30km走は必要?効果・ペース・頻度とマラソントレーニングでの取り入れ方

30㎞走 意味

    マラソントレーニングでよく行われるのが「30km走」です。

    フルマラソンに向けて、

    「30km走は本当に必要なのか?」

    「どのくらいのペースで走ればいいのか?」

    「毎週やった方がいいのか?」

    と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。

    私自身、以前は「マラソンを走るなら、目標とするレースペースで30km走らなければならない」と考えていました。

    しかし、実際にレースペースで30km走を行うと疲労が大きく、その後に行いたいポイント練習ができなくなることもありました。

    そこで30km走の考え方を見直し、現在は30〜35kmのロングランを基本的にEペースで行っています。

    その結果、30〜35kmを走れるようになっただけではなく、平日にLT走やMペース走、インターバルなどのポイント練習も組み合わせられるようになり、マラソントレーニング全体のボリュームを増やせるようになりました。

    現在のフルマラソンの自己ベストは2時間46分48秒ですが、振り返ってみると、30km走に対する考え方は走力が伸びるにつれて大きく変わっています。

    フルマラソンに5時間近くかかっていた頃は、30kmという距離にこだわるよりも、低強度で2時間ゆっくり走ることの方が効果を感じていました。

    つまり、30km走はすべてのランナーが同じペース・頻度で行えばいいトレーニングではありません。

    大切なのは「30kmを走ること」ではなく、現在の走力や目的に合わせて30km走をどう使うかです。

    この記事では、実際に私が行ってきたトレーニングをもとに、30km走の意味や効果、ペース設定、頻度、マラソン本番の何週間前まで行うのか、そして30km走がまだ難しい場合の考え方まで詳しく解説します。

    著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者)
    書籍などを通じてトレーニングを独学し、初マラソン4時間58分から記録を伸ばし、40代でサブエガを達成。

    主な自己ベスト
    フルマラソン 2時間46分48秒
    5000m 16分59秒
    1500m 4分37秒

    YouTube|マウンテンランニング研究所

    Table of Contents

    30km走とは?マラソンで行う意味

    30km走は、フルマラソンに向けたトレーニングとして広く行われている練習のひとつです。

    フルマラソンは42.195kmという長い距離を走るため、普段のジョギングや10〜20km程度のトレーニングだけでは経験できない、長時間走り続ける負荷に身体を慣らしていく必要があります。

    ただし、私は「30kmという距離を走ること自体」が目的ではないと考えています。

    実際に私が30〜35kmのロング走を継続してきて、一番大きな変化として感じているのは、

    Eペース以上のトレーニングボリュームをこなせるようになったことです。

    フルマラソン大会を走っている様子
    30km走などのロングランは、フルマラソンに向けた持久力づくりとして取り入れています。

    長い距離を継続的に走るようになってからは、Mペースでのトレーニングなど負荷の高い練習を増やしても身体が耐えられるようになり、以前よりもケガをしにくくなったと感じています。

    また、ポイント練習を行った後の回復も早くなりました。

    持久系トレーニングを継続することでミトコンドリアなどの有酸素系の適応が進むことは知られていますが、私自身のトレーニングでも「強い練習ができるようになった」というより、強い練習をしても次のトレーニングにつなげられるようになったという変化を強く感じています。

    これはマラソントレーニングを継続していくうえで非常に大きなメリットです。

    さらに、30km、35kmという距離を普段から走っていると、長い距離そのものに対する不安も少なくなってきます。

    「30kmまで走ったらどうなるのか」「後半にどのくらい脚が残るのか」「どの程度のペースなら最後まで余裕を残せるのか」といったことが、実際のトレーニングを通して少しずつ分かるようになります。

    言い換えれば、フルマラソンを走ることへの解像度が上がっていくということです。

    そのため30km走は、単に「30kmを走り切るための練習」ではありません。

    長時間走れる身体をつくり、より質の高いマラソントレーニングを積める土台をつくりながら、自分が長い距離を走ったときにどうなるのかを理解する。

    私はここに、30km走を行う大きな意味があると考えています。

    30km走にはどんな効果がある?

    30km走には、単に「長い距離を走れるようになる」だけではなく、マラソントレーニングを継続するための土台をつくる効果があると考えています。

    私自身、30〜35kmのロングランを継続するようになってから、特に大きく感じているのが以下の変化です。

    ・長時間動き続けるための有酸素能力を高める

    ・質の高いトレーニングを積める身体をつくる

    ・ポイント練習やレースからの回復が早くなった

    ・長い距離に対する不安が少なくなる

    以下記事で解説していきます。

    長時間動き続けるための有酸素能力を高める

    30km走では、普段のジョギングよりも長時間にわたって有酸素運動を続けることになります。

    こうした持久系トレーニングを継続することで、筋肉内のミトコンドリアの量や機能、毛細血管など、エネルギーを生み出すための仕組みにさまざまな適応が起こります。

    フルマラソンでは短時間だけ大きな力を発揮するのではなく、長時間にわたってエネルギーを生み出し続けなければなりません。

    30km走は、こうしたマラソンに必要な有酸素能力を高めるためのトレーニングとして活用できます。

    質の高いトレーニングを積める身体をつくる

    私が30〜35km走を継続して、特に大きな効果を感じている部分です。

    以前は週末に30kmや35kmを走ると疲労が大きく、平日はほとんど質の高いトレーニングができませんでした。

    また、平日にマラソンレースペース以上の強度でポイント練習を行うと、翌日の疲労もかなり大きく、次のポイント練習まで十分な間隔を空ける必要がありました。

    しかし、30〜35kmのロングランを毎週のように繰り返すようになってから、少しずつ身体が長時間の負荷に適応していきました。

    現在では週末にロングランを行いながら、平日に2回程度のポイント練習を入れられるようになっています。

    つまり30km走によって、単に「30kmを走れるようになった」のではありません。

    1週間の中でこなせるトレーニングの量と質そのものが増えたということです。

    これは私が30km走を継続してきて感じている、非常に大きな効果です。

    ポイント練習やレースからの回復が早くなった

    もうひとつ大きく変わったのが、強度の高い運動を行った後の回復です。

    以前はポイント練習だけでなく、フルマラソンやトレイルランニングのレース、5000mなどのレースに出場すると、その後しばらく疲労が残ることがありました。

    現在は、以前ほど長く疲労を引きずることが少なくなっています。

    マラソントレーニングでポイント練習を行っている様子
    30〜35km走を継続することで、ロングランだけでなく平日のポイント練習も組み合わせられるようになりました。

    もちろん、これは30km走だけによる変化とは言い切れません。

    しかし、定期的なロングランを継続し、長時間の運動に耐えられる身体をつくってきたことは、トレーニングやレースからの回復力が高まったと感じる要因のひとつです。

    マラソンでは1回のポイント練習だけを成功させることよりも、練習→回復→次の練習というサイクルを継続できることが重要です。

    その意味でも、30km走はその日の練習効果だけを見るのではなく、その後のトレーニングまで含めて考える価値があります。

    長い距離に対する不安が少なくなる

    30〜35kmという距離を繰り返し経験することで、長距離そのものに対する心理的なハードルも下がりました。

    どのくらいのペースなら余裕を持って走れるのか、どのあたりから脚が重くなるのか、補給や給水をどうすればいいのか。

    こうしたことを実際のロングランで何度も経験することで、自分が長い距離を走ったときの身体の変化が分かるようになります。

    SAMURAI練習会でロング走を行っている様子
    SAMURAI練習会でロング走を行っている様子。長い距離を継続して走ることで、マラソンに向けた土台をつくります。

    その結果、フルマラソンを走ることへの解像度も少しずつ高くなっていきます。

    30km走の効果は、「30kmを走れる脚をつくる」ことだけではありません。

    長時間走れる有酸素能力をつくり、質の高いトレーニングを継続できる身体をつくり、さらにマラソンという競技そのものへの理解を深めていく。

    私はこうした部分まで含めて、30km走の大きな効果だと考えています。

    30km走は本当に必要?やらなくてもマラソンは走れる

    マラソントレーニングというと「本番前に30km走をやらなければならない」と考える人も多いと思います。

    私自身も以前はそう考えていました。

    しかも当時は、単に30kmを走るだけではなく、目標とするマラソンレースペースで30kmを走らなければならないと思っていました。

    しかし、実際にやってみると負荷が非常に大きく、30km走をこなすだけで身体がかなり疲労します。

    本来であればマラソンに向けて、スピードトレーニングや閾値付近のトレーニング、Mペース走など、さまざまな刺激を入れていきたいところです。

    ところが30km走の負荷が大きすぎると、その後の練習ができなくなり、結果として「30km走しかできない」という状態になってしまいました。

    そこでトレーニングに関するさまざまな書籍を読み、自分の30km走のやり方を見直すことにしました。

    現在は、30〜35kmのロングランを行う場合でも、基本的にはEペースを中心に考えています。

    レースペースからEペースへ設定を見直したことで、30km走そのものの負荷はかなり下がりました。

    それでも長時間走るトレーニングとしてのボリュームは確保できるため、30km走を行いながら、別の日にMペース走などのポイント練習も組み合わせられるようになりました。

    つまり、30km走だけでマラソンを完成させようとするのではなく、30km走をマラソントレーニング全体のひとつとして考えるようになったということです。

    走力によっては30km走をしなくてもいい

    そして、もうひとつ重要なのが「すべてのランナーに30km走が必要なわけではない」ということです。

    私自身、以前はフルマラソンで5時間をギリギリ切るくらいの走力でした。

    その頃を振り返ると、無理に30kmまで距離を伸ばすよりも、まずは低強度のジョギングを2時間程度継続するだけでも十分に大きなトレーニングになっていました。

    走力がまだ十分についていない段階では、30km走そのものに非常に長い時間がかかります。

    そこで無理に30kmという距離にこだわると、トレーニング効果以上に疲労やダメージが大きくなり、その後の練習に影響する可能性もあります。

    そのため私は、30km走はある程度の走力と長い距離を走るための土台ができてから取り入れても遅くないと考えています。

    まずは低強度で長く動ける身体をつくり、2時間程度のロングランを無理なくこなせるようになる。

    そこから走力や目標タイムに応じて20km、25km、30kmと距離を伸ばしていけばいいでしょう。

    30km走はマラソンを走るための絶対条件ではありません。

    一方で、ある程度の走力が身についたランナーにとっては、30〜35km走を適切な強度で取り入れることで、その後のマラソントレーニングをさらに積み上げるための有効な手段になります。

    「30km走をやったか」ではなく、「今の自分に30km走が必要なのか」を考えることが重要です。

    30km走のペース設定|速く走ればいいわけではない

    30km走を行うときに悩みやすいのが、「どのくらいのペースで走ればいいのか」という点です。

    結論から言えば、30km走は速く走れば走るほど効果が高くなるわけではありません。

    30km走のペースは、その練習だけを見るのではなく、前後のトレーニングを含めて継続できる強度に設定することが重要だと考えています。

    30km走のペースは目的によって変える

    同じ30kmでも、設定するペースによってトレーニングの目的や身体への負荷は変わります。

    30km走の目的別ペース設定
    30km走のペースは目的によって変わります。速く走ることよりも、トレーニングの目的に合わせて設定することが重要です。

    私の場合、現在の30〜35km走は基本的にEペースで行っています。

    Eペースについては、どのくらいの強度で走るのか、マラソントレーニングでどのような役割があるのかをYouTubeでも詳しく解説しています。

    私の場合は4分30秒/km前後がひとつの基準

    現在は30〜35km走を、おおむね4分30秒/km前後で行っています。

    もともとは『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』のVDOTから考えたEペースの範囲を参考にした設定です。

    ただし、現在はVDOTの数値だけで4分30秒/kmに決めているわけではありません。

    私がそれ以上に重視しているのが、そのペースで走ったあとに次のトレーニングを積み上げられるかということです。

    4分30秒/km前後であれば、30〜35kmを走っても平日に行うポイント練習への影響を抑えることができます。

    一方、これより速くすると30km走そのものは速く走れますが、疲労が大きくなり、数日後のポイント練習に影響が出てきます。

    そのため私にとって4分30秒/kmは、単に「走れるペース」ではなく、30〜35kmという十分なボリュームを確保しながら、その後の練習も継続できるギリギリのペースでもあります。

    レースペースで30km走ったときは数日後まで影響した

    実際、以前に事情があり、マラソンのレースペースで30km走を行わなければならないことがありました。

    30kmを走ること自体はできましたが、その後の疲労はかなり大きく、

    数日後に予定していたポイント練習を十分にこなすことができませんでした。

    1回の30km走だけを見れば、レースペースで30km走れた方が質の高い練習に見えるかもしれません。

    しかし、そこで大きな疲労を残し、その後のポイント練習ができなくなれば、1週間あるいはそれ以上のトレーニング全体で考えたときに、本当に効果的だったのかは分かりません。

    マラソントレーニングでは、30km走だけで必要な能力をすべて鍛える必要はありません。

    30〜35km走ではEペースで長時間走るための土台をつくり、Mペースやそれ以上の強度は別のポイント練習で鍛える。

    このようにそれぞれの練習に役割を持たせることで、トレーニング全体のボリュームと質を高めやすくなります。

    30km走の適切なペースとは、「30kmを最も速く走れるペース」ではありません。

    30km走の目的を達成しながら、その後もトレーニングを積み上げられるペースを選ぶことが重要です。

    なお、サブ3を目指しているランナーの場合、30km走をどのくらいのペースで行えばいいのかについては、別の記事で詳しく解説しています。

    「サブ3を目指す30km走のペース設定・トレーニング方法」については以下記事で詳細に解説しておりますのでご覧ください。

    サブスリーの30km走|ペース設定・目安と本当に必要なのかを解説

    30km走はどのくらいの頻度で行う?

    30km走は、どのくらいの頻度で行えばいいのでしょうか。

    毎週行った方が効果が高いようにも感じますが、私は必ずしも年間を通して毎週30km走を行う必要はないと考えています。

    実際、私自身も毎週30〜35km走を行う時期もあれば、頻度を減らす時期もあります。

    重要なのは「毎週」「月に何回」と最初から回数を固定するのではなく、その時期にどの能力を伸ばしたいのかによって30km走の頻度を変えることです。

    夏場は30km走などのロングランを多めに入れる

    私の場合、夏場などレースが少ない時期には、30〜35km走などのロングランを比較的多めに取り入れています。

    理由のひとつが、暑い時期にはマラソンレースペース以上の強度で質の高いトレーニングを行うこと自体の難易度が上がるからです。

    気温が高い中で無理に速いペースを維持しようとすると身体への負担も大きくなります。

    そのため、スピードやペースを追い求めるよりも、ペースを抑えたロングランによってトレーニングボリュームを確保する時期として活用しています。

    30〜35kmをEペースで繰り返し、長い距離を走るための土台をつくっておく。

    そして涼しくなり、マラソンレースペース以上のトレーニングを行いやすくなったときに、質の高い練習を増やしていくという考え方です。

    LT走やインターバルを優先する時期は30km走を減らす

    一方、5000mの走力やマラソンレースペースを底上げしたい時期には、LT走やインターバルトレーニングなどを重点的に行います。

    こうしたトレーニングをしっかり行った週は、週末の30km走を行わないこともあります。

    身体に余裕があり、30km走を加えても次のトレーニングに影響しないのであれば行いますが、30km走によってLT走やインターバルの質が落ちてしまうのであれば、その時期に伸ばしたい能力を優先します。

    ただし、ロングランを完全になくしてしまうわけではありません。

    私の場合、LT走やインターバルなどを優先する時期でも、2週間に1回程度は30km前後のロングランを入れるようにしています。

    長い距離を走る能力を維持しながら、より速いペースで走る能力も伸ばしていくためです。

    30km走の頻度はトレーニング全体から考える

    私の場合を整理すると、30km走の頻度はおおよそ次のように変化します。

    ・夏場やロングランを重視する時期:毎週行うこともある

    ・LT走・インターバルなどを重視する時期:週末の30km走を外すこともある

    ・質の高い練習を優先する時期でも:2週間に1回程度はロングランを入れる

    もちろん、これは私自身の走力やトレーニング量を前提にした頻度です。

    30km走後に何日も強い疲労が残るランナーが、同じように毎週30km走を行う必要はありません。

    大切なのは、

    「今の自分が伸ばしたい能力は何か」

    そして、

    「30km走を行っても、その後のトレーニングを継続できるか」

    という2点です。

    30km走の適切な頻度は一律ではありません。

    その時期の目的に応じて頻度を増減させながら、年間のトレーニングの中でロングランを継続していくことが重要だと考えています。

    30km走はマラソン本番の何週間前までに行う?

    30km走をマラソン本番の何週間前まで行うかは、そのランナーの走力や30km走からの回復にかかる時間によって変わります。

    特に注意したいのが、初めて30km走を行う場合や、30km走をすると数日間強い疲労が残る場合です。

    こうしたランナーが「最後にもう一度30km走をしておきたい」と本番直前に無理をすると、トレーニング効果を得るよりも、疲労を残した状態でレースを迎えてしまう可能性があります。

    一般的には、マラソン前にはトレーニング量を減らしながら疲労を抜いていく「テーパリング」が行われます。

    そのため、30km走によるダメージが大きいランナーであれば、本番2〜3週間前までを最後の30km走のひとつの目安として考えるといいでしょう。

    ただし、「30km走は必ず3週間前まで」「1週間前に走ってはいけない」と一律に決められるものでもないと私は考えています。

    レース1週間前に30km近く走ることもある

    私の場合は少し特殊で、レース1週間前に30km近いロングランを行うことがあります。

    私は春や秋、冬だけでなく、夏場も含めて30〜35kmのロングランをかなり高い頻度で行ってきました。

    そのため現在では、Eペースで30km程度走ることが身体にとって特別な負荷ではなくなっています。

    むしろ私の場合、レース1週間前にもある程度の距離を走っておいた方が、身体の調子が良いと感じることがあります。

    レース1か月前はマラソンレースペースの練習量を増やす

    私の場合、マラソン本番の1か月ほど前になると、マラソンレースペースで走るトレーニングのボリュームを増やしていきます。

    そしてレース1週間前に30km前後のロングランを行った後も、完全に休むわけではありません。

    平日にはマラソンレースペース、あるいはそれよりも速いペースで短めのトレーニングを行い、走行距離を抑えながら速い動きを残していきます。

    私の場合は、このようにロングランで持久力を維持しながら、その後はボリュームを落として速い動きを入れ、徐々に身体のキレを出していく方法が合っています。

    実際、別府大分毎日マラソンでは、このような調整を行い、2時間46分48秒で走ることができました。

    1週間前の30km走を誰にでもおすすめするわけではない

    ここで強調しておきたいのが、レース1週間前の30km走をすべてのランナーにおすすめしているわけではないということです。

    私の場合は、年間を通して何度も30〜35km走を繰り返し、その距離から短期間で回復できる身体ができたうえで行っています。

    30km走をすると何日も脚が重い、ポイント練習ができなくなる、普段は20km程度までしか走っていないという状態であれば、本番1週間前に初めて30kmを走るメリットは小さいと考えています。

    むしろ早めに最後のロングランを終え、疲労を抜いた状態でスタートラインに立つことを優先した方がいいでしょう。

    最後の30km走をいつ行うかを考えるときに重要なのは、単純に「本番の何週間前か」だけではありません。

    「30km走から自分は何日で回復できるのか」

    そして、

    「その30km走を行っても、本番までに良い状態をつくれるのか」

    という視点で判断することが重要です。

    30km走ができない場合はどうする?

    30km走ができないからといって、無理に30kmという距離を走る必要はありません。

    特に、まだ長い距離を走ることに慣れていない段階では、距離やペースよりも「長い時間走り続けること」から始めるのがおすすめです。

    私自身、フルマラソンで5時間をギリギリ切るくらいだった頃に、特に効果を感じたのが「2時間のゆっくりとしたジョギング」でした。

    最初は2時間走り続けるだけでも難しい

    当時は、2時間走り続けること自体がかなり難しいトレーニングでした。

    そこでペースはほとんど気にせず、低強度でゆっくり走ることを意識しました。

    最初は2時間走ることが大変でも、低強度で繰り返していると徐々に身体が長時間の運動に慣れてきます。

    実際、私の場合はこうしたトレーニングを続けることで、フルマラソン後半に歩いてしまう時間が少しずつ減り、タイムも伸びていきました。

    走力が低い段階ではペースを気にしすぎなくていい

    この段階のマラソントレーニングで、特に意識してほしいのがペースを気にしすぎないことです。

    この記事では30km走のペースとしてEペースを紹介していますが、まだ走力が十分についていない段階では、Eペースで長時間走ること自体が大きな負荷になる場合があります。

    そのため、最初からEペースにこだわる必要はありません。

    歩くのとそれほど変わらないくらいのゆっくりとしたジョギングでも構いません。

    重要なのは速く走ることではなく、低強度のまま長い時間動き続けることです。

    30kmではなく「走行時間」で考える

    30km走ができない場合は、距離ではなく時間を基準に考える方法もあります。

    たとえば、

    60分 → 90分 → 120分

    というように、無理のない範囲で少しずつ走行時間を伸ばしていきます。

    2時間のジョギングを無理なく継続できるようになり、走力が高まってくれば、同じ2時間でも自然と走れる距離が伸びていきます。

    その先で20km、25km、30kmと距離を伸ばしていけばいいでしょう。

    30km走は、最初からできなければいけないトレーニングではありません。

    私自身も、まずはゆっくり2時間走るところから始め、走力が高まるにつれて30〜35kmのロングランを取り入れられるようになりました。

    30kmという数字を達成することよりも、今の自分に合った強度で長く動き続けられる身体をつくること。

    30km走が難しい段階では、そこから始めれば十分だと考えています。

    30km走後の疲労と回復|翌日の練習はどうする?

    30km走や35km走を行った翌日は、完全休養にした方がいいのか、それともジョギングをした方がいいのか迷う人もいると思います。

    私は、30km走後の練習についても一律に決める必要はないと考えています。

    重要なのは、30km走によってどの程度の疲労が残っているのかを確認することです。

    30〜35km走の翌日も低強度でジョギングする

    現在の私はフルマラソンを2時間46分台で走れる走力があり、30〜35kmのロングランも普段から繰り返しています。

    そのため、Eペースで30〜35kmを走った翌日も、基本的には低強度のジョギングを行っています。

    ペースを上げることは意識せず、身体を動かす程度のゆっくりとしたジョギングです。

    私の場合、その翌日にLT走やマラソンレースペース走、インターバルなどのポイント練習を行うことがあります。

    そのため完全に休むよりも、前日に軽くジョギングをして身体を動かしておいた方が、その後のポイント練習で調子が上がりやすいと感じています。

    ただし、これは30〜35km走を高い頻度で行い、その負荷に身体が慣れている現在の私の場合です。

    30km走後に強い疲労や筋肉痛が残っている場合まで、無理に翌日走る必要はありません。

    何日も疲労が残るなら30km走の設定を見直す

    むしろ確認したいのは、30km走を行った後にどのくらいで通常のトレーニングへ戻れるかです。

    30kmを走り切ることができても、その後何日も疲労が残り、予定していたポイント練習ができないのであれば、距離やペース、頻度が現在の走力に対して高すぎる可能性があります。

    この記事で繰り返し触れているように、30km走だけを成功させることが目的ではありません。

    30km走を行い、そこから回復し、次のトレーニングへつなげられるところまで含めて30km走の設定を考えることが重要です。

    筋肉の張りに対するケアも行う

    30〜35kmのような長時間のランニングを行うと、私の場合は脚の筋肉に張りを感じることがあります。

    そのため、ロングランを行った当日や翌日は、マッサージガンなどを使って筋肉の張りを整えるようにしています。

    こうしたケアも取り入れながら、翌日の身体の状態を確認し、次のポイント練習へつなげています。

    30km走後の回復方法に全員共通の正解があるわけではありません。

    翌日も走れる人もいれば、休養が必要な人もいます。

    「翌日に走るべきか」ではなく、「次のトレーニングを良い状態で行うために何が必要か」という視点で回復を考えることが大切です。

    30km走を行うときの注意点

    30km走は長時間にわたるトレーニングになるため、ただ30kmという距離を走り切ればいいわけではありません。

    最後まで目的に合ったトレーニングを行い、その後の練習にもつなげるためには、補給や給水、気象条件、コースなどにも注意する必要があります。

    30km走では補給をしながら最後まで身体を動かす

    私の場合、30〜35kmのロングランでは補給を確実に取るようにしています。

    長時間走るトレーニングでは、あえて補給をせずにエネルギーが不足した状態をつくるのではなく、最後までしっかり身体を動かし続け、狙ったトレーニングを最後まで行うことを重視しているからです。

    実際の30〜35km走ではSAMURAIGELを使用しており、私の場合は40分おきに「刀」を補給し、25km地点あたりで「鎧」を取るようにしています。

    一方、平日に20km程度のEペースのランニングを行う場合は、30〜35km走ほど積極的に補給することはありません。

    この場合は、必要に応じてランニング後半にリカバリーを意識して「鎧」を取る程度です。

    このように私は、走る距離や時間、その日のトレーニングの目的によって補給方法も変えています。

    また、30km走はマラソン本番で行う補給を試す機会としても活用できます。

    どのタイミングでジェルを取るのか、走りながら問題なく摂取できるのか、補給を続けることで後半まで身体を動かせるのか。

    こうしたことは本番で初めて試すのではなく、普段のロングランから確認しておくといいでしょう。

    マラソンで「いつ、どのタイミングで補給すればいいのか」については、別記事の「マラソンの補給タイミングはいつ?レース前・レース中の補給戦略を解説」で詳しく解説しています。

    マラソンの補給タイミングはいつ?ジェルを摂るタイミングと補給戦略を解説!

    また、レースで使用するジェル選びに迷っている方は、「マラソンでおすすめのエネルギージェル」も参考にしてください。

    マラソンにおすすめのジェル|選び方・必要な個数・補給タイミングを実体験から解説

    暑い日の30km走はペースにこだわりすぎない

    私は夏場にも30〜35kmのロングランを比較的多く取り入れています。

    ただし、暑い中でも普段と同じペースで走ることにこだわっているわけではありません。

    気温や湿度が高くなれば、同じペースで走っていても身体にかかる負荷は大きくなります。

    そのような環境で「普段は4分30秒/kmだから」と設定ペースを無理に維持してしまえば、30km走による疲労が大きくなり、その後のトレーニングにも影響する可能性があります。

    30km走の目的は、設定したペースを何が何でも守ることではありません。

    特に夏場は気象条件に応じてペースを落とし、必要なトレーニングボリュームを確保することを優先しています。

    また、長時間走ることになるため、夏場は給水も重要です。

    途中で水分を確保できるコースを選んだり、必要に応じて給水できるよう準備したりして、安全にトレーニングを継続できる環境を整えておきましょう。

    以下の動画でも夏のロングランの設定について解説しております。

    30kmを走り切ること自体を目的にしない

    30km走で特に注意したいのが、「30km」という数字にこだわりすぎることです。

    たとえば、

    ・設定ペースを維持するのが難しいのに無理して走り続ける

    ・暑さが厳しくても30kmまで走る

    ・脚に痛みが出ているのに途中でやめない

    ・30kmを完走するために、その後のトレーニングができないほど追い込む

    こうなってしまうと、本来のトレーニングの目的から外れてしまいます。

    ここまで解説してきたように、30km走はマラソントレーニングを構成するひとつの手段です。

    30km走だけでマラソンに必要な能力をすべて鍛える必要はありません。

    その日のコンディションによっては25kmで終了してもいいですし、ペースを落としても構いません。

    30kmを走り切ったかどうかより、その日の目的に合った刺激を入れ、その後のトレーニングにつなげられるかを重視することが大切です。

    長時間安全に走れるコースを選ぶ

    30〜35km走では、長時間走り続けることになるためコース選びも重要です。

    交通量や信号が多いコースでは、何度も立ち止まることになり、一定のリズムで走り続けることが難しくなります。

    そのため、できるだけ信号が少なく、安全に長時間走れるコースを選ぶのがおすすめです。

    また、周回コースであれば給水や補給を置いておくこともできますし、体調が悪くなった場合に途中で終了しやすいというメリットもあります。

    特に初めて30km走に挑戦する場合は、「30km走り切らなければ帰れない」というコースよりも、途中で距離を調整できるコースの方が安心です。

    補給や給水ができる場所、トイレの有無なども事前に確認しておくと、ロングランを継続しやすくなります。

    30km走では、30kmという距離を達成することだけを考えるのではなく、最後まで狙ったトレーニングを行える環境を整えることも重要です。

    SAMURAI練習会を開催しています

    この記事で紹介したようなロングランを実際に行う場として、北関東や皇居を中心にSAMURAI練習会を開催しています。

    練習会では、マラソンに向けたトレーニングとして主に以下のようなメニューを行っています。

    ・30〜35kmのロングラン:4分30秒/km前後

    ・18kmのビルドアップ走:4分10秒/km前後からスタートし、4分00秒/km前後まで

    30〜35kmのロングランは、この記事でも紹介した私自身が普段行っているトレーニングに近い内容です。

    一人では30km以上のロングランを行うのが難しい方や、マラソンに向けて継続的に長い距離を走る機会をつくりたい方にも参加していただけます。

    また、練習会の参加者には、ランニング中の補給やトレーニング後に活用できるSAMURAIGELを参加賞として3本お渡ししています。

    実際にロングランを行いながら、補給についても試してもらえればと思います。

    開催日程や集合場所、参加方法などについては、SAMURAI練習会の案内ページをご確認ください。

    まとめ|30kmという距離ではなく目的を考えよう

    30km走は、マラソントレーニングでよく行われる代表的なロングランですが、すべてのランナーが必ず30kmを走らなければならないわけではありません。

    私自身、以前は「マラソンを走るならレースペースで30km走らなければならない」と考えていました。

    しかし現在は、30〜35km走を基本的にEペースで行い、その分LT走やMペース走、インターバルなど、それぞれ目的の異なるトレーニングを組み合わせています。

    その結果、30〜35kmという距離に慣れただけではなく、平日にポイント練習を入れられるようになり、マラソントレーニング全体のボリュームを増やせるようになりました。

    一方、まだ長時間走ることに慣れていないランナーであれば、最初から30kmにこだわる必要はありません。

    私自身もフルマラソンに5時間近くかかっていた頃は、ペースを気にせず2時間ゆっくり走り続けることから始めました。

    そこから走力が高まるにつれて、20km、30km、35kmと長い距離を走れるようになっています。

    大切なのは、

    「30kmを走ったか」ではなく、「なぜ30kmを走るのか」です。

    今の自分の走力や目標、他のトレーニングとのバランスを考えながら、必要であれば30km走を取り入れる。

    そして30km走を行うのであれば、その1回だけで力を使い切るのではなく、次のトレーニングにつなげられるペースや頻度に設定する。

    30km走をひとつの練習として適切に使えるようになれば、マラソンに必要な長距離への耐性を高めながら、トレーニング全体を積み上げるための大きな武器になると考えています。

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