マラソン人口が拡大し、多くの人がファンランニングから記録にチャレンジするようになってきました。
走り始めた当初はフルマラソンで5時間かかっていた選手が、トレーニングにはまって現在は2時間30分切りを達成したなんて話も結構聞くようになってきました。
そんな記録にチャレンジしたい人が読んでいるバイブル的な書籍が「ダニエルズのランニングフォーミュラ」と「リディードのランニングバイブル」です。
本記事ではその中でもダニエルズのランニングフォーミュラに記載されているVDOT指標について、トレーニングでの活用方法を解説したいと思います。
トレーニング指標として話題となったVDOT指標
ランナーの間でバイブル的な存在になっている書籍が「ダニエルズのランニングフォーミュラ」です。
特に具体的なトレーニング指標が示された本書は市民ランナーだけでなく、トップ選手にも広い支持を得るようになってきました。
支持されている要因は、何といってもこれまでの書籍とは異なりトレーニング負荷について具体的な数値が示されているからでしょう。
例えばマラソンで目標タイムを設定した場合に、ジョギングのペース、ペース走のペース、インターバルのペース、レぺティションのペース、マラソンのペースが決められているのです。
この投稿をInstagramで見る
マラソンでの目標タイムを設定したら、そこから逆算して各種トレーニングを組み立てることもできますし、実際に一度フルマラソンを走ってみて、そのタイムからVDOT指標を割り出して自分のトレーニング内容を改善する方法もあります。
VDOT指標はあくまで参考
多くのランナーにとって、本書は最初にマラソンの目標タイムを決定して、そこからトレーニングを組み立てていく使い方をされるのではないでしょうか?
実はそこに上達を阻害する罠があるんです。
本書でもジャックダニエルズ博士も「この指標はガイドラインである」ということを記載しています。
つまり、マラソンの目標タイムを設定してトレーニングを開始した場合、各トレーニングペースはそのトレーニングの目標に合ったものでなくてはならないということです。
つまり、大幅なタイム向上を目標にしてしまった場合、全てのペースがチャレンジペースになってしまうのです。
その結果、トレーニングに対する嫌悪感や怪我などに繋がってきてしまうのです。
きついトレーニングは「はー、、またやるのか。。」という気持ちになりますからね。
重要なのは、Eペース、Tペース、Iペース、Mペース、Rペースがどの程度の負荷であることが好ましいのかを理解した上でトレーニングするべきだということです。
重要なのはVDOT指標の設定をどの余裕度でこなすか
VDOT指標の設定をどの程度の余裕度でこなすかということですが、これが最も重要で難しいことです。
一番良いのは、本書の後半にあるトレーニングシミュレーションの頻度に合わせるということです。
マラソンの場合を見ると、レース13週前あたりが最もトレーニングボリュームが多い時期であることがわかります。
トレーニングスケジュールを見ると、1週間の間にTペースのトレーニングの頻度が多く、週に2~3回は設けられています。
Tペースのトレーニングが1週間の中で1~2回であっても、間にロングランの日が設けてあったりするのでトレーニング量としては「ポイント練習頻度が多いな」と感じる方は多いかと思います。
このスケジュールで無理なくできる設定で、更に少し余裕のあるトレーニング設定が良いと感じます。
VDOT指標のトレーニングにも全面性の法則を忘れずに
ダニエルズのランニングフォーミュラで解説されているトレーニングスケジュールだとどうしてもトレーニングが偏ってしまっているように感じます。
例えば最もTペースやMペースでのトレーニング頻度が多い時期には、Iペースでのトレーニング頻度が少ないのです。
これはトレーニングの全面性の原則に反するもので、もう少しIペースでのトレーニングやRペースでのトレーニングを入れないとTペースでのトレーニングが楽になっていかないと感じます。
その辺りを考慮してトレーニングを積んだ方が運動生理学上にも上達は速いと感じます。
上記で解説したトレーニングの原理原則については以下記事で解説しております。
マラソントレーニングの核となるのはTペースでの練習量
全面性の法則でトレーニングを満遍なく入れることの重要性については上記で述べましたが、それでも最も重要であり頻度を多く入れるべきはTペースでのトレーニングです。
理由はTペースで走るペースが上がり、踏む距離が向上するほどMペースでのトレーニングが楽に感じるからです。
Mペースは実際のフルマラソンのレースペースに該当するペースなので、これを如何に楽に走るかがポイントとなってきます、
その為にTペースでのトレーニング量を増やしながらも、そのペースを楽に感じさせるためにIペース以上の強度のトレーニングを入れるべきなのです。
この考えもトレーニングの原理原則に基づいた考え方です。
大学駅伝部に所属されていた方は、この方法でトレーニングスケジュールが組まれていた方が多かったのではないでしょうか?
私がいたチームでは、レースがあまりない時期にはほとんどTペースでのトレーニングが中心で、たまにインターバルトレーニングを行う方法でしたが、インターバルを入れ始めたばかりの時期には適応できない選手や記録会で本調子が出ない選手が殆どでした。
しかし、全面性の法則に則ってTペースを中心に様々なトレーニングを入れ始めると、14分台前半で5000mを走る選手が結構出てきたのを記憶しています。
大学駅伝部なのでターゲットレースはマラソンではなく箱根駅伝なので、1区間の距離は20㎞ですが、この距離においてもTペースでのトレーニングを核にスケジュールを組む方法は適用されます。
ここからもTペースを中心にTペース以上の様々なトレーニングを入れることの重要性が分かるかと思います。
Tペースについては以下記事で解説しています。
まとめ
今回はVDOT指標を用いたトレーニングについて解説しました。
ダニエルズのランニングフォーミュラでは、具体的なトレーニング指標を提示してくれていますが、この指標をどう利用していくのかは選手によって異なります。
最終的にどの様な負荷でトレーニングすべきかまだ掴めない。。という方には以下の書籍がオススメです。
オススメする理由はその選手のベストタイムが把握できたうえでのトレーニング強度が具体的に載っているからです。
ランニングタフ(今は英語版しかないみたいです。。)↓
HOW TO RUN(ポーララドクリフ) ↓
ランニングノート(大迫傑)↓
いつもありがとうございます!更新の励みになりますのでクリックお願いします!
コメントを残す