです。
マラソンのパフォーマンス向上にはトレッドミルでペース走を行うと良い
どこかのチームや大学の部活に所属している選手であれば練習環境として申し分ないですが、市民ランナーはそうでない方が殆どではないでしょうか?
私なんて田舎に住んでいるので、どうしてもペース走やインターバル、ロングラン、ファルトレクなど全て集団ではなく1人で行う必要があります。
ペース走以外の練習は信号や路地があっても何とか調節してトレーニングの質を下げないように工夫することができますが、ペース走だけは一定のペースで走らなくてはなりません。
しかも距離が10㎞を超えてくる場合、道路でやる場合は確実に何度か信号や路地などペース設定を邪魔する要素が出てきてしまいます。
その点、トレッドミルであればそういった外的要因は無視してペース走に専念することが出来ます。
ただ、トレッドミルでペース走を行うのであれば、トラックでペース走をするのと比較して注意するポイントが幾つかあります。
それは、ペース走はあくまでレース本番のリズム感を得るためのものと位置づける必要があるということです。
つまり、近くにすぐトラックなど外でペース走を出来る環境がある場合、ペース走だけひとまずやっておけば速いペースで押していく力は徐々に上がっていきます。
理由は地面を蹴って走るのでペース感覚もレース本番のリズム感も脚筋力の向上も伴うからです。
しかし、ペース走をトレッドミルで行う場合は基本的に身につくのはリズム感がメインです。
タータントラックや土のトラックでペース走をしていて感じるのは、やはり外でのペース走であればキック力も同時に付くということです。
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キック力が付くというのは言い換えると、一度のキックで多くの筋群を使えるということで、その結果ストライドが伸びます。
同じペース走でもトレッドミルで行う場合は、キック力はあまりつかないということです。
それを補うためにはトレッドミルでペース走を行いつつも外でストライドの拡大が図れるものや、動きの大きいランニングが出来る様なトレーニングを補助的に入れる必要があります。
ペース走をトレッドミルで行うのであれば、そういった内容に注意しながらトレーニングを行う必要があるのです。
以下は以前に定期的にトレッドミルでペース走を入れていた頃の記事です。
トレッドミルのペース走は、レースペースのリズムを刻み込むにはちょうどいい
トレッドミルでのペース走のメリットは、
・神経系を鍛えることが出来る
・乳酸性作業域の向上に役立つ
ということです。
トレッドミルでのペース走は神経系を鍛えることが出来る
トレッドミルでのペースのメリットとして、神経系を鍛えることが出来るということです。
よく峠走の下りを利用して足の速い回転を意識したり、スプリンターがラダートレーニングを行う理由と同じです。
つまり速い足の回転を維持する力をつけることができるのです。
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これは脳からの神経伝達と筋群を動かす経路が活性化される為に起きる現象です。
大きなけがをして身体の恥部が動かくなくなった人がリハビリを使用とする場合、動かなくなった部分をリハビリで徐々に動かせるようになるためには、まず「動かそうとすること」が大事なのです。
動かそうとすることで電気信号が神経を走り、骨格筋が動くようになるのです。
トレッドミルでのペース走は乳酸性作業域の向上に役立つ
トレッドミルでのペース走は、外でのペース走と同じく乳酸性作業機(LT値)の向上には確実に効果があると感じます。
外でのペース走でも徐々に距離や負荷を上げてトレーニングを継続しますが、同じ流れでトレッドミルでのペース走も組み立てることが出来ます。
トレッドミルは実際に外で走るよりも速く感じる
トレッドミルでのトレーニングを行うと感じるのは、実際に外で走るよりも早く感じるということです。
私の場合、16㎞/hで50分から60分走り続けますが、これってかなりきつく感じるのですが、実際は3分45秒ペースなんですよね。
でも、実際に外で同じペースで走よりもずっと速く感じます。
速く感じるということはそれだけ負荷は感じるので、先に解説したキック力の点だけ留意すればトレッドミルを使ってトレーニングすることはかなり効果があると感じますし、フルマラソンに向けた実践的なトレーニングにも十分なりうるのです。
トレッドミルでペース走を行うポイントは、実際外で同じペースで走った時と同程度の負荷になる設定で行うことです。
そうすることで、例えトレッドミルの設定が実走よりもゆっくりだった場合でも、ペースで本来得られるリズム感は得ることができるのです。
トレッドミルに傾斜をつけることを推奨されることもある
書籍やトップランナーの発信では、トレッドミルに3%の傾斜をつけると外でのランニングと同じ負荷が得られるという知見があります。
3%程度傾斜をつけることで外で走った時と同じ効果を得られるというのです。
しかし私は傾斜についてはそのままでいいと思います。
理由は傾斜をつけない状態でも平地で行うトレーニングよりも速く感じるのに、傾斜を付けたら更にペース設定を落とさなくてはならないからです。
同じ16㎞/hの設定でもゆっくりに感じるトレッドミルであれば傾斜をつけるか速度を変えるなどの工夫はありだと思いますが、そうでないのであれば傾斜は付けずにトレーニングすべきです。
しかしトレイルランニングのトレーニングであればトレッドミルに傾斜をつけることはむしろ推奨します。
トップランナーもトレッドミルでトレーニングを行っている
トレッドミルをトレーニングに本格的に組み込むかを検討されている方は、実際にトップ選手がこのトレーニングを導入しているのかということかと思います。
実績のあるトップ選手が実際に行っているか否かはトレーニング効果を判断するにあたっては非常に重要な基準ですからね。
トレッドミルは実際にトップ選手の中でも多く利用されています。
私自身様々なトップ選手のブログを見るのですが、以前日清食品のキャプテンであった徳本一善選手のブログでもトレッドミルでのトレーニングは紹介されていましたし、ナイキオレゴンプロジェクトのモハメドファラー選手も取り入れていました。
また、1500m、5000m、10000m、マラソンの世界記録を何度も塗り替えたエチオピアの皇帝ハイレゲブルセラシエ選手もトレッドミルでのトレーニングを取り入れています。
これだけ実績のある選手が導入しているトレーニングなので、その効果も期待できます。
トレッドミルのペース走後に気を付けること
トレッドミルであれば外よりも衝撃が少ないので怪我をしにくいと思う方もいるかと思いますが、そんなことはありません。
実際のところ、トレッドミルであっても着地時の衝撃はかなりあります。
しかもトレッドミルの場合、外で走るよりも退屈な為にダウンジョグが短くなる傾向にあります。
ダウンジョグは怪我防止の観点からもかなり重要なので、景色が変わらず退屈でも必ず入れるようにしましょう。
また、ストレッチもかなり重要です。
ジムで走るとかなり汗をかき、ランニング後にどこかのマットでストレッチするのに抵抗がある人は多いかと思います。
そんな方はお風呂でストレッチされると良いかと思います。
酷使した筋肉をダウンジョグも伸ばしもせずにそのままにしておくと、筋肉が硬くなり筋膜が骨格筋に癒着してしまい、ひどくなるとランナー膝に繋がる可能性があります。
そうなるとかなりの期間ランニングが出来なくなってしまうので、トレッドミルであってもトレーニング後はしっかりケアしたいところです。
まとめ
今回はトレッドミルでペース走を行う際の注意点について解説しました。
トレッドミルは景色が動かないので非常に退屈ではありますが、安全面やトレーニング効果を測定する上で非常に便利なツールです。
1人でトレーニングせざるを得ない方は是非活用してみてください!
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…ですよね?
トレッドミルは遅いから傾斜を付けないとダメとか、よく書いてありますが、マシンが違うのか、走り方なのか?といつも思ってました。
練習の8割くらいはトレッドミルを使っていて、そのほとんどがペース走。
インターバルやビルドアップなんかにも重宝します。
何と言っても、毎日練習可能なので。
あと、メンタルを鍛えるには最高だと思ってます。
…フルベスト3゜18’のへなちょこ市民ランナーでした。
確かにマシンの機種によって同じ時速でもきつさが違うことってよくありますよね。
私もいまだにペース走はトレッドミル使っています!
それにしても8割ってすごいメンタルですね!その様子ですとサブスリーは間もなくってところですね!
風が強い日や寒い日に外でやりたくない日にも良いですよね笑