トレイルランニングを始めてみたいけれど、
「いきなり山を走って大丈夫?」
「どんな装備を準備すればいい?」
「登りや下りはどうやって走るの?」
と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
トレイルランニングというと、本格的な山を長時間走るイメージがあるかもしれません。しかし、初心者が最初から険しい山や長い距離を走る必要はありません。
森林公園などの起伏がある未舗装路を走ることから始め、慣れてきたら近くの低山や里山へと少しずつステップアップしていくことができます。
私自身もロードランニングだけでなく、これまでさまざまな距離のトレイルランニングやレースを経験してきましたが、トレイルでは走力だけでなく、コースや天候に合わせた装備、水分・補給食の準備なども重要だと感じています。
この記事では、これからトレイルランニングを始めたい初心者に向けて、始め方からコースの選び方、必要な装備、基本的な走り方や練習方法まで、実際の経験を交えながら解説します。
| 著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者) マラソンと並行してトレイルランニングに取り組み、ショートからロングレースまで幅広く出場しています。 主なレース実績 ・比叡山インターナショナルトレイルラン 50mile 6位 ・富士登山競走 山頂コース 3時間21分 ・各務原アルプストレイルランニングレース 優勝 ・別府大分毎日マラソン 2時間46分48秒 YouTube|マウンテンランニング研究所 |
トレイルランニング初心者は、まず何から始めればいい?
トレイルランニングを始めてみたいと思っても、「いきなり山を走って大丈夫なの?」と不安に感じる人もいると思います。
しかし、最初から本格的な山に入る必要はありません。
まずは森林公園などにある、アップダウンのある未舗装路を走るところから始めてみるのがおすすめです。
クロスカントリーのようなコースでも、舗装路とは違って起伏があり、路面の変化に対応しながら走ることになります。こうした場所で走るだけでも、トレイルランニングにつながる良いトレーニングになります。
最初は短い時間から始めて、慣れてきたら少しずつ運動時間を伸ばしていきましょう。
起伏のあるコースに慣れたら低山や里山を走ってみる
森林公園などの起伏に慣れてきたら、次は近くの低山や里山を走ってみるとよいでしょう。
ただし、初めて入る山では走ることよりも、まずコースを把握することを優先するのがおすすめです。
できれば「山と高原地図」などに登山道が掲載されている山を選び、事前にどのようなルートがあるのか確認しておきます。
実際に山へ入ってからも、すべてを走る必要はありません。
軽いジョギングと歩きを繰り返しながら、
・どこに分岐があるのか
・どの道を通れば戻ってこられるのか
・どこが走りやすく、どこが急なのか
などを確認していきます。
まずは安全に戻ってこられる自分なりの周回コースを見つけると、その後のトレイルランニングがかなりやりやすくなります。
私も六甲山でコースを覚えるところから始めた
私が関西に住んでいた頃、身近なトレイルとしてよく走っていたのが六甲山でした。
六甲山にはさまざまな登山ルートがあり、「山と高原地図」にも多くのルートが掲載されています。
以下は秩父エリアの地図ですが、このように登山道だけでなく、区間ごとのコースタイムも記載されています。

コースタイムとは、登山者がその区間を歩いた場合に、どのくらいの時間がかかるのかを示した目安です。
距離だけでは分かりにくい登りや下りを含めて、そのコースを移動するのにどの程度の時間が必要なのかを考える際に役立ちます。

私自身も、最初から知らないコースを速いペースで走っていたわけではありません。
コースを知らない状態で速く走ってしまうと、分岐を見落としたり、自分がどこにいるのか分からなくなったりする可能性があります。
そのため最初は、軽いジョギングと歩きを組み合わせながら、「この道はどこにつながっているのか」を覚えることから始めました。
それだけでも山では十分な運動量になりますし、登りや下りを繰り返すことで、トレイルを走るための力も少しずつ身についていきます。
コースをある程度把握できたら、そこから徐々に走る距離や行動時間を伸ばしていけばOKです。
そして実際に山を走ってみて、
「トレイルランニングって楽しいな」
と思えたら、次のステップとしてトレイルランニング大会にエントリーしてみるのもいいでしょう。
トレイルランニング初心者のコースの選び方
トレイルランニングを始めるとき、「最初は何kmくらいのコースを走ればいい?」と考える人もいると思います。
しかし、初心者がコースを選ぶときは、距離だけで判断するのではなく、行動時間を基準に考えることが重要です。
トレイルでは、同じ10kmでも走りやすい林道が中心のコースと、急な登りや下りが続くコースでは、かかる時間も体への負担も大きく変わります。
そこで参考になるのが、「山と高原地図」などに記載されているコースタイムです。
地図のコースタイムから行動時間を考える
初めて走る山では、自分がそのコースを何分で走れるのか分かりません。
そのため最初から、
「10kmなら普段走っているから大丈夫」
と距離だけで判断するのはおすすめしません。
まずは「山と高原地図」などを確認し、歩いた場合にどのくらいの時間がかかるコースなのかを把握しておきましょう。
特に初心者のうちは、「自分なら何時間で走れるか」ではなく、
「途中で走れなくなって歩いたとしても、余裕を持って戻ってこられるか」
という視点でコースを選ぶと安心です。
実際に何度かトレイルを走っていると、「地図上でこのくらいのコースタイムなら、自分の場合はこれくらいで回れる」という感覚が少しずつ分かってきます。
最初は短いコースから始め、自分の体力や走力を把握しながら徐々に行動時間を伸ばしていきましょう。
途中で補給できる場所があるか確認する
コースタイムと一緒に確認しておきたいのが、途中で水分や食べ物を補給できる場所があるかどうかです。
スタート地点やコース途中にコンビニや自動販売機などがあれば、そこで水分や食べ物を補給できます。
一方で、一度山の中に入ると、数時間にわたって補給できる場所がないコースもあります。
当然、途中で補給できなければ、その分だけ最初から多くの水分や補給食を持っていかなければなりません。
そのため初心者がコースを選ぶときは、
「距離」だけを見るのではなく、
「コースタイム」「途中の補給ポイント」「自分が持っていく水分・補給食」までセットで考えることが大切です。
最初のうちは、途中で街へ下りられたり、コンビニや自動販売機などで補給できたりするコースの方が走りやすいでしょう。
慣れてきたら徐々に行動時間を伸ばし、それに合わせて携行する水分や補給食の量も考えられるようになります。
トレイルランニング初心者に必要な装備
トレイルランニングを始めるとき、最初からすべての装備を揃える必要はありません。
まず最低限準備しておきたいのは、以下の装備です。
・トレイルランニングシューズ
・トレイルランニング用のザック
・水分
・補給食
・レインウェア
・スマートフォン
ウェアについては、すでにロードランニングをしている人であれば、普段使っているランニングウェアをそのまま使用しても問題ありません。
速乾性のあるシャツやランニングパンツなど、すでに持っているものを活用し、必要な装備から少しずつ揃えていけば十分です。
トレイルランニングシューズとザックは用意しておきたい
特にこれから継続してトレイルランニングを楽しみたい人や、大会への出場を考えている人は、トレイルランニングシューズとザックは用意しておくのがおすすめです。
トレイルでは土や岩、木の根、濡れた路面などを走るため、ロードとは路面状況が大きく異なります。トレイルランニングシューズはこうした路面を走ることを想定して作られています。
また、山ではロードランニングのように途中で簡単に水分や食べ物を購入できるとは限りません。
そのためザックに水分や補給食、レインウェアなどを入れ、必要なものを自分で携行して走ることが基本になります。

レインウェアやスマートフォンも忘れずに
山ではスタート時に晴れていても、途中で天候が変わることがあります。
そのため、特に長時間のトレイルや天候が不安定な日はレインウェアを携行しておくと安心です。
また、スマートフォンは地図で現在地を確認したり、緊急時に連絡したりするためにも必要です。
トレイルランニングでは、「走るための装備」だけでなく「安全に山から戻ってくるための装備」も必要になります。
大会に出場するようになると、レインウェアやヘッドライトなどが「必携品」として指定される場合もあります。将来的にレースへの出場を考えているのであれば、こうした装備も少しずつ揃えていくとよいでしょう。
トレイルランニングの装備については、シューズやザックの選び方から距離別の装備まで別の記事で詳しく解説しています。
トレイルランニングシューズは必要?
トレイルランニングを始めるとき、「普段使っているロードランニングシューズでは走れないの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
結論からいうと、走る場所によってはロードランニングシューズでも問題ありません。
例えば、森林公園にあるような起伏のあるクロスカントリーコースや、比較的整備された未舗装路であれば、まずは普段使っているロードランニングシューズで走ってみてもよいでしょう。
しかし、実際に山へ入るようになると状況は変わります。
トレイルランニングでは、急な登りや下り、岩場、木の根、泥など、さまざまな路面を走ります。そのため、本格的にトレイルランニングを楽しむのであれば、トレイルランニングシューズを用意するのがおすすめです。

トレイルランニングシューズは走る場所や用途に合わせて選ぶ
一口にトレイルランニングシューズといっても、その特徴はさまざまです。
アウトソールの形状や硬さ、ミッドソールのクッション性、アッパーの作りなど、モデルによって大きく異なります。
これは、トレイルランニングで走る路面や用途が非常に幅広いためです。
例えば、急な登りや下り、岩場などが続くテクニカルなコースでは、グリップ性能を重視したアウトソールを採用したシューズが選択肢になります。
一方、林道などの走りやすいトレイルでは、グリップ性能だけでなく、ロードランニングシューズに近い走りやすさやクッション性を重視したモデルもあります。

私自身、トレイルランニングだけでなくファストパッキングでもトレイルランニングシューズを使用しますが、どのような場所を、どのような目的で走るのかによってシューズを使い分けています。
そのため最初の一足を選ぶときも、「どのシューズが一番高性能なのか」ではなく、自分がどんな場所で使いたいのかから考えるのがおすすめです。
トレランシューズはフィット感も重要
トレイルランニングシューズを選ぶときは、フィット感も非常に重要です。
トレイルランニングでは、ロードランニング以上に長時間走ることもあります。長時間動き続けていると、後半になって足がむくんでくることもあります。
さらに、トレイルでは平坦な舗装路だけを走るわけではありません。
急な登りや下り、斜面、岩場などさまざまな路面を走るため、ロードランニングと比べてもシューズの中で足が前後左右に動きやすくなります。
特に下りでは足が前方へずれやすいため、フィットしていないシューズではつま先が当たったり、シューズの中で足が動いて走りにくくなったりすることがあります。
だからこそ、単純に普段履いているシューズと同じサイズを選ぶのではなく、実際に履いてみて、踵や中足部がしっかりフィットしているか、つま先に必要な余裕があるかなどを確認しておくことが大切です。
防水シューズが必ずしもトレランに向いているとは限らない
トレイルランニングシューズには、GORE-TEXなどを使用した防水モデルもあります。
「山を走ると泥や水で汚れそうだから、防水シューズにしておこう」
と考える人もいるかもしれません。
しかし、トレイルランニングだから防水シューズを選べばいい、というわけではありません。
トレイルランニングは長時間の運動になることも多く、走っているうちにシューズ内部の温度が上がり、足にも大量の汗をかきます。
実際、私自身はこれまでトレイルランニングで防水シューズを使用していませんが、それで困ったと感じたことはありません。
トレイルを長時間走っていると、シューズが濡れること自体は珍しくありません。
川や水たまりに足を入れて濡れるだけでなく、長時間走ることでかいた汗によってシューズ内部が濡れてくることもあります。
そのため、雨や泥があるからという理由だけで防水モデルを選ぶのではなく、走る季節や気温、行動時間、用途などを考えて選ぶことが重要です。
トレイルランニングの基本的な走り方
トレイルランニングでは、ロードランニングのように一定のペースで走り続ける必要はありません。
平坦で走りやすい林道もあれば、急な登りや下り、岩場などもあり、コースによって路面や勾配が常に変化するためです。
また、トレイルランニングは長時間に及ぶスポーツです。短いレースでも数時間、距離が長くなれば半日以上にわたって山の中を動き続けることもあります。
そのため重要なのは、序盤から頑張って走ることではなく、最後まで動き続けられるように体力を残しておくことです。
そこで私がトレイルランニングで意識しているのが、「ペースではなく出力をできるだけ一定にする」ことです。
言い換えると、コースに合わせて走り方を変えながら、運動負荷が急激に上がらないようにするイメージです。
例えば、平坦な林道を走っていて、その後に急な登りが現れたとします。
そのまま走り続ければ運動強度は一気に高くなり、体力を大きく消耗します。
そこで、平坦な林道を走っていたときと同程度の運動負荷になるように、登りでは思い切って歩くことも重要です。
実際、歩いて登るだけでもかなりきつい坂はあります。
「トレイルランニングだからすべて走らなければいけない」と考える必要はありません。
走る・歩くを使い分け、さらに身体の一部分だけに負担を集中させないようにする。
力を分散させながら最後まで動き続けることが、トレイルランニングの基本だと私は考えています。
登りは歩幅を小さくして体力を温存する
登りでは、できるだけ大股にならないように意識します。
一歩一歩の歩幅を小さくして、足を着くポイントを細かく刻みながら登っていくイメージです。
大きな歩幅で身体を持ち上げる動きを繰り返すと、一歩あたりの負担も大きくなります。特に長時間のトレイルでは、こうした小さな負担の積み重ねが後半の疲労につながります。
そのため、急な登りほど無理に走らず、歩幅を小さくして一定のリズムで登っていく方が体力を温存しやすくなります。
急な登りでは脚だけでなく全身を使う
傾斜がさらに急になり、大きく一歩を踏み出さなければならない場面では、脚だけで登ろうとしないこともポイントです。
私の場合は、膝の少し上から太もも付近に手を置き、腕で押し込むようにしながら登ることがあります。

こうすることで脚の力だけで身体を持ち上げるのではなく、上半身も使って登ることができます。
トレイルランニングでは長時間にわたって登りと下りを繰り返します。
だからこそ、特定の筋肉だけを使い続けるのではなく、身体全体を使って負荷を分散させることが後半まで体力を残すことにつながります。
下りは足元ではなく少し先を見る
下りでは転倒しないように、自分が次に足を着こうとしている場所ばかり見てしまいがちです。
しかし、足元だけを見ていると、その都度「次はどこに足を置こう」と判断することになり、動きがぎこちなくなってしまいます。
私が下りで意識しているのは、着地しようとしている場所よりも2歩ほど先を見ることです。

少し先の路面を見ることで、
「次はここ、その次はここ」
と早めに走るラインを判断できるため、下りをスムーズに走りやすくなります。
もちろん、初心者のうちから速く下る必要はありません。
岩や木の根などがあるトレイルでは、まずは転倒しないことが最優先です。最初は余裕のあるスピードで走りながら、少しずつ視線を先へ移し、路面の変化を早めに捉えることを意識してみましょう。
トレイルに慣れてくると、登り・下り・平地それぞれでどの程度の力を使えばよいのかも徐々に分かってきます。
速く走ることよりも、コース全体を通して力をどう配分するか。
まずはこの感覚を身につけることが、長時間のトレイルを最後まで走り切るための第一歩です。
トレイルランニング初心者におすすめの練習方法
トレイルランニングを始めたばかりの人は、最初からさまざまなトレーニングを取り入れる必要はありません。
まず優先したいのは、山を走る時間を少しずつ増やしていくことです。
トレイルでは、登りや下り、不安定な路面などを走るため、平坦なロードランニングとは身体の使い方が異なります。
ロードではあまり使わない筋肉にも負荷がかかるため、普段からマラソンを走っている人でも、いきなり長時間のトレイルを走れば脚がかなり疲れることがあります。
そのため初心者の段階では、「速く走るための練習」よりも、まず山を長時間動き続けられる身体を作ることを優先しましょう。
最初は1〜2時間程度の短いトレイルから始め、身体が慣れてきたら徐々に行動時間を伸ばしていきます。
登りや下りを繰り返しながら山を走ることで、トレイルランニングに必要な筋力や筋持久力が少しずつ身についてきます。
こうした準備をせずに長時間のトレイルランニングレースへ出場すると、後半に筋疲労が大きくなり、脚が動かなくなったり、思うように走れなくなったりすることがあります。
まずは「山を走れる脚を作る」ことが、初心者にとって最も重要なトレーニングだと私は考えています。
慣れてきたらロードとトレイルの両方を走る
ある程度山を走ることに慣れてきたら、次のステップとして取り入れたいのがロードランニングとトレイルランニングの両方を使ったトレーニングです。
ここでポイントになるのが、それぞれの役割を分けることです。
ロードは路面が安定しているため、一定のペースで速く走ることに集中できます。テンポ走やインターバルトレーニングなどを行い、純粋な走力や心肺機能を高めるには非常に適しています。
一方、トレイルでは登りや下り、不整地を長時間動くことで、山を走るための筋力や筋持久力、路面への対応力を鍛えることができます。
つまり、
ロードでは「速く走る能力」を高める。
トレイルでは「山を長時間走る能力」を高める。
それぞれの特徴を活かしてトレーニングするイメージです。
実際、トレイルランニングで高いレベルにいる選手でもロードでのトレーニングを取り入れており、フルマラソンなどでも高い走力を持っている選手は少なくありません。
ただし、ロードだけを速く走れるようになっても、それだけでトレイルを速く走れるようになるわけではありません。
逆に山ばかり走っていると、一定のスピードで走る能力を高めるトレーニングが不足することもあります。
だからこそ、ある程度トレイルに慣れてきたら、
ロードで走力を高めるトレーニングと、山でトレイル特有の能力を鍛えるトレーニングを組み合わせる。
これが、さらにトレイルランニングで強くなるためのポイントです。
トレイルランニングの初心者向けのトレーニング内容については以下記事で走力別に解説しております。
トレイルランニングでは水分・補給食を準備する
トレイルランニングでは、ロードランニングと違い、必要な水分や補給食を自分で持って走ることが基本です。
山の中に入ると、ロードのように途中でコンビニや自動販売機に立ち寄れるとは限りません。
そのため、走る前に「どのくらいの時間行動するのか」を考え、必要な水分と補給食を準備しておきましょう。
水分・補給食は行動時間から考える
トレイルランニングでは、距離だけを見て補給量を決めるのではなく、行動時間から逆算して考えるのがおすすめです。
例えば同じ20kmでも、走りやすい林道が中心なのか、急な登りや下りが続くのかによって行動時間は大きく変わります。
さらに水分については、行動時間だけでなく、気温や季節、途中で水分を補給できる場所があるかによっても必要な量が変わります。

コースを事前に確認して、
「何時間くらい動くのか」
「途中で水分や食べ物を補給できるのか」
を確認してから、持っていく量を決めるとよいでしょう。
補給食は少量ずつこまめに摂る
長時間のトレイルでは、お腹が空いてから一度にたくさん食べるのではなく、エネルギー切れを起こす前にこまめに補給することが重要です。
私の場合は、行動中に40分〜1時間程度を目安に補給食を摂るようにしています。

もちろん必要な量やタイミングには個人差がありますが、初心者のうちから「長時間動くときは定期的に補給する」という習慣をつけておくと、後々トレイルランニングレースに出場するときにも役立ちます。
普段のトレーニングならコンビニの食品でも十分
トレイルランニングを始めたからといって、毎回レース用のエネルギージェルを購入する必要はありません。
普段のトレーニングであれば、コンビニなどで購入できる食べ物を補給食として活用しても十分です。
むしろ最初のうちは、実際に山を走りながら、
「どのくらいの間隔で食べれば動き続けられるのか」
「走りながらでも食べやすいものは何か」
「自分の胃腸に合うものは何か」
などを確認しておくことも大切です。
そして大会に出場するようになったら、携帯性や食べやすさなどを考えて、エネルギージェルなどのレース向け補給食を活用するとよいでしょう。
トレイルランニングの補給方法や、実際にレースで使用している補給食については、別の記事で詳しく解説しています。
トレイルランニングで知っておきたいルールとマナー
トレイルランニングを楽しむうえで、まず覚えておきたいのが、山はトレイルランナー専用の場所ではないということです。
登山者やハイカーなど、さまざまな人が同じ登山道を利用しています。
トレイルランナーは登山者より速いスピードで移動することが多いため、自分では問題ないと思っていても、突然後ろからランナーが近づいてくれば相手を驚かせてしまうことがあります。

周囲への配慮を忘れずに走ることが大切です。
登山者とすれ違うときは山側で待つ
狭い登山道ですれ違う場合は、基本的に止まって安全にすれ違えるスペースを確保することが重要です。
山側と谷側に分かれている場所では、待つ側ができるだけ山側に寄る方が安全です。
谷側には転落の危険があるため、無理に走ったまますれ違おうとせず、必要であれば一度立ち止まりましょう。
また、登山では一般的に登り優先とされることがありますが、実際の山では場所や状況によって安全な判断は変わります。
「自分が優先だから相手が避ける」という考えではなく、その場で安全にすれ違える方を優先することが大切です。
追い越すときは自分の存在を知らせる
登山者を追い越す場合も、いきなり横を走り抜けるのは避けましょう。
少し手前から声をかけるなど、自分が後ろにいることを相手に伝えてから追い越すようにします。
私の場合、熊鈴など音が出るものをザックにつけて走ることもあります。
音が鳴っているだけでも前を歩いている人がこちらの存在に気づきやすくなるため、突然近づいて驚かせてしまうことを減らせます。
もちろん、気づいてもらえているとは限らないので、追い越す際には挨拶や声かけをするのがおすすめです。
トレイルから外れて走らない
当然ですが、持ってきたゴミは山に捨てず、必ず持ち帰ります。
そして、もう一つ気をつけたいのが登山道から外れて走らないことです。
山には貴重な高山植物などが生育している場所もあります。
登山道を避けてその横を走る人が増えると、植物を踏みつけてしまうだけでなく、本来の登山道が徐々に広がってしまうことにもつながります。
泥や水たまりがあって避けたくなることもありますが、基本的には決められたトレイルの範囲内を通り、植生のある場所へむやみに入らないようにしましょう。
山に入ったら自分の足で帰ってくることを考える
トレイルランニングでは、山に入ったら安全に自分の足で戻ってくることまでがトレーニングだと考えています。
そのためには「道に迷ったらどうするか」「天候が変わったらどうするか」「予定より時間がかかったらどうするか」といったトラブルも想定しておく必要があります。
スマートフォンに地図を準備しておくことはもちろん、GPSウォッチにルートを入れておけば、現在地や進む方向を確認するのにも役立ちます。
また、トレイルランニングの拠点やランニングステーションによっては、遭難時の捜索に利用できるCOCOHELI(ココヘリ)をレンタルできるところもあります。こうしたサービスを利用するのも一つの方法です。
特に初めて走る山や、まだ山に慣れていないうちは、
「迷わないこと」だけではなく、「迷ったときやトラブルが起きたときにどうやって戻るか」まで考えてから山へ入る。
これもトレイルランニングを安全に楽しむための重要な準備です。
初めてトレイルランニング大会に出るなら?
トレイルランニングに慣れてきたら、大会に出場してみるのもおすすめです。
大会では普段一人では走らないようなコースを走れたり、エイドで補給を受けられたりするため、普段のトレイルランニングとは違った楽しさがあります。
ただし、初めて大会を選ぶときに距離だけを見て判断するのはおすすめしません。
同じ20kmの大会でも、コースによって難易度やフィニッシュまでにかかる時間は大きく変わります。
距離と一緒に累積標高を確認する
私が大会を選ぶときに確認してほしいのが、コースの距離に対して累積標高がどのくらいあるのかということです。
例えば同じ20kmでも、比較的フラットで走れる区間が多いコースと、急な登りと下りを何度も繰り返すコースでは、身体への負担がまったく違います。
短い大会だから初心者向けとは限りません。
距離が短くても累積標高が大きく、急登や急下降を繰り返すコースであれば、想像以上に体力を消耗します。
そのため大会を選ぶときは、
「何kmあるのか」だけではなく、「その距離でどのくらい登るのか」
までセットで確認するのがおすすめです。
コースの路面や走りやすさも確認する
さらに確認しておきたいのが、どのような路面を走る大会なのかです。
走りやすい林道やなだらかなシングルトラックが中心なのか、岩場や木の根、急な登り下りなどのテクニカルな区間が多いのかによっても難易度は変わります。
最近ではYouTubeなどで、実際に大会を走ったランナーがレース動画を公開していることもあります。
大会名で検索して実際のレース映像を見ておけば、
「思っていたより走れそう」
「急な登りがかなり多い」
「岩場が多くて難しそう」
など、コースマップや高低図だけでは分からない情報も確認できます。
初めて出場する大会ほど、実際のコース映像を事前に見ておくのがおすすめです。
初めてなら「走れるトレイル」が多い大会もおすすめ
せっかく初めて大会に出場するのであれば、トレイルランニングの「走る楽しさ」を感じられる大会を選ぶのも一つの方法です。
個人的には、急登やテクニカルな区間ばかりの大会より、林道や走りやすいトレイルがあり、気持ちよく走れる区間が多い大会は初レースにも向いていると思います。
私が実際に走った大会では、伊豆トレイルジャーニーやロッキンベア妙高トレイルランなどは、走れる区間もあり、トレイルランニングらしい楽しさを感じられる大会でした。
以下はロッキンベア妙高トレイルランニングレースのレース中の様子です。
もちろん大会にはそれぞれ特徴があるため、距離だけで判断せず、累積標高や路面、実際のコースの様子まで確認して選んでみてください。
制限時間や必携品も忘れずに確認する
出場する大会が決まったら、制限時間や関門、必携品についても必ず大会要項を確認します。
トレイルランニング大会では、レインウェアやヘッドライト、携帯電話など、大会によって携行しなければならない装備が指定されていることがあります。
また、フィニッシュの制限時間だけではなく、途中に関門が設定されている大会もあります。
自分の走力で余裕を持って完走できそうか、必要な装備を準備できるかまで確認したうえでエントリーしましょう。
まとめ|初心者は短いトレイルから始めてみよう
トレイルランニングを始めるからといって、最初から長い距離を走ったり、本格的な山へ行ったりする必要はありません。
まずはトレイルランニングシューズやザックなど必要な装備を準備して、走りやすい里山や短いトレイルから始めてみるのがおすすめです。
ロードランニングとは違い、トレイルでは登りや下り、不整地を走るため、普段あまり使わない筋肉にも大きな負荷がかかります。
最初は無理のない時間から始め、山を走ることに慣れてきたら少しずつ距離や行動時間を伸ばしていきましょう。繰り返し山を走ることで、トレイルランニングに必要な筋力や筋持久力も徐々についてきます。
そして、トレイルランニングを続けるうちに、
「もっと長い距離を走りたい」
「大会に出てみたい」
「もっと速く走れるようになりたい」
と思うようになったら、次のステップです。
山でのトレーニングに加えて、ロードでマラソンが速くなるようなトレーニングも取り入れてみましょう。
ロードで純粋な走力を高めながら、山ではトレイル特有の筋力や技術を身につける。この両方を組み合わせることで、トレイルランナーとしてさらにステップアップできます。
まずは難しく考えすぎず、必要な装備を準備して、身近な短いトレイルを走ってみること。
そこから少しずつ、自分の走れる世界を広げていきましょう。
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