「よし、次はトラック5000mの公式レースに出てみよう!」
そう思ってレースやシューズを調べていたら、新しいシューズルールがあることを知りました。
最初は「まあ自分には関係ないかな」と思っていましたが、実際に出場するにはこの基準に合ったシューズを準備する必要があります。
しっかりトラックで記録を狙いたい方には結構大きなルールだと思うんです。
ところが、調べてみると20mm以内のシューズって意外と少ないんです。
そこで本記事では私がトラック用シューズで悩み、最終的に出した結論について解説して行こうと思います。
トラック向けのシューズをどれにすべきか悩むランナーにはかなりおすすめできる内容です。
トラック5000mレースで知った「20mmルール」
まずこのルールについておさらいします。
2024年11月から世界陸連の新ルールが施行され、
トラック競技で使用できるシューズのミッドソールの厚さが20mm以内に制限されました。
これまでは5000mや10000mなどの長距離種目では25mmまで認められていましたが、ルールが統一され、すべてのトラック種目で一律20mm以内に変更されています。
このルール改定の背景には、近年急速に普及した厚底カーボンシューズの影響があります。
2019年以降、ナイキのヴェイパーフライをはじめとした厚底カーボンモデルが登場し、マラソンやトラックレースで世界記録を次々と塗り替えてきました。
高反発フォームとカーボンプレートの組み合わせによって、従来のシューズでは得られなかった推進力と効率性が実現され、その結果、履くシューズによって大きな差が出る状況になっていました。
こうした流れの中で、特定のメーカーのシューズを履いた選手だけが極端に有利になることが問題視されるようになりました。
メーカー間の技術格差が大きすぎることや、選手間での公平性が損なわれる懸念から、世界陸連はミッドソールの厚さに上限を設ける判断を下したわけです。
今回のルール改定は、トップ選手だけでなく市民ランナーにも影響があります。
陸連公認大会や公式記録が残るトラックレースではシューズチェックが行われる場合があり、基準を満たさないシューズでは出場できないケースも出てきます。
これまでロード用の厚底レーシングシューズでトラック5000mに出ていたランナーは、公式のレースに出場する場合はそのままでは記録が残らないのです。
実際、私も5000mの公式レースに出場しようとした際にこのルールを知り、急いで対応シューズを探す必要が出てきました。
しかし、20mm以内のシューズは思った以上に種類が限られており、対応モデルの中から最適な一足を選ぶのは簡単ではありませんでした。
スパイクを選ぶ前に薄型シューズ「ハイパーレーサー」を試してみた
20mmルールに対応するシューズを探す中で、まず最初にスパイク以外の選択肢を考えました。
トラック専用のスパイクはもちろん魅力的ですが、普段から厚底レーシングシューズを履き慣れている自分にとっては、いきなりスパイクに切り替えるのは少し抵抗がありました。
そこで見つけたのが、アシックスの「ハイパーレーサー」です。
実際に履いてみると、昔のソーティージャパンを思わせるような軽さとフィット感があり、スピードを出しやすい印象を受けました。薄底らしいダイレクトな接地感があり、走りのリズムを作りやすいのも魅力です。
ただし、その反面ミッドソールが薄い分クッション性は控えめで、長い距離を走るとどうしても疲れやすさを感じます。
私はこのハイパーレーサーを、普段のトレッドミルでのペース走や短めのスピード練習で活用しています。足のバネを使った走りを意識できるので、脚づくりという意味ではとても優れたシューズだと思います。
一方で、トラック5000mのレースで使うかといえば、個人的には少し物足りないというのが正直な感想です。
脚を鍛えたいジョグなどにも向いているので、トレーニング用途としての使用頻度は高めですが、レース本番で履くシューズとしては他の選択肢を探す必要があると感じました。
結果的にスパイクを選ぶことに
ハイパーレーサーを使ってみて、薄底シューズの良さも実感できたのですが、トラック5000mでしっかり記録を狙うとなると、もう少し推進力のあるシューズが必要だと感じるようになりました。
そこで、いろいろとYouTubeやネットの情報を調べているうちに、スパイクという選択肢があることに気づきました。
ただ、最初は正直迷いました。
「スパイクって、もっと上級者が使うものじゃないのか?」というイメージがあったからです。
特に私のように今シーズン16分台を目標にしているランナーにとって、本当に必要なのかどうかは悩ましいところでした。
スパイクと聞くと、15分台や14分台で走る実業団選手や大学駅伝ランナーが履くもの、という印象が強かったんです。
しかし、調べていくうちに、最近は市民ランナーでもスパイクを活用する人が増えていることがわかりました。
ルールで20mm制限が導入されたこともあり、5000m・10000mのトラックレースで本気で記録を狙うなら、スパイクの優位性は無視できません。
スパイクが「上級者向け」と言われる理由
スパイクは、従来「上級者向け」とされてきたシューズです。
その理由はいくつかあります。
理由①クッション性が極端に少ない
スパイクはソールが薄く、クッション材がほとんど入っていません。接地衝撃を自分の脚で受け止める必要があるため、脚力がないとケガのリスクが高まります。
同じくアシックスのロード用の厚底シューズと比較してもこの違いです。
理由②脚筋力と腱の強さが求められる
厚底シューズに慣れているランナーは、ふくらはぎやハムストリングスへの負担が増えるため、スパイクに慣れるまで時間がかかります。腱反発をうまく使える走りができないと、スピードを出すどころか疲労が先にきます。
理由③フォームの安定性が必要
スパイクは軽量化のため接地面積が狭く、左右のブレを抑える体幹や股関節周りの安定性がないとフォームが崩れやすいです。
理由④距離耐性が問われる
短距離用のスパイクは100〜400mで使うことを前提としていますが、5000m・10000m用のスパイクは接地衝撃が何十周も積み重なります。適応するには相応のトレーニング量が必要です。
こうした理由から、スパイクは「上級者向け」という印象が根強いのですが、実際には適切に選べば市民ランナーでも十分に使えるシューズです。
特に、近年は長距離用スパイクのクッション性も向上しており、以前のような「完全に筋力勝負」というモデルは減ってきています。
16分台を狙うランナーとしての判断
私自身、5000mで16分台を狙う立場として、最初はスパイクを避けていましたが、調べていくうちに「記録を更新したいなら、むしろスパイクを使った方がいい」という考えに変わってきました。
・20mmルールの影響で、厚底レーシングシューズは選択肢から外れる
・薄底シューズはダイレクトな接地感があるが、推進力ではスパイクに劣る
・最近の長距離用スパイクはクッション性が高く、適応しやすくなっている
こうした理由から、最終的にスパイクを試してみることに決めました。
スパイクにも慣れなければと思い、久々にトラックで履いてみた。
選んだのはメタスピードLD2。最近のスパイク、すごい。
クッションがありながらも地面を掴む感覚が残っていて、スピードに乗りやすい。
昔の感覚とはまるで違う。練習内容は、400m数本で乳酸を出してから、8000mのペース走。… pic.twitter.com/H30b5j0SCv
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) August 21, 2025
もちろん、いきなり本番で使うのではなく、まずは短い距離での練習から少しずつ慣れていく必要があります。スパイクは正しく使えば強力な武器になりますが、準備を怠るとケガのリスクがあるため、段階的な導入が大切だと思います。
購入したのはメタスピードLD2
最終的に選んだのは、アシックスのメタスピードLD2でした。
スパイクといっても種類は非常に多く、ナイキ、アディダスといったロードシューズで名を馳せるメーカーだけでなく、最近では新興メーカーも高性能なスパイクを次々に出しています。
いろいろなモデルを調べて比較してみたのですが、その中で一番惹かれたのがメタスピードLD2です。
購入の決め手になったのは、スパイクでありながらも適度な反発を得られる設計になっていることでした。
一般的なスパイクは接地感が強く、脚力で押していくタイプが多いのですが、メタスピードLD2は違います。
ロードシューズで培ったアシックスの反発技術がそのまま落とし込まれていて、硬すぎず、なおかつ反発感も十分に得られる印象でした。
実は購入前、MKディスタンスの試着会で初めてメタスピードLD2を履く機会がありました。
試しに1本だけ流しを入れてみたのですが、そのときの感触が非常に良かったんです。
接地した瞬間に感じる軽さと反発のバランスが絶妙で、スピードに乗る感覚を自然に得られました。
普段はメタスピードパリやメタスピード東京といったアシックスのロードモデルを愛用していますが、履いた瞬間に「これは同じ系統のDNAを持っているな」と感じるほど、感覚が似ていました。
ロードシューズで得られる推進力を、スパイク用にうまく最適化したような印象です。
ロードシューズのような反発感を求めつつ、トラックで記録を狙いたいランナーには、非常に相性の良いモデルだと思います。
まとめ
スパイクはこれまで「上級者向け」という印象が強く、実業団選手や駅伝ランナーが使うものというイメージを持っていました。
接地感が強くクッションが少ないため、脚力やフォームが安定していないとケガのリスクも高く、敬遠していた市民ランナーも多かったと思います。
しかし近年は、各メーカーからクッション性と反発性のバランスに優れた長距離向けスパイクが登場し、状況が大きく変わりつつあります。
今回購入したメタスピードLD2もそのひとつで、ロードシューズの推進力をスパイクに落とし込んだ設計になっており、以前のような「脚力勝負」のモデルではありません。
実際、試着会で履いてみたときも、反発を自然にもらえる感覚があり、これなら自分のレベルでも十分使えると感じました。
また、2024年11月から施行されたミッドソール厚20mmルールの影響で、これまで愛用していた厚底レーシングシューズが使えないケースも増えています。
薄底レーシングシューズという選択肢もありますが、数が限られているうえ、トラックで記録を狙うにはスパイクの優位性を無視できません。
市民ランナーにとっても、トラックで自己ベストを目指すのであれば、シューズ選びはこれまで以上に重要になっています。自分の走力やレースの目標に合わせて、薄底シューズでいくのか、スパイクを導入するのか、選択肢を広げて検討してみる価値があると感じています。
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