今回はあの芸人ランナー猫ひろしさんの著書を紹介します。
どうやって2時間30分の壁を破りオリンピック出場を決めたのか、どんなトレーニングを行ってタイムを伸ばしたのかを知りたい方には本書は有益な内容かだと思い、記事にしました。
・マラソンサブスリーを達成したい
・マラソンの記録が伸び悩んでいる
・猫ひろしさんのマラソントレーニングについて知りたい
・マラソントレーニングのポイントについて知りたい
といった方には役立つ内容かと思います。
YouTube動画でも解説しているので参考にしてみてください。
猫ひろしさんとマラソン
猫ひろしさんについてですが、異色の経歴のランナーと言えるでしょう。
フルマラソンの自己ベストは2時間27分48秒であり、最終的にはリオデジャネイロオリンピックにカンボジア代表として国籍を変更して出場しています。
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芸能人の中で速いという括りではなく、普通にランナーの中でも速い部類に入る猫ひろしさん。
驚くのが陸上経験がこれまでなく、中学高校は卓球部。
マラソンの持ちタイムだけでなく、伸びにくいと言われるサブスリー以降の走力の伸びが目覚ましいということも市民ランナーが学ぶべきところではないかと思います。
マラソンに必要な4つの条件
猫ひろしさんはマラソンに必要な4つの条件として
・ローリング走法
・体幹強化
・心肺機能の向上
・スピード感覚
を挙げています。以下で解説していきます。
条件①ローリング走法
まずローリング走法についてです。
これは効率的なランニングフォームの習得が目的です。つまり腰高を維持しつつうまく骨盤を動かす走法のことで、マラソンや駅伝のトップ選手の走りを見るとわかるあの走りです。
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このローリング走法を繰り返して脳と体に刻み込むことが重要だと解説されています。
猫ひろしさんの場合、ローリング走法の習得は日頃が利用している「ハイテクスポーツ塾」の特殊な機器を使って行われている様ですね。
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条件②体幹強化
次に体幹の強化です。
これはつまり身体の末端ではなく、身体の中心部の大きな筋肉を動員させることです。
先に解説したローリング走法にも関わる重要な要素で、日頃から大腰筋や腸骨筋を強化されています。
これにも「ハイテクスポーツ塾」の特殊な機器を使って行われています。
条件③心肺機能の向上
心肺機能の向上についてはマラソンにおいて重要ですが、猫ひろしさんは「低酸素トレーニング」を推奨されています。
気圧の要素を排除した低酸素ルームという空間を利用してそこでトレーニングを行うことでヘモグロビンを増やしているとのことです。
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このヘモグロビンは酸素を運ぶいわば運搬係で、このヘモグロビン量が減ると身体に行き渡る酸素量が減ったり、
またヘモグロビンが酸素と結びつく割合が減ることもパフォーマンス上好ましくないとされています。
マラソン35㎞の壁は糖質の欠乏や疲労物質であるアデノシンなどの発生により起きるとされていますが、このヘモグロビンが酸素と結びつきづらいことで発生する酸欠もその一要素とされています。
これを防ぐためにも低酸素トレーニングは極めて有効だということです。
私もハイアルチという低酸素ジムでトレーニングしていますが、結構いいです。特に身体を絞る際などにはかなり使えるので良かったら以下記事で解説していますので覗いてみてください。
条件④スピード感覚
猫ひろしさんはスピード感覚についても必要な条件として挙げています。
ここで言うスピード感覚というのは絶対的なスピードのことではなく、身体を早く動かすことに身体を慣れさせるという事です。
毎日LSDばかり行っている選手が急に1000mのタイムトライアルを行ってもうまく走れない様に、早い動きを脳や筋肉、神経に経験させておかないとレース本番で良い動きではしることはできません。
その動きを習得する目的でレぺテーションやインターバルなど早めの動きを入れているのです。
猫ひろしさんのトレーニングではレース1か月前には100mを10本全力疾走などのトレーニングも行われているので、スピード感覚を磨くことは極めて重要であることが分かります。
ロングインターバルとショートインターバルの両方がマラソントレーニングに必要なのが分かりますよね。
レース本番に向けたトレーニングの流れ
まずNさんのレース本番までに向けたトレーニングの流れについて解説致します。
著書では主に
・レース3ヶ月前
・レース2か月前
・レース1か月前
に区切って書かれていたので、その流れで解説していきます。
トレーニング①レース3ヶ月前
レース3ヶ月前からは距離を重視し、レース本番に向けて徐々に距離を絞ってスピードを強化するトレーニング手法を取っています。
ただ、3か月前の段階から距離走を中心に月間500㎞近く走られていますが、ペース設定は1㎞あたり5~6分ペース。
距離走といえるペースでは走っておらず、とにかくジョグを長く行う様なそんなイメージです。
それと合わせて5㎞×3本などのロングインターバルは入れているのが特徴です。この段階ではショートインターバルは入れていないというのもNさんのトレーニング特徴の様です。
つまり3か月前は負荷はそこまで高くはないものの、トレーニングボリュームはかなりのものであるということです。
トレーニング②レース2か月前
2か月前からは距離とスピードの両方のトレーニングが始まります。
インターバルトレーニングやレペテーションを行う時期もこの時期で、主にロングインターバルが中心となります。
インターバルトレーニングは5㎞×3本が中心で、設定は18分30秒、18分00秒、17分30秒です。
このロングインターバルに加えて40㎞走を10日おきに行い、設定は3か月前の40㎞ジョグとは異なり、1㎞4分ペースというレースに実践的なペースです。
この時猫ひろしさんが出した自己ベストタイムが2時間37分ですので、2時間48分ペースとなるとちょっと余裕のあるペースと言えるでしょう。
とは言え、インターバルトレーニングとの組み合わせになってくる時期である上に、減量が重なりかなり厳しい時期だと書かれていました。
体調を崩すのもこの時期で、風邪などを頻繁にひいていて大変だった様です。
ただここで体調を崩すのは想定内とのことで、負荷がかかっている目安とされている感じもあるみたいですね。
風邪をひかないに越したことはないんでしょうけど、それだけしっかり負荷がかかっていることが確認できればレースで良い走りが期待できるという事でしょうね。
トレーニング③レース1か月前
1か月前はひたすら短い距離を早く走る時期とのことです。
ショートインターバルを行うのがこの時期で、内容としては800メートルを5から7本を中心に入れておられる様です。
設定は2分30秒~35秒で設定されている様ですので、これはかなりの負荷だという事が読み取れます。
また速い動きを身に付ける目的で、100メートルを10本などのトレーニングを行っています。
1週間前は5000mのタイムトライアルを行い、レース当日のペース設定をされています。
2時間37分を出した時は16分30秒で5000mを走り、Nさんは5000mのペース+2分がマラソンの適正ペースだと解説しています。
ちなみにサブスリーを達成した際には17分30秒だったそうです。
小出監督の5000m+1分20秒説よりもすこしゆるめに設定されているのが印象的ですね。
猫ひろしさんのインターバルトレーニングについて
猫ひろしさんのインターバルトレーニングについてはトレーニング期ごとに分けているのが特徴です。
通常であれば基礎的インターバルとして最初にショートインターバルなどを入れるのが一般的ですが、猫ひろしさんの場合ロングインターバルからレース本番に向けて徐々にインターバルトレーニングの距離も短くそして早くなっていきます。
神経系の働きを重要視されており、身体を早く動かすことに脳を慣れさせることが目的で、レース直前は長い距離はあまり走らずに短い距離のインターバルを中心に頻度多く走っています。
猫ひろしさんの距離走について
距離走についてはレース2か月前から入れ始めています。
長い距離を走ること自体は3か月前から既に行っていますが、これは5~6分のジョグ。
猫ひろしさんの力量からして距離走に必要な中強度のランニングとは言えない設定です。
具体的には2か月前からで、この時期に10日に1度40㎞という距離を走っています。
この時の設定も4分ペースで、そのまま走れば2時間48分、この時に出したタイムが2時間37分であることを考慮すると。10分近くレースペースよりも余裕のあるペースですので、そうしんどくはないはずです。
レースペースよりも少し遅いペースで確実に40㎞走ることに重点を置いていると言えます。
猫ひろしさんはこの他にも2か月前にはロングインターバルなど負荷の強いトレーニングも行っているので、距離走で燃え尽きるのではなく、ある程度の余裕を持ってトレーニングを負えることは必要なはずです。
走る以外のトレーニングについて
猫ひろしさんのトレーニングは走るだけではなく、実に様々な取り組みをされていることが分かります。
その例として
・加圧トレーニング
・呼吸筋の強化
これらが挙げられます。
以下で解説していきます。
走る以外のトレーニング①加圧トレーニング
加圧トレーニングとは筋肉を特殊なベルトで縛って意図的に酸素が行きづらい状況を作り上げるものです。
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成長ホルモンの分泌や速筋繊維の発達を促進するというもので、短い時間でも効率的にトレーニングすることが出来るようにしたもので、猫ひろしさんの場合は走り始めた当初若干太っていたのでこの加圧トレーニングを初めたそうです。
加圧した状態で身体の中心部の大き目な筋肉(いわゆる体幹部)を強化してランニングに必要な体を作り上げています。
走る以外のトレーニング②呼吸筋の強化
また、呼吸筋の強化にも積極的に取り組まれています。
マラソンは酸素を使うスポーツですので、一度の呼吸で多くの空気を取り込むことは極めて大きなメリットになります。
呼吸は肺が膨張することで行われていると思われがちですが、息を吸う時にも吐く時にも多くの筋肉が使われています。
特に吸うときは横隔膜筋と肋間筋が動員されるのですが、これらは運動不足や加齢によって衰えていくことが分かっています。
そこでこの呼吸筋を強化するのです。
呼吸筋を強化することで多くの空気を取り込むこともできますが、上半身の筋肉を鍛えることにも繋がります。
これはランニングフォームの安定にもつながるので強化しない手はないです。
具体的な方法としてはパワーブリーズという呼吸筋を鍛える専用の器具を使われているので参考にしてみてください。
トレーニングと体調管理
次に猫ひろしさんのトレーニングと体調管理です。
最も体調を崩すのはレース2か月前の距離もスピードも両方強化する時期です。
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この時期に40㎞走と5㎞を3本など過酷なトレーニングを入れる影響で免疫が落ちて体調が最悪になるそうです。
ただレース1か月前になると体調を崩している場合ではないので、トレーニング内容の切替と食事、日常生活の心がけで対策を打たれています。
具体的には、トレーニング内容については量を減らして速い動きに特化したトレーニングをされています。このトレーニング内容の変化により免疫が落ちる要素は軽減され、その上で身体を温める食材(ねぎや生姜など)を積極的に摂取している様です。
また、この段階で自宅の加湿を徹底したりなど自分でコントロールできることにはベストを尽くされているというのが極めて印象的でした。
完全にアスリートですね。
本書がオススメな方
本書は、まずサブスリーを達成したい方やマラソンで記録が伸び悩んでいる方にはかなりオススメできます。
トレーニング3ヶ月前からやるべきことについて記載されているだけでなく、その期分けから各月でやるべきことなどが細かく書かれているからです。
また猫ひろしさん自身、マラソンの専門家にアドバイスをもらいながらトレーニングしているので、本書を読むことは上達の近道であることは間違いないです。
私自身非常に参考になり、マラソンは様々なトレーニングを満遍なく組み合わせることが重要であるということは分かっていても、それを3か月間の中でどうやって組み込むのが良いかなどについては勉強不足でした。
またレース直前で必要のないトレーニングについても把握することが出来たのは収穫でした。
自分のトレーニングを見直す良い機械になった書籍だったと言えます。
まとめ
今回は最強の市民ランナーである猫ひろしさんの著書について解説しました。
ブログでは解説しきれない部分もありますので、是非購入して読んでみてください。
具体的な練習メニューも書かれているので非常に参考になります!
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