夏のマラソン練習に30km走は必要?距離走・LSDの考え方をサブエガランナーが解説

夏のマラソン距離走

    夏になると、マラソンに向けた距離走は一気に難しくなります。

    涼しい時期なら20km、30kmと走れていたのに、夏になると10kmでもかなりきつい。そんな経験があるランナーは多いと思います。

    そうなると、

    ・夏も30km走をやった方がいいのか?

    ・暑い中で無理して距離を踏む意味があるのか?

    ・夏はLSDだけにして、涼しくなってから距離を伸ばせばいいんじゃないか?

    と考える人もいるのではないでしょうか。

    私自身の考えとしては、夏でもある程度長く身体を動かすトレーニングは入れておいた方がいいと思っています。

    ただし、あまりに難しいのであれば夏に30kmという距離を無理に走る必要はありません。

    秋に30km、35kmの距離走をするのであれば、夏はその手前まで走れていれば十分ですし、暑さで距離を伸ばすのが難しい人であれば、90分や120分といった時間を基準に考えてもいいと思います。

    大切なのは、夏のうちに30km走を完成させることではありません。

    秋になったときに、本格的なマラソントレーニングへスムーズに移行できる状態を作っておくことです。

    私は夏の距離走を、秋のマラソントレーニングの「予習」のように考えています。

    夏にできる範囲で距離や強度への耐性を残しておき、涼しくなったらそこから先へ進んでいく。

    この記事では、そんな考え方をもとに、夏の30km走やLSD、中強度の距離走、分割走について紹介していきます。

    以下のYouTube動画でも解説しているので参考にしてみて下さい。

    夏でも距離走をした方がいい理由|秋のための「予習」

    私が夏にも距離走を入れている一番の理由は、先に解説したように秋になって本格的なマラソントレーニングを始めたときに、距離に対する不安をできるだけなくしておきたいからです。

    私の場合は秋から冬にかけて30km、35kmといった距離走を行います。

    ただ、夏の間ずっと10kmや15km程度しか走っていない状態から、気温が下がったからといって突然30km、35kmを走るのは簡単ではありません。

    身体的な負担が大きいのはもちろんですが、「久しぶりに30kmを走るのか。。」という精神的なハードルもあります。

    そこから少しずつ距離を伸ばしていき、ようやく30km走に慣れてきた頃にはレースが近づいている、ということにもなりかねません。

    だから私は、夏の段階からある程度長く身体を動かすことに慣れておきます。

    例えば、秋に35km走を予定しているのであれば、夏は23kmから25km程度まで走っておく。夏のうちに35km走を完成させる必要はありません。

    25kmまで走っていれば、秋になったときに「久しぶりに30kmを走らなければ」というところからではなく、「夏に25kmまでは走っていたから、ここから30km、35kmへ伸ばしていこう」というところから始めることができます。

    この違いはかなり大きいと思っています。

    25kmまで走った経験があれば、その先で脚がどのようにきつくなっていくのか、給水や補給をどうするのかといったイメージも作りやすくなります。長い距離そのものに対する心理的な抵抗も少なくなります。

    つまり夏の距離走は、夏のうちにマラソンを走れる身体を完成させるためのものではありません。秋に本格的な距離走を始めるための土台を残しておく。私はそんな感覚で取り組んでいます。

    夏に30km走をする必要はない

    結論から言えば、夏に無理をして30km走をする必要はないと私は考えています。

    もちろん暑さに強く、無理なく30kmまで走れるのであれば取り組んでもいいと思います。ただ、秋冬と同じように「30km走らなければ意味がない」と考える必要はありません。

    私自身は秋に30km、35kmといった距離走を行うため、夏は23kmから25km程度まで走ることがあります。ただし、これはすべてのランナーに必要な距離ではありません。

    サブ4やサブ3.5を目指している人であれば、真夏に25kmという数字にこだわるよりも、

    90分から120分程度を目安に長く身体を動かす方が現実的な場合もあります。

    距離を伸ばすことが難しければ、ペースを落としてLSDのような形にしてもいいと思います。

    夏は「何km走れたか」だけでなく、「どのくらい長く身体を動かせたか」で考えることも大切です。20kmを予定していたのに暑さの影響で15kmしか走れなかったとしても、100分や120分と身体を動かせていれば、それは十分に意味のあるトレーニングです。

    距離は分かりやすい指標ですが、夏は気温や湿度によって同じ距離でも負荷が大きく変わります。

    だからこそ、数字だけに縛られず、その日の環境や体調に合わせて調整した方が継続しやすくなります。

    夏はペースが落ちても気にしなくていい

    夏の距離走で気にしすぎなくていいのがペースです。

    暑い環境では、身体は走ることだけでなく、体温を下げるためにも働かなければなりません。

    皮膚への血流が増え、発汗量も多くなるため、涼しい時期と同じペースで走っていても身体への負担は大きくなります。心拍数も上がりやすくなるため、同じ走力のランナーでも夏はペースを維持するのが難しくなります。

    そのため、冬なら5分00秒/kmで余裕を持って走れる人が、夏になると5分30秒/kmでもかなりきつく感じることは普通にあります。

    だから、夏にペースが落ちたからといって、すぐに「走力が落ちた」と考える必要はありません。涼しい時期の5分30秒/kmと、真夏の5分30秒/kmをまったく同じトレーニングとして考える必要もないと思います。

    夏の距離走では、秋冬の設定ペースをそのまま当てはめるのではなく、その日の気温や湿度、自分の余裕度を見ながらペースを調整することが大切です。

    無理に設定ペースを守ろうとして途中で大きく失速するよりも、その日の環境に合ったペースで最後まで走り切る方が、秋へのつながりという意味でも使いやすいトレーニングになります。

    夏は距離走だけでなく、ペース走やスピード練習についても秋冬と同じ設定にこだわる必要はありません。夏のマラソントレーニング全体をどう考えるかについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

    夏のマラソントレーニングで成功する人と失敗する人の違い

    夏の距離走はLSDでもいい?

    夏に長時間身体を動かすことが目的なのであれば、「それなら全部LSDでもいいのでは」と考える人もいると思います。

    もちろん、夏のLSDは十分意味のあるトレーニングだと思います。特に暑さが苦手な人や、長い距離にまだ慣れていないランナーであれば、無理にペースを上げるよりも、ゆっくりと長く身体を動かす方が継続しやすいでしょう。

    LSDでは、スピードを求めるというより、長時間動き続けることそのものに身体を慣らすことができます。そのため、暑くて中強度の距離走が難しい日の選択肢としてはかなり使いやすいと思います。

    ただし、私は夏の距離走をすべてLSDにする必要はないとも考えています。

    マラソンでは、ゆっくり長く走る能力だけでなく、ある程度のペースを維持しながら長く走る能力も必要になるからです。

    だからこそ、LSDはLSDとして使いながら、別の日には少し中強度の刺激を残しておく。私はこのように考えています。

    秋に中強度で走るなら夏にも少し入れておく

    秋になれば、マラソンに向けて20km、25km、30kmといった距離をある程度のペースで走る練習も入ってきます。

    そこで夏の間、数か月にわたって低強度のジョギングやLSDしかしていなかった場合、涼しくなってから長い距離だけでなく、ある程度のペースで長く走ることにも慣れていかなければなりません。

    私自身、距離走は一度やればすぐに身体に定着するものではないと感じています。ある程度のペースで長く走ることも、何度か繰り返す中で少しずつ身体が慣れ、余裕が出てきます。

    だったら夏の段階から、できる範囲でその刺激を残しておく。

    この考えはサブ3.5あたりからサブスリーを狙う段階に入ってから有効だと感じます。

    もちろん、真夏に秋冬と同じ20kmや25kmの中強度走をやる必要はありません。距離を短くしてもいいですし、ペースを少し落としてもいいと思います。

    夏の段階で完成させることが目的ではなく、秋に使うフォームや脚の動き、呼吸、リズムを完全になくしてしまわないことが大切です。

    夏はLSDで長く動く力を残しながら、ときどき中強度で走る感覚も残しておく。この2つを使い分けることで、秋になったときに距離と強度の両方を伸ばしていきやすくなります。

    暑くて距離走ができないなら「分割走」でもいい

    夏でも中強度の刺激を残した方がいいとはいっても、真夏に15kmや20kmをある程度のペースで走り続けるのはかなり大変です。

    そこで、暑くて連続して走るのが難しいのであれば、距離を分割してしまうのも一つの方法です。

    例えば、秋になったら15kmを連続して走りたいペースがあるとします。それを夏は5kmを3本に分けて、5km走ったら2分程度軽くジョギングを入れ、その後また5km走るという方法です。

    もちろん、15kmを連続して走るのと5kmを3本に分けるのでは、トレーニングとしてまったく同じではありません。途中にジョギングを入れれば身体は多少回復しますし、連続して15km走る場合とは疲労の仕方も変わります。

    それでも、夏の段階では十分意味があると私は考えています。

    そのペースで走るときのフォームや脚の動き、呼吸、リズムを身体に残しておくことができるからです。

    夏は5kmを3本に分けて行い、少し涼しくなってきたら10kmと5kmにする。さらに気温が下がったら15kmを連続して走る。こうやって徐々に休憩を減らしながら、連続して走る距離を伸ばしていけばいいと思います。

    夏にできる形で取り組んでおけば、気温が下がったときにゼロから中強度走を始める必要がありません。

    途中で給水や水浴びを入れてもいい

    分割走といっても、必ずしも5kmを3本のようにきれいに分ける必要はありません。

    例えば10km走ったところでコンビニに寄って冷たい飲み物を飲んだり、身体を冷やしたりしてから再び10km走る。

    こうした方法でもいいと思います。

    当然、20kmをノンストップで走るのとは違います。ただ、「途中で止まったら20km走にならない」と考えて無理をする必要もありません。

    夏の目的が、長時間身体を動かすことへの耐性を残すことなのであれば、給水や冷却を挟みながら合計20kmを走るという選択肢があってもいいと思います。

    むしろ真夏は、途中で身体を冷やしたり、水分を補給したりしながら続けた方が、その後のトレーニングにもつなげやすくなることがあります。

    夏はトレーニングを完璧にこなすことよりも、暑い環境でも継続できる形に変えることが重要です。

    ロング走の途中にマラソンペースを入れる方法もある

    もう少し走れる人であれば、低強度のロング走の途中にマラソンペースを入れる方法もあります。

    例えばゆっくり走っている途中で1000mから2000mだけマラソンペースまで上げ、その後またペースを落とす。

    しばらく走ったらもう一度1000mから2000mだけマラソンペースまで上げる、といった方法です。

    真夏にマラソンペースで10kmや15kmを押し続けるのは難しくても、1000mや2000mであれば走れる人は多いと思います。

    この方法であれば、長時間身体を動かす時間を確保しながら、マラソンペースの動きも身体に残すことができます。

    ここでも夏のうちにマラソンペース走を完成させる必要はありません。短い距離でも、そのペースで走るときの脚の使い方やリズムを残しておくことに意味があると思っています。

    夏はできる範囲で刺激を残し、涼しくなったらその区間を少しずつ長くしていく。そうやって秋の本格的なマラソンペース走へつなげていけば十分です。

    夏にできるようになれば、秋冬はさらにトレーニングを積める

    夏に距離走や中強度のトレーニングを継続しておくメリットは、秋になったときに距離を伸ばしやすくなることだけではありません。

    私自身、大きいと感じているのが練習後の回復です。

    夏の距離走はかなり消耗します。距離やペースによる疲労だけでなく、暑さや大量の発汗による負担も加わるためです。同じ20kmでも、真夏に走る20kmと涼しい時期に走る20kmでは、練習後の疲労感が大きく変わることがあります。

    ところが気温が下がってくると、同じような距離を走っても夏ほど消耗しなくなります。すると、一回の距離走が楽になるだけではなく、その後の回復もしやすくなり、次のポイント練習にもつなげやすくなります。

    これはマラソントレーニングではかなり大きいと思っています。

    マラソンは30km走を一回成功させれば速くなるわけではありません。距離走をして、回復して、次のポイント練習を行い、また距離を踏む。そうしたトレーニングを何週間、何か月と積み重ねることで強くなっていきます。

    だからこそ重要なのは、一回の練習だけではありません。1週間、1か月という単位で、どれだけトレーニングを継続して積み重ねられるかだと思います。

    夏のうちから長く走ることへの耐性を残しておけば、涼しくなったときに距離を伸ばしやすくなるだけでなく、その後の回復も含めて練習全体を組み立てやすくなります。

    夏の練習は、単純に秋冬のために体力を貯金しているわけではありません。

    私が夏のトレーニングで狙っているのは、秋冬になったときに積めるトレーニングの上限そのものを引き上げておくことです。

    秋になってから身体を作り始めるのではなく、夏の段階でできるところまで準備しておく。そして涼しくなったら、その先のトレーニングを積み上げていく。

    これができると、秋からのマラソントレーニングの組み立て方は大きく変わってくると思います。

    まとめ

    夏のマラソン練習では、無理に30km走へこだわる必要はないと私は考えています。

    秋に30km、35kmの距離走を行うのであれば、夏はその手前まで走れていれば十分ですし、暑さで距離を伸ばせないのであれば、LSDや時間走という方法もあります。

    さらに、中強度で長く走るのが難しければ、距離を分割したり、途中で給水や冷却を入れたり、ロング走の一部だけマラソンペースまで上げたりする方法もあります。

    夏は秋冬とまったく同じトレーニングをする必要はありません。

    大切なのは、夏のうちに秋冬のトレーニングを完成させることではなく、秋につながる土台を残しておくことです。

    夏にできる形でトレーニングを続けておき、涼しくなったらその続きをやる。

    私はこの考え方で夏の距離走に取り組んでいます。

    夏のトレーニングをもっと詳しく知りたい方へ

    今回紹介した距離走やLSDは、夏のマラソントレーニングの一部分です。

    実際には、夏の暑い時期に走力を維持しながら秋につなげていくためには、距離走だけでなく、スピード練習をどう入れるのか、暑くて設定ペースで走れないときにどうするのか、トレッドミルをどう活用するのか、疲労を残しすぎずどう継続するのかといったことも考える必要があります。

    私自身、暑さにはかなり弱く、夏のトレーニングには長年苦労してきました。それでも試行錯誤しながら練習方法を変え、現在は夏を単に「走れない時期」と考えるのではなく、秋冬にさらにトレーニングを積むための準備期間として考えるようになりました。

    そんな私自身の経験や、実際に行っている夏のトレーニング方法をまとめたのが、

    「PB更新は夏に決まる!40代×サブエガランナーの実践トレーニング」

    です。

    約4万字にわたって、夏のマラソントレーニングについて詳しくまとめています。

    夏になると毎年走れなくなる人、秋のマラソンに向けて夏に何をすればいいのか悩んでいる人、夏でも走力を落とさず秋につながるトレーニングをしたい人には、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

    夏にできることを少しずつ増やしておく。そして涼しくなったら、その続きをやる。

    夏のトレーニングをうまく積み重ねることができれば、秋のマラソントレーニングへの入り方は大きく変わってくると思います。

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