トレイルランニングでもっと速く走りたいと思ったとき、
「どんなトレーニングをすればいいのだろう?」
と悩む人も多いのではないでしょうか。
トレイルランニングでは登りや下り、不整地などロードランニングとは異なる環境を走るため、単純に山をたくさん走れば強くなるというわけではありません。
一方で、ロードランニングで身につける基礎的な走力や心肺機能も、トレイルランニングでは大きな土台になります。
そのため私は、ロードで基礎的な走力を高めながら、山での実走や坂道、トレッドミルなどを組み合わせ、トレイル特有の能力を鍛えることが重要だと考えています。
この記事では、これまでロードとトレイルの両方に取り組んできた経験をもとに、トレイルランニングで強くなるために必要な能力や、登り・下り、ロードランニングなどを組み合わせたトレーニング方法について解説します。
| 著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者) マラソンと並行してトレイルランニングに取り組み、ショートからロングレースまで幅広く出場しています。 主なレース実績 ・比叡山インターナショナルトレイルラン 50mile 6位 ・富士登山競走 山頂コース 3時間21分 ・各務原アルプストレイルランニングレース 優勝 ・別府大分毎日マラソン 2時間46分48秒 YouTube|マウンテンランニング研究所 |
トレイルランニングではどんな能力が必要?
トレイルランニングで速く走るためには、まず基礎となるランニング能力が必要です。
起伏があり、路面にも凹凸があるトレイルを長時間走るためには、基礎的な筋持久力や心肺機能が欠かせません。
一方で、ロードを速く走れるからといって、そのままトレイルも速く走れるとは限りません。
私自身、マラソンを2時間50分前後で走れるようになった頃は、「これだけロードを走れれば、トレイルでも十分走れるだろう」と考えていました。
しかし実際に走ってみると、思うようには走れませんでした。
トレイルでは登りや下りが繰り返されるだけでなく、石や木の根、段差などによって一歩ごとに足の置き方が変わります。
また出場するレースのコースにどういった準備をするかによっても結果は変わってきます。
そのため、ロードとは異なる能力が求められます。
基礎となる心肺機能と筋持久力
トレイルランニングでも、ロードランニングと同じように心肺機能や筋持久力は重要です。
特に林道や緩やかな登り、走りやすいトレイルでは、基礎的なランニング能力が走力にも大きく影響します。
ロードで高い走力を持つランナーほど、林道や走りやすいトレイルでは高いペースを維持しやすくなります。

また、トレイルランニングはロードレース以上に長時間の運動になることも多いため、長時間動き続けられるトレイルランニングに特化した筋持久力も必要になります。
特にタイムや順位を狙うランナーはこの能力をできるだけ向上させておいた方が有利です。
登りを効率よく進む能力
トレイルランニングでは、さまざまな傾斜の登りに対応しなければなりません。
比較的緩やかな登りであれば走れますが、傾斜が強くなると走るよりも早歩きの方が効率の良い場面もあります。
また、登りでは脚だけでなく上半身も使いながら、全身でリズムよく身体を動かすことが重要です。

そのため、単純な平地の走力だけでなく、傾斜に合わせて身体の使い方を変えながら前へ進む能力が必要になります。
下りや不整地に対応する能力
下りでは、石や木の根、段差など次々と変化する路面を確認しながら、素早く足を運ぶ必要があります。
さらに、不安定な路面でも身体のバランスを維持しなければなりません。

トレイルには大きな石が続く場所、木の根が張り出している場所、泥濘、歩幅を大きく変えなければならない木段など、ロードではほとんど経験しない路面があります。
こうした場所を長時間走るためには、路面の変化に合わせて足の置き方や身体の使い方を瞬時に変える能力も重要になります。
トレイルでは全身を使って走る
私がロードランニングとの大きな違いとして感じているのが、トレイルでは全身を使って起伏や路面から受ける負荷に対応する必要があることです。
登り、下り、不整地と状況が次々に変化するため、一定のフォームで走り続けることはできません。
ロードで培った心肺機能や筋持久力を土台にしながら、登る・下る・バランスを取る・素早く足を運ぶ・長時間動き続ける。
こうした複数の能力が求められるのが、トレイルランニングだと感じています。
トレイルランニングはロードと山のトレーニングを組み合わせる
トレイルランニングのトレーニングというと、できるだけ山を走った方が良いと思うかもしれません。
もちろん実際のトレイルを走ることは重要ですが、私はすべてのトレーニングを山で行う必要はないと考えています。
前述したように、トレイルランニングでは基礎的なランニング能力に加えて、登りや下り、不整地に対応する能力が必要です。
それぞれの能力を効率よく鍛えるためにも、目的に応じてロードと山でのトレーニングを使い分けることが重要です。
ロードランニングで基礎的な走力を高める
心肺機能や筋持久力、速いペースで走る能力など、ランニングの基礎となる部分についてはロードでも十分に鍛えることができます。
私自身、トレイルランニングだけでなく、マラソンや5000mにも取り組んでいます。

ロードでランニング能力そのものを高めることは、トレイルでも走りやすい林道や緩やかな登りなどで大きな武器になります。
また、ロードは路面や傾斜による影響が少ないため、一定のペースや運動強度で走りやすく、狙った負荷をかけやすいこともメリットです。
そのため、トレイルランニングのためだからといって山ばかりを走るのではなく、基礎的な走力を高めるためのロードトレーニングも積極的に取り入れています。
特に5000mに取り組むことはマラソンにもトレイルランニングにもかなり有効であったと感じます。
山での実走でトレイル特有の能力を鍛える
一方で、ロードランニングだけでは鍛えにくい能力もあります。
実際の山では登りと下りが繰り返され、石や木の根、段差など路面も常に変化します。
その中で足を置く場所を判断したり、歩幅を変えたり、身体のバランスを取りながら走ったりする能力は、実際のトレイルを走ることで身につけやすくなります。

また、トレイルレースでは長時間にわたって登りと下りを繰り返すため、単純な心肺機能だけでなく、起伏のある環境で長時間動き続けられる身体を作ることも重要です。
毎週必ず山へ行かなければならないわけではありませんが、ロードだけでトレイルランニングに必要な能力をすべて補うことも難しいと感じています。
坂道やトレッドミルも目的に合わせて活用する
近くに山がない場合や、平日に山へ行くことが難しい場合には、坂道やトレッドミルも活用できます。
特に登りについては、傾斜をつけることで登り続ける負荷を作れるため、山に行かなくても登坂力を鍛えることができます。

一方で、トレッドミルでは実際のトレイルにある路面の凹凸や下りまでは再現できません。
そのため、「山に行けないからトレッドミルで代用する」というより、
鍛えたい能力に応じてロード・山・坂道・トレッドミルを使い分けるという考え方が重要です。
具体的なトレッドミルの傾斜や速度、トレーニングメニューについては別記事で詳しく解説しています。
トレイルランニングの登りを強くするトレーニング
トレイルランニングの登りを強くするためには、実際の山を走るだけでなく、坂道やトレッドミルなどを使ったトレーニングも有効です。
トレイルの登りといっても、走り続けられる緩やかな登りから、走るより歩いた方が効率の良い急登までさまざまです。
そのため私は、走って登る能力だけでなく、傾斜が強くなったときに全身を使って効率よく登り続ける能力も重要だと考えています。
トレッドミルで登り続ける能力を鍛える
登りのトレーニングとして、私が積極的に活用してきたのがトレッドミルです。
トレッドミルは傾斜を自由に設定できるため、平地では作れない登りの負荷を継続してかけることができます。
実際に私が富士登山競走の山頂コースを3時間21分で走ったときも、トレッドミルでのトレーニングを多く取り入れていました。

富士登山競走は基本的に登り続ける特殊なレースなので、一般的なトレイルレース以上にトレッドミルとの相性が良かったと感じています。
もちろん、トレッドミルの路面は一定です。
実際のトレイルでは石や木の根、段差などがあるため、まったく同じ動きにはなりません。それでも、登りに対する基礎的な筋力や筋持久力、心肺機能を鍛える方法としてトレッドミルは十分活用できます。
具体的な傾斜や速度については専門記事で詳しく解説し、このページでは「登りを強化する選択肢の一つ」として考えれば十分です。
急な登りではパワーウォークもトレーニングする
トレイルランニングでは、すべての登りを走る必要はありません。
傾斜が強くなれば、無理に走るよりも歩いた方が効率よく進めることがあります。
私の場合、急な登りでは内腿付近に手を当て、脚を押し込むようにして全身を使って登るパワーウォークをよく使います。
これは単に疲れたから歩いているわけではありません。
傾斜に応じて走りとパワーウォークを使い分けながら、できるだけ一定の運動強度で前へ進むための方法です。
そのため、レース本番で急登になって初めてパワーウォークを使うのではなく、普段から急な登りを使って速く歩いて登ること自体をトレーニングしておくことも重要です。
実際のトレイルでも登りを練習する
トレッドミルで登りの基礎的な能力を鍛えることはできますが、実際のトレイルでは傾斜だけでなく路面も変化します。
同じ登りでも、走りやすい登山道もあれば、大きな石や木の根があったり、段差が続いたりする場所もあります。

こうした場所では一定の歩幅で登り続けることができず、足を置く位置を変えたり、歩幅を調整したり、上半身を使ったりしながら進む必要があります。
そのため、トレッドミルで登坂力そのものを鍛えながら、実際のトレイルでさまざまな登りに対応する能力を身につけるという組み合わせが有効だと感じています。
トレイルランニングの下りを強くするトレーニング
トレイルランニングの下りでは、単純に脚力があれば速く走れるわけではありません。
私が特に重要だと感じているのが、路面の状況を判断しながら、素早く足を動かす能力です。
トレイルでは石や木の根、段差などが次々と現れるため、「次にどこへ足を置くのか」を瞬時に判断しながら走らなければなりません。
また、石や木の根につまずいたり、足を滑らせたりしたときに、反対側の足を素早く出して体勢を立て直すことも重要です。
こうした能力は、ロードランニングだけではなかなか身につきません。
さまざまな路面を走って足さばきを身につける
下りを強くするために、まず取り入れたいのが実際のトレイルを走ることです。
特に、木の根や石が多く走りづらい場所では、一歩ごとに足を置く場所を判断しながら走る必要があります。

最初から速く走る必要はありません。
さまざまな路面を経験しながら、路面を見て次の一歩を判断し、身体を反応させる経験を積むことが重要です。
慣れてくると、複雑な路面でも少しずつスムーズに足を運べるようになります。
走りやすい林道では速いスピードも経験する
一方で、テクニカルなトレイルだけを走っていればいいわけでもありません。
比較的走りやすい林道などでは、ある程度スピードを出して下る経験も重要だと感じています。

スピードが上がれば、それだけ短い時間で路面を判断し、次の一歩を出さなければなりません。
テクニカルな路面で細かな足さばきを経験することと、走りやすい下りで速い動きを経験すること。
私はこの両方を取り入れることが、トレイルの下りを強くするうえで重要だと考えています。
山に行けない場合は普段のランニングでも足さばきを鍛える
ただし、日常的に山を走れる人ばかりではありません。
その場合は、普段のロードランニングの中に足を素早く動かすトレーニングを取り入れる方法もあります。
私自身が効果を感じたのが、ラダートレーニングのような動きです。
実際にラダーを用意しなくても、地面にラダーがあることをイメージしながら、細かく素早く足を動かしたり、さまざまな方向へ足を運んだりすることで、普段のランニングとは違った足さばきを練習できます。
もちろん、これだけで実際のトレイルの下りを再現できるわけではありません。
それでも、山ではさまざまな路面への対応力を身につけ、普段のランニングでは素早く足を動かす能力を補う。
こうしたトレーニングを組み合わせることで、下りで必要になる能力を鍛えやすくなります。
ロードランニングもトレイルランニングの重要な練習
トレイルランニングで強くなるためには、山でのトレーニングだけでなく、マラソンや5000mの走力を高めるようなロード・トラックでのトレーニングも重要だと考えています。
トレイルでは登りや下り、不整地を走る技術が必要ですが、レースのすべてがテクニカルな区間というわけではありません。
林道や走りやすいトレイル、比較的緩やかな登りなどでは、結局のところどれだけ高いペースを維持して押していけるかがタイムを縮めるうえで重要になります。
その土台になるのが、ロードランニングで鍛えられる純粋な走力です。
▼トレイルランニングで強くなるためにロード練習が重要な理由については、こちらの動画でも詳しく解説しています。
VO2maxやLTを高めて基礎的な走力を向上させる
トレイルランニングでも、VO2max(最大酸素摂取量)やLT(乳酸性作業閾値)といった持久系の能力は重要です。
こうした能力を高めることで、より高い運動強度を維持しやすくなり、走れる林道や緩やかな登りなどでもペースを上げやすくなります。
そのため私は、トレイルランニングのための練習だけでなく、マラソンの走力を高めるトレーニングや、5000mを速く走るためのトラックでのトレーニングにも取り組んでいます。

トレイルランナーだからといって、ロードで速く走る能力を軽視する必要はありません。
むしろ、トレイルでさらに上を目指すのであれば、マラソンや5000mのタイムを伸ばすようなトレーニングによって、ランニング能力そのものを高めていくことも重要だと考えています。
マラソン走力の向上とともにトレイルでも上位を狙えるようになった
私自身、以前はフルマラソンを3時間30分ほどで走る走力の頃からトレイルランニングに取り組んでいました。
その後、マラソンのトレーニングにも継続して取り組み、現在ではフルマラソンを2時間46分台で走れるようになりました。
もちろん、その間にはトレイルランニングの経験も積んでいるため、ロードの走力だけで現在の結果につながったとは考えていません。
ただ、マラソンの走力が上がるにつれて、トレイルでも以前より高いペースで押していけるようになり、レースによっては上位や入賞を狙える位置で走れるようになってきました。

特に走りやすい林道や緩やかな登りなど、純粋なランニング能力が反映されやすい区間では、ロードで培ってきた走力が大きな武器になっていると感じています。
ロードの走力を高めることは、トレイルランニングとは別のトレーニングではありません。
トレイルで速く走るための土台を大きくするトレーニングの一つだと私は考えています。
ロードトレーニングが実際のトレイルレースでどのように活きたのかについては、奥武蔵ロングトレイルや奥信濃100を走った経験から、以下の記事で詳しく解説しています。
ロードの走力だけではトレイルは速くならない
一方で、ロードの走力を高めるだけでトレイルランニングが速くなるわけではありません。
私自身、マラソンを2時間50分前後で走れるようになった頃でも、トレイルでは思うように走れない経験をしています。
ロードでは経験しない急な登りや下り、石や木の根がある路面では、単純な走力とは異なる能力が必要になるからです。
だからこそ、ここまで解説してきた実際の山でのトレーニングと、マラソンや5000mの走力を高めるトレーニングを組み合わせることが重要です。
ロードやトラックでは、VO2maxやLTをはじめとした基礎的な走力を高める。
そして山では、登りや下り、不整地での足さばきなど、トレイル特有の動きを鍛える。
ロードでは「速く走る能力」を高め、トレイルでは「その走力を山で発揮するための能力」を鍛える。
この両方に取り組むことが、トレイルランニングでさらに強くなるために重要だと感じています。
トレイルランニングに筋トレは必要?
トレイルランニングでは登りや下りが繰り返されるため、脚を中心とした筋力も重要になります。
ただし私は、トレイルランニングに特化した筋力トレーニングを特別に多く行っているわけではありません。
基本的には、マラソンのトレーニングとして普段から行っている自重での補強運動や簡単なウェイトトレーニングを継続しながら、トレイルランニングに必要な筋力については実際に山を走ることで鍛えるようにしています。
筋トレは走るための補強として取り入れる
私が筋力トレーニングで意識しているのは、筋肉を大きくすることではなく、ランニングに必要な筋力を補強することです。
主に取り入れているのは、スクワットなどの下半身を鍛えるトレーニングです。

スクワットでは大腿部やハムストリングスなどを鍛えることができ、登りや下りを繰り返すトレイルランニングでも重要になる部分です。
また、かかとを上げる動作を取り入れ、ふくらはぎ、特にヒラメ筋などの補強も行っていますし、腹筋や背筋といった体幹部分についてもトレーニングしています。
トレイルでは路面や傾斜が常に変化するため、脚だけでなく全身を使って身体を安定させながら走る必要があります。
そのため、下半身だけを鍛えるのではなく、身体全体を支えるための補強トレーニングも取り入れています。
トレイル特有の筋力は実際に山を走って鍛える
一方で、筋力トレーニングだけでトレイルランニングに必要な筋力をすべて鍛えられるとは考えていません。
実際の山では、登りと下りが繰り返されるだけでなく、石や木の根、段差などによって一歩ごとに身体の使い方が変わります。
特に下りでは着地するたびに脚へ負荷がかかりますし、登りでは傾斜に合わせて身体を前へ運び続けなければなりません。
こうしたトレイル特有の負荷に対応する筋力や筋持久力については、実際に山を走ることが重要だと感じています。
そのため私の場合は、
筋トレで基礎的な筋力を補強し、山を走ることでトレイル特有の筋力を鍛える
という考え方でトレーニングしています。
トレイルランニングのために特別な筋トレを増やすというよりも、普段のランニングを中心にしながら、不足する部分を補強トレーニングで補っていくという位置づけです。
レース距離やコースに合わせてトレーニングを変える
トレイルランニングでは、すべてのレースに同じトレーニングで対応するのではなく、出場するレースのコースに合わせてトレーニング内容を変えることも重要です。
同じ距離のレースでも、走りやすい林道が多いコースと、急な登りや下りが繰り返されるテクニカルなコースでは、求められる能力が大きく異なります。
そのため私は、出場するレースが決まったらコースの特徴を確認し、実際のレースで求められる能力を意識してトレーニングするようにしています。
起伏の激しいコースではレースに近い環境を走る
奥武蔵や新城など、起伏が激しく、走れる区間が少ないコースに出場する場合は、ロードでの走力を高めるだけでは十分ではありません。
もちろん基礎となるロードの走力は重要ですが、それ以上に、登りと下りを繰り返すことや、テクニカルな路面を走ることへの適応が重要になる場合があります。
そのため、山でトレーニングするときも、あえて起伏が大きいコースや、木の根や石などが多く走りづらいコースを選ぶようにします。

トレッドミルを使う場合でも、こうしたレースに向けて登りの負荷を高めたいのであれば、傾斜を強めに設定するなどして対応できます。
重要なのは、単純に「山を走る」のではなく、これから出場するレースでどのような動きを繰り返すのかを考え、それに近い刺激を身体へ入れておくことです。
走れるコースではロードの走力を活かす
一方で、伊豆トレイルジャーニーのように走れる区間が多いレースでは、トレーニングの考え方も変わります。
こうしたコースでは、テクニカルな路面への対応力だけでなく、林道や走りやすいトレイルを高いペースで長時間押していける走力が重要になります。

そのため私は、マラソンや5000mに向けたトレーニングによって基礎的な走力をできる限り高めたうえで、定期的に山でのトレーニングを取り入れる方法が効果的だと考えています。
山で走る場合も、極端にテクニカルな場所ばかりを選ぶのではなく、実際のレースに近い走りやすいトレイルを使うことで、ロードで高めた走力を山で発揮する練習ができます。
レースで求められる能力から逆算する
ここまで解説してきたように、ロード、トレッドミル、実際の山でのトレーニングには、それぞれ異なる役割があります。
どれか一つが最も優れているということではなく、出場するレースで何が求められるのかによって、その割合を変えることが重要です。
起伏が激しくテクニカルなレースなら、実際の山で登りや下り、不整地に対応するトレーニングを増やす。
反対に走れる区間が多いレースなら、ロードでの走力向上を重視しながら、レースに近いトレイルでその走力を発揮する練習を取り入れる。
「トレイルランニングの練習をする」のではなく、「次に走るレースで必要な能力を鍛える」。
私はこの考え方で、出場するレースによってトレーニング内容を変えるようにしています。
トレイルランニングのトレーニングメニュー例
ここまで紹介してきたトレーニングを、すべて毎週行う必要はありません。
私の場合は、ロードやトラック、トレッドミルなどを使ってそれぞれの能力を高めながら、最終的に実際のトレイルを走ることで、それらの能力をトレイルランニングの動きに落とし込むという考え方でトレーニングしています。
例えばロードやトラックでは、マラソンや5000mの走力を高めることができます。トレッドミルでは、傾斜を利用して登りに必要な能力を集中的に鍛えることができます。
ただし、それぞれの能力を高めても、そのままトレイルで発揮できるとは限りません。
実際の山には登りや下りがあり、路面も常に変化します。
そのため、ロードやトレッドミルで高めた能力を、実際の山でのトレーニングによってトレイル特有の動きにつなげていくことが重要だと考えています。
平日はロードやトレッドミルでそれぞれの能力を高める
私の場合、走力を高めるためのトレーニングは主に平日に行っています。
例えば会社の昼休みには、マラソンレースペースより少し速いペースで10km程度走ることがあります。
また、火曜日には傾斜をつけたトレッドミルを使い、登りに対するトレーニングを行っています。
5000mなどトラックでの走力をさらに高めたい時期には、マラソンレースペース付近やLT付近で走るトレーニングの頻度を増やすこともあります。
このように平日は、ロードやトレッドミルを使って目的とする能力に狙った刺激を入れることを意識しています。
週末はトレイルで実際の動きに落とし込む
そして重要になるのが、実際のトレイルを走ることです。
ロードで走力を高め、トレッドミルで登りを鍛えていても、実際のトレイルでは石や木の根、段差などに対応しながら、登りと下りを繰り返さなければなりません。

・ロードで高めた走力を、起伏のある場所でどう発揮するのか
・トレッドミルで鍛えた登坂力を、路面や傾斜が変化する実際の登りでどう使うのか
・下りでは、疲労した状態でも路面を判断しながら素早く足を動かせるのか
こうした能力は、最終的には実際のトレイルを走ることで身につけていく必要があります。
そのため私は、できるだけ週に1回は山でトレーニングを行い、平日に高めた能力をトレイルランニングの動きに落とし込む機会を作るようにしています。
長時間のトレイルでは補給も練習する
長時間のトレイルトレーニングでは、走ることだけでなく、レースを想定した補給も実際に試すようにしています。
トレイルレースでは長時間動き続けるため、どのタイミングで何を補給するのかもパフォーマンスを左右します。

普段のトレーニングから補給食を携帯し、実際に走りながら摂取することで、自分に合った補給方法やタイミングを確認できます。
トレイルランニングでの具体的な補給方法については、「トレイルランの補給戦略」で詳しく解説しています。
山に行かない週は30〜35kmのロング走を行う
毎週必ず山へ行けるとは限らないため、山でのトレーニングを行わない週には、30〜35km程度のEペースでロング走を行うこともあります。
このロング走は、私が主催しているSAMURAI練習会として行うことがほとんどです。
練習会としてあらかじめ予定を決めておくことで、30〜35kmという長い距離のトレーニングを確実に行えることも、自分にとってはメリットです。

トレイルレースは長時間動き続ける競技なので、ロードでのロング走も持久力の土台を作るトレーニングとして活用できます。
そして、その持久力についても、最終的には山で長時間動くことでトレイルランニングにつなげていきます。
毎週山へ行けなくてもトレーニングは組み立てられる
できればトレイルでのトレーニングは毎週入れたいところですが、仕事や家庭の予定、住んでいる場所によっては難しい場合もあります。
その場合は、2週間に1回程度でも問題ないと私は考えています。
平日にロードやトレッドミルで必要な能力を鍛え、山へ行けるタイミングで実際のトレイルを走る。
大切なのは単純に山へ行く回数を増やすことではなく、普段のトレーニングで高めた能力を、定期的にトレイルの動きへつなげることです。
トレイルレースをトレーニングとして活用する
トレイルレースへ頻繁に出場している場合は、レースそのものをトレイルでのトレーニングとして活用する方法もあります。
私自身もレースを連続して入れることがありますが、その場合はレースで登りや下り、不整地を長時間走るため、それ自体が非常に実戦的なトレーニングになります。
無理に別の日にも山でのトレーニングを追加するのではなく、レースをトレイルでの実走として考え、それ以外の日にロードやトレッドミルで必要な能力を高めるという組み方もできます。
もちろんレースは通常の練習より負荷が高くなるため、前後の疲労を考慮してトレーニング量を調整することも必要です。
私の場合は、
ロード・トラックで走力を高める → トレッドミルなどで必要な能力を補う → 実際のトレイルでそれらをトレイルの動きに落とし込む。
この流れを意識してトレーニングを組み立てています。
まとめ|ロードで走力を高め、山でトレイルの動きに落とし込もう
トレイルランニングで強くなるためには、山を走るだけでなく、ロードやトラック、トレッドミルなどを組み合わせてトレーニングすることが重要です。
私自身、ロードで基礎的な走力を高め、そこで鍛えた能力を実際の山でトレイルの動きに落とし込むことを意識しています。
さらに、走れるコースなのか、起伏やテクニカルな路面が多いのかによっても、必要なトレーニングは変わります。
目標とするレースの特徴と自分に足りない能力を考えながら、トレーニングを組み立ててみてください。







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