うだるような暑さの中、夏のランニングに悩んでいませんか?
日中はもちろん、日没後でさえ湿気と籠るような気温で、「Eペース」や「ロングラン」などのマラソン練習らしい練習ができない――そう感じている方は少なくないはずです。
「ジョグばかりで距離が踏めない」
「ロングランに挑戦しても途中でバテてしまう」
「秋のレースに向けた準備、これで大丈夫なのか不安…」
そんなランナーの方に向けて、この記事では以下の内容をお伝えします:
・暑さに負けない夏のEペースロングラン戦略
・私自身の失敗談から学んだ教訓
・秋のレースに間に合わせるための効率的な走り方と準備
夏は、秋のマラソンで結果を出すための下地づくりの季節です。
ただし、間違った方法で取り組めば、怪我や熱中症のリスクが高まります。私も過去に何度も失敗を重ね、そのたびに「夏の走り方」を見直してきました。
この記事が、あなたの夏のロングランのヒントとなり、秋にベストな自分でスタートラインに立つきっかけになれば嬉しいです。
私のYouTubeでも解説しているのでよかったら参考にしてみてください。
夏にロングランをする意味とは
なぜ夏にロングランをするのか?
そう疑問に思う方も多いかもしれません。たしかに、気温も湿度も高いこの時期に、長時間のランニングを行うのは体への負担も大きく、避けたくなる気持ちもわかります。
それでも夏にEペースでのロングランを続けることには大きな意味があります。
心肺に過度な負担をかけずにスタミナや筋持久力を養うEペース走は、
秋のマラソンシーズンに向けた基礎づくりとして欠かせないトレーニングだからです。
私自身10月末にレースを予定している場合は、2週間前に35キロ走を行うようにしています。
ただし、この35キロ走も、単発でやってもそれほど効果はありません。
段階を踏んで距離を伸ばしていき、最終的に35キロにたどり着くことに意味があります。
これについては、以下の記事の中でも解説しております。
そう考えると、9月や8月の段階でしっかりとEペースで距離を踏んでおく必要があります。動き続ける体を作っておくことで、秋にレースペース走や長距離走をしっかりこなすことができるのです。
また夏のロングランにはEペースそのものの底上げという側面もあります。
夏に全くEペースでのロングランを入れずにいると、秋になってもそのペースで走るのがきつく感じることがあります。
一方で夏の間にEペースを習慣として継続できていた場合、気温が下がった時に以前よりも軽やかに同じペースで走れている自分に驚くはずです。
夏のロングランは、秋のマラソンに向けた準備であり、伸びしろをつくるための地道な積み重ねです。
よくある失敗とその原因
次によくある失敗とその原因について解説します。
私自身も、夏のロングランで何度も失敗を繰り返してきました。特に気温と湿度が高くなるこの時期は、何気ない判断ミスが大きなリスクにつながります。ここでは、夏のEペースロングランで起きやすい代表的な失敗とその背景を紹介します。
・暑さの中で無理にペースを維持しようとする
・給水や補給を甘く見る
・暑さに体が耐えきれず途中で中断する
以下記事で解説していきます。
原因①暑さの中で無理にペースを維持しようとする
まず暑さの中で無理にペースを維持しようとしてしまう事です。
ランナーにありがちですが、夏でもEペースを守らなければと考え、暑い中で普段通りのペースで走ろうとすると、
序盤は走れても途中から体に熱がこもり、一気に動けなくなることがあります。
湿度が高い日は汗が蒸発しづらく、体温調整がうまくいかないため、無理なペース維持は熱中症リスクを高める原因になります。
原因②給水や補給を甘く見る
次に給水や補給を甘く見るという事です。
特に給水については冬場のロングランではあまりやらないことですよね、トレーニングは自宅を発着点とするんドエ途中で給水をするというのは水か小銭を持参することになるので正直面倒です。
ただ夏の場合はこの手間を惜しむとロングランを途中で失敗することに繋がってしまいます。
私はこれでかなり失敗してきましたので、夏のロングランでは必ず水分購入用の小銭を持参します。
また、消耗がとにかく激しいのでジェルは必ず活用するようにしています。
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ジェルといえばレース中に体のエネルギー補給やリカバリーに使用するものですが、私の場合は消耗の激しい夏のトレーニングや、冬場の追い込むトレーニングでも活用しています。
ジェル補給活用については後程解説しますが、非常に重要なひと工夫だと感じますので参考にしてみてください。
原因③暑さに体が耐えきれず途中で中断する
ロングラン失敗理由としてこれが最も多いことですが、暑さに体が耐え切れずに中断するということです。
走り出しは元気でも気温の上昇や風のない環境、日差しの強さなどによって、途中で体調が悪化し、途中でやめざるを得なくなるケースもあります。
実際私はかなり経験しています。
特に湿度が高い日は、知らないうちに深部体温が上がり続け、軽度の熱中症状態に陥ることもあるため注意が必要です。
これらの失敗を防ぐためには、気象条件や体調を踏まえたペース設定、計画的な補給、トレーニングの目的に合わせた距離と時間のコントロールが欠かせません。
この微妙な匙加減が重要だと感じますね。
特に気象条件を見ながらロングランを入れることは重要だと考えており、雨の日などを狙ってトレーニングをするのもおススメです。
夏のロングランは「気合い」ではなく「戦略」で走るべきです。
ロングランを成功させるための4つのポイント
ではロングランを成功させるためにはどうすればいいのでしょうか?具体的には以下の内容を意識する必要があります。
私自身これらを意識することでロングランの成功確率はかなり上がったと感じます。
逆にこれらを意識できていなかった時には失敗することが多かったです。
・ラップを意識しすぎない
・後半にビルドアップ
・準備を徹底する
・1日の総合距離で考える
以下記事で解説していきます。
ポイント①ラップを意識しすぎない
Eペースはマラソンより遅いペースであり、幅をもたせて考えるべきです。にもかかわらず、ロングランになるとつい「◯分/kmで走らないと」と焦ってしまう。
これは低強度ジョグの場合には低強度であれば同じという認識があるが、「Eペース」という明確な指標が出てきてしまう以上ポイント練習という認識が働くからだと思います。
シリアスなトレーニングであればどうしてもそのペースを守ろうとしてしまいますよね。
ただ夏のロングランであればうまくこなすために注意が必要です。
私のおすすめは、最初の5kmは目標より10〜15秒遅く走ること。気象条件が厳しい日は、さらに落としても構いません。序盤の入り方で成功率が大きく変わります。
ポイント②後半にビルドアップ
ロングランを成功させるためのひとつの工夫として、
後半にビルドアップする意識を持つことがあります。
これは、最初から予定ペースで走り切ろうとするのではなく、終盤に向けて自然とペースが上がるように余力を持って走るという考え方です。
ビルドアップといっても大きくペースを上げる必要はありません。
最終的にその日の目標であるEペースの平均に近づく程度で十分です。この走り方を意識するだけで、トレーニング後の疲労度や脱水症状が軽くなり、体へのダメージを最小限に抑えることができます。
大事なのは、後半にもう少し上げられそうだという感覚を持って終えることです。走り終えたときに「まだ少し余裕がある」と感じられれば、翌日の練習にも無理なくつなげられます。
私自身、夏場にロングランで限界ギリギリまで追い込んでしまうと、後半はペースを維持するだけで精一杯になり、トレーニングとしての効果が薄れることがあります。疲労も深くなり、その週は低強度のジョグしかできないという事態にもなりかねません。
ビルドアップの意識は、無理なく走り切るためのペース戦略であり、継続して練習を積み重ねるための土台づくりでもあります。
ポイント③準備を徹底する
夏のロングランを成功させるには、走る前の準備がとても重要です。
走る内容そのものよりも、準備の有無がその日の走りを大きく左右することさえあります。暑さに負けず、予定通りの距離を走りきるためには、以下の3つを意識しておくと効果的です。
・給水・被り水を確実に用意する
夏場のロングランでは、水分補給が不十分だとパフォーマンスが一気に落ちてしまいます。給水はこまめに行い、のどが渇く前に飲むことが基本です。加えて、被り水(頭や首元に水をかける)をすることで体温上昇を抑えることができます。特に風がある日は、気化熱によって驚くほど涼しさを感じやすくなります。走り始める前から水を携帯するか、事前にコース上に水を置いておく工夫もおすすめです。
・ジェルの活用
ロングランでは、途中でエネルギー切れを起こさないよう、エネルギージェルを活用することも大切です。私自身は、夏のEペース走で20km以上走るときにはジェルを1本は必ず使います。
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暑さの中では普段よりも消耗が早く、筋分解も進みやすいため、走っている最中に1本、終わったあとにリカバリー用としてもう1本、というように戦略的に使うと、次の練習にもつなげやすくなります。
もちろんオススメはSAMURAIGELですが、自分の好きなジェルがあればそれを活用するのが一番だと思います。
・涼しい時間帯を選ぶ
暑さ対策として非常に効果が高いのが
走る時間帯の工夫です。
夜明け前や日没後など、気温が下がるタイミングを狙って走ることで、同じトレーニングでも体への負担が大きく変わります。
例えば、朝であれば7時以降は一気に気温が上がるため、遅くとも6時台には終えられるようにする。夜であれば、気温が下がるタイミングや、雨の予報を逆に利用して少しでも涼しい時間を選ぶなどの工夫が有効です。
これらの準備は、どれも難しいことではありません。しかし、たったこれだけのことで「暑さのせいで予定通り走れなかった」という事態を避けることができます。
夏のランニングでは、走る以前に、走れる状態を整えること自体がトレーニングの一部だと考えるべきです。準備ができていれば、暑さを乗り越え、秋につながる走りがしっかりと積み上がっていきます。
ポイント④1日の総合距離で考える
夏の厳しい暑さの中では、どうしても1回で長い距離を走るのが難しくなることがあります。
日中は危険なほどの暑さとなり、早朝や夜の時間帯も湿度が高く、思うようにペースが上がらなかったり、体が重く感じたりするものです。
そういった中で、「今日はロングランできないから練習にならない」と考えるのは少しもったいないかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、1日の中で距離を分けて走るという方法です。
たとえば、朝に15キロ、夕方に10キロといったように2回に分けてEペースで走ることで、合計25キロ相当の負荷を体にかけることができます。これは1本のロングランに比べてやや刺激は分散されますが、暑さによる体への過度なダメージを避けながら、必要な距離をしっかり踏むという点では非常に有効な方法です。
もちろん、理想を言えば1本でまとめて走るほうが、マラソン特有の後半への耐性や集中力も養えます。ただし、それができずに中断してしまうよりは、無理なく距離を確保していく方が長期的にはメリットが大きいのです。
さらに、朝と夕方で気象条件が異なるため、走りやすい環境を選べるという点でもリスクを抑えることができます。時間帯やスケジュールに合わせて、柔軟にトレーニング計画を調整することは、夏場を乗り切るうえで非常に大切です。
Eペースでの走り込みは、継続していくことに価値があります。1回のロングランにこだわりすぎず、その日の体調や環境に応じて「分割してでも距離を積む」という視点を持つことが、夏場のトレーニングを安定して継続するための鍵になります。
夏にロングランがまだできない人はどうすべきか?
夏にまだロングランができない走力のランナーもいるかと思います。
走り始めたばかり、もしくは暑さが苦手でどうしてもロングランができない場合もありますよね?
そうした方は無理にロングランを行おうとせずに、走力に応じたトレーニングをコツコツ行う方が効果的です。
無理にロングランを入れた方が逆に遠回りになる可能性もあります。
以下のツイートでは記事で走力別のマラソントレーニング戦略についてブログ解説しておりますので、参考にしてみてください。
これまで「夏のマラソントレーニング」について何度か発信してきましたが、
ようやく1本の記事としてまとめました。https://t.co/nxCduBtaoEテーマは
【走力別・夏トレ戦略】です。夏の練習が難しい理由、よくわかります。
暑さ、疲労、不安…
でも、全員が同じように悩んでいるわけではない。… pic.twitter.com/SQcDeveccj— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) July 26, 2025
電子書籍のご案内|夏の練習を、秋の成果につなげたい方へ
今回ご紹介したロングラン戦略をさらに深掘りした内容を、ひとつの形にまとめています。
「夏の間、どう走れば秋に伸びるのか」
「暑さに弱いけれど、走力を維持・向上させたい」
そんな悩みに対して、実際に私自身が試行錯誤しながら掴んできたことを体系化したものです。
例えば──
・暑さを味方につけるEペース戦略
・ロングランを続けるための習慣と栄養補給の工夫
・フルマラソンで35km以降も走りきれる夏の過ごし方
どれも、自己ベストを更新した秋のマラソンに直結した内容です。
夏にしっかり走れた人だけが、秋に余裕を持ってレースを楽しめる。
その準備を、今からはじめませんか?
詳細については以下のリンクで確認できますので、参考にしてみてください。
PB更新は夏で決まる!40代×サブエガランナーの実践トレーニング
まとめ
夏のロングランは、秋以降の結果を左右する最重要トレーニングの一つです。失敗を減らし、無理なく継続するために、今回ご紹介した戦略を取り入れてみてください。
そしてぜひ、「夏でも走れる」ランナーになって、自己ベスト更新を目指しましょう。
いつもありがとうございます!更新の励みになりますのでクリックお願い致します。







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