夏のEペース走はどうする?暑い時期のペース設定とロングランの考え方

夏 ロングラン

    夏になると、普段と同じEペースで走っているはずなのに、いつも以上にきつく感じることがあります。

    涼しい時期なら余裕を持って走れていたペースでも、気温や湿度が高くなると心拍数が上がり、後半になるにつれてペースを維持することが難しくなります。

    そうなると、

    ・夏も普段と同じEペースを守った方がいいのか?

    ・ペースを落としたらトレーニング効果が下がってしまうのでは?

    と考える人もいると思います。

    私自身、夏のトレーニングでは設定したペースを守ろうとしすぎて、必要以上に負荷を高くしてしまった経験があります。

    しかし、Eペース走で大切なのは、決められたペースを何が何でも守ることではありません。

    同じ1km4分30秒でも、涼しい時期と真夏では身体にかかる負荷は大きく変わります。夏にEペース走を行うのであれば、その日の暑さや体調に合わせてペースを調整しながら、Eペース本来の強度で走ることが重要です。

    この記事では、夏のEペース走をどのように考えればいいのか、暑い時期のペース設定やロングランで意識したいポイントについて、私自身の経験も交えながら解説していきます。

    私のYouTubeでも解説しているのでよかったら参考にしてみてください。

    著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者)
    書籍などを通じてトレーニングを独学し、初マラソン4時間58分から記録を伸ばし、40代でサブエガを達成。

    主な自己ベスト
    フルマラソン 2時間46分48秒
    5000m 16分59秒
    1500m 4分37秒

    YouTube|マウンテンランニング研究所

    夏にいつものEペースがきつくなるのは当然

    夏になると、涼しい時期と同じペースで走っていても、身体にかかる負荷は高くなります。

    気温が高い環境では、身体は上昇した体温を下げるために発汗を増やし、皮膚にも多くの血液を送る必要があります。その結果、同じペースで走っていても心拍数が上がりやすくなり、呼吸にも余裕がなくなってきます。

    さらに日本の夏は湿度が高く、汗をかいても蒸発しにくいため

    身体に熱がこもりやすくなります。

    そのため、涼しい時期に1km4分30秒が余裕のあるEペースだったとしても、真夏に同じ1km4分30秒で走れば、身体にとってはそれ以上の強度になっていることがあります。

    ここで「いつものEペースで走れないから走力が落ちた」と考えてしまうと、無理に設定ペースを維持しようとしてしまいます。

    しかし、夏にペースが落ちること自体は珍しいことではありません。大切なのは、涼しい時期と同じペースで走ることではなく、

    その日の環境に合わせてトレーニングの負荷を調整することです。

    夏のEペース走では、まず「設定したペースを守る」という考え方から少し離れる必要があります。

    Eペースは「ペース」ではなく「強度」で考える

    Eペースという言葉から、「1km○分で走る」という設定ペースをイメージする人も多いと思います。

    私自身も、普段のEペースが1km4分30秒前後であれば、夏でもできるだけそのペースを維持した方がトレーニングになると考えていた時期がありました。

    しかし、Eペース走で本当に意識したいのは、設定された数字そのものではなく、そのペースで走ったときに身体へどの程度の負荷がかかっているかです。

    夏 ロングラン

    例えば、涼しい時期なら1km4分30秒で余裕を持って走れていても、気温や湿度が高い日は同じペースでも心拍数が上がり、呼吸も苦しくなることがあります。その状態で1km4分30秒を守ろうとすれば、実際にはEペースよりも高い強度で走り続けることになります。

    反対に、暑い日に1km4分40秒、4分50秒までペースを落としたとしても、身体にかかっている負荷が普段のEペース走と同程度であれば、トレーニングの目的から外れているわけではありません。

    そのため夏のEペース走では、「今日は何分で走れたか」だけで判断するのではなく、

    呼吸の余裕や心拍数、脚の感覚なども含めて強度を判断することが重要です。

    特にロングランでは、序盤から設定ペースにこだわりすぎると、暑さによる負荷が積み重なり、後半に大きく失速したり、予定していた時間まで走れなくなったりすることがあります。

    夏はペースを守ることよりも、Eペースとして狙っている強度を最後まで維持することを優先する。

    この考え方を持っておくだけでも、暑い時期のEペース走はかなり組み立てやすくなると思います。

    夏のEペースはどこまで落としていい?

    では、夏のEペースは実際にどのくらいまで落としていいのでしょうか。

    個人的には、「普段より1kmあたり○秒落とす」と一律に決める必要はないと考えています。

    同じ30℃でも、湿度や日差し、風の有無によって走りやすさは大きく変わります。また、その日の疲労や睡眠、暑さへの慣れ、走るコースによっても適切なペースは変わります。

    そのため、夏は時計に表示されるペースだけではなく、呼吸や心拍数、身体の余裕度を見ながら調整する方が現実的です。

    私の場合は、序盤から呼吸が大きく乱れていないか、後半まで同じようなフォームで走れそうか、といった感覚も確認しています。

    普段のEペースより10秒、20秒遅くても、いつものEペース走に近い負荷がかかっているのであれば、それで問題ないと考えています。

    反対に、設定したペースを維持するために序盤から呼吸が苦しくなったり、後半まで持たないと感じたりするのであれば、その日の環境に対して設定が速すぎる可能性があります。

    夏のEペース走では、最初から「今日は1km4分30秒で走る」と決め切るよりも、まず余裕を持って入り、その日の暑さや身体の状態を確認しながらペースを決めていく方法もおすすめです。

    涼しい時期よりペースが遅くなったとしても、それだけでトレーニングの質が落ちたとは限りません。夏はタイムではなく、狙った強度で走れているかを基準に考えることが重要です。

    ペースを落とすことと、ただゆっくり走ることは違う

    夏はEペースを落としても問題ないと書きましたが、だからといってすべてのトレーニングをゆっくり走ればいいというわけではありません。

    ここで分けて考えたいのが、疲労回復などを目的としたゆっくりとしたジョギングと、持久力の向上を目的として行うEペース走です。

    どちらも余裕を持って走るトレーニングですが、目的はまったく同じではありません。

    例えば、暑いからという理由で普段のEペースから大幅にペースを落とし、ほとんど負荷を感じない状態で走れば、身体への負担は抑えられます。一方で、それを毎回続けてしまうと、本来Eペース走で狙っていた有酸素系への刺激も小さくなってしまいます。

    夏のEペース走で大切なのは、ペースを落とすこと自体ではなく、暑さを考慮しながらもEペースとして必要な負荷を確保することです。

    その日の暑さによって1kmあたりのペースが遅くなったとしても、呼吸や心拍、身体の余裕度を見ながら適切な強度で走れていれば、Eペース走としての目的は維持できます。

    夏はどうしても「暑いから今日はゆっくりでいい」と考えやすくなりますが、回復を目的としたジョグの日と、Eペースとして一定の有酸素負荷をかける日を分けて考えることも、秋以降のマラソントレーニングにつなげるうえでは重要です。

    夏のロングランはペースより最後まで負荷を維持できるか

    夏にEペースでロングランを行う場合も、最初から最後まで設定ペースを守ることにこだわる必要はないと考えています。

    例えば、涼しい時期には1km4分30秒で20km以上走れていたとしても、真夏に同じペースで走れば、暑さの影響によって後半になるほど負荷が高くなります。

    そこで無理に1km4分30秒を維持しようとすると、途中からEペース走ではなくなってしまったり、大きく失速して予定より早くトレーニングを終えることになったりします。

    それであれば、最初から少し余裕のあるペースで入り、暑さや心拍数、身体の状態に合わせて調整しながら、最後までEペース相当の負荷で走る方が夏のロングランとしては取り組みやすくなります。

    また、夏は時間の経過とともに体温が上がり、同じペースでも後半の方がきつく感じることがあります。そのため、前半と後半でペースが多少変わることも珍しくありません。

    大切なのは、平均ペースをきれいに揃えることではなく、

    ロングラン全体を通して狙った強度から大きく外れないことです。

    なお、「夏でも30km走る必要があるのか?」「距離を短くしたり、分割したりしてもいいのか?」といった距離そのものの考え方については、「夏のマラソン練習に30km走は必要?暑い時期の距離走の考え方」で詳しく解説しています。

    夏のマラソン練習に30km走は必要?距離走・LSDの考え方をサブエガランナーが解説

    夏のロングランでは、「何分ペースで走れたか」と「何km走れたか」を別々に考えることで、その日の目的に合わせたトレーニングを組み立てやすくなります。

    夏にペースが落ちても秋につながる

    夏のEペース走では、涼しい時期と比べてペースが落ちることがあります。

    そのため、毎回タイムを確認していると「以前より走れなくなっている」と感じるかもしれません。しかし、夏にペースが落ちているからといって、そのまま走力が落ちているとは限りません。

    暑い環境では、同じペースで走っても身体への負荷が高くなります。そこで無理に涼しい時期のペースを再現するのではなく、その日の環境に合わせたEペースで継続して走っておくことが重要です。

    私自身も、夏は涼しい時期と同じペースで走れないことがあります。それでもEペース相当の負荷で継続して走っていると、気温が下がってきたタイミングで、

    それまできつく感じていたペースに余裕が戻ってくることがあります。

    例えば、夏は1km4分40秒から4分50秒程度で走っていたとしても、涼しくなれば同じような感覚で1km4分30秒前後まで自然に上がってくることがあります。

    だからこそ、夏のEペース走では、その時期のタイムだけで調子を判断しないことも大切です。

    夏に必要なのは、涼しい時期の数字を無理に追い続けることではなく、暑い環境の中でも適切な強度で走る機会を継続して作ることです。

    そうして有酸素系のトレーニングを積み重ねておけば、気温が下がったときに、それまで積み重ねてきたトレーニングをマラソン練習へつなげやすくなります。

    夏のトレーニングをさらに詳しく知りたい方へ

    夏のトレーニングについては、電子書籍でも詳しく解説しています。

    私自身、暑さが苦手で、夏になると思うようにペースを上げられないことに長年悩んできました。その中で試行錯誤してきた経験をもとに、夏の距離走やペース走、スピード練習の考え方、秋のマラソンシーズンへどうつなげていくかを一冊にまとめています。

    今回の記事ではEペース走に絞って解説しましたが、「夏のトレーニング全体をどう組み立てればいいのか」をより詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。

    書籍へ

    まとめ|夏のEペース走はペースより強度を意識する

    夏のEペース走では、涼しい時期と同じペースで走ることにこだわる必要はありません。

    気温や湿度が高くなれば、同じペースでも身体にかかる負荷は大きくなります。そのため、普段よりペースが落ちたとしても、呼吸や心拍数、身体の余裕度を見ながらEペース相当の強度で走れていれば、トレーニングの目的から外れているわけではありません。

    一方で、夏だからといってすべてのトレーニングをゆっくりしたジョギングにするのではなく、回復を目的としたジョグと、一定の有酸素負荷をかけるEペース走を分けて考えることも大切です。

    特にロングランでは、設定ペースを守ることよりも、その日の環境に合わせた強度で最後まで走ることを意識してみてください。

    夏にペースが落ちても、適切な強度で継続して走れていれば、気温が下がったときに同じペースを楽に感じられるようになることがあります。

    夏のトレーニングは、その時期のタイムだけで成果を判断するのではなく、秋以降にどうつなげるかという視点で考えることが重要です。

    また、Eペース走だけでなく、スピード練習や距離走を含めて夏のマラソントレーニング全体をどう組み立てるかについては、「夏のマラソントレーニングで成功する人と失敗する人の違い」も参考にしてみてください。

    夏のマラソントレーニングで成功する人と失敗する人の違い

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