1000mインターバルのペース設定で悩んだことはありませんか。
5000mのレースペースが分かってくると、「インターバルも同じペースでやるべきでは?」と考えてしまう人は少なくありません。実際、5000mを3分30秒前後で走れるようになると、1000mインターバルもそのペースで設定しようとして、きつさに疑問を感じることが多くなります。
しかし結論から言うと、1000mインターバルは5000mのレースペースより遅くて問題ありません。
むしろ、レースペースで無理に揃えようとすると、練習の目的から外れてしまうこともあります。
この記事では、
・なぜ1000mインターバルのペースで多くのランナーが悩むのか
・5000mレースペースでインターバルをするときつくなる理由
・1000mインターバルが「揃える練習」と言える根拠
・それでも5000mはレースで走り切れる理由
について、実体験をもとに整理していきます。
インターバルがうまくいかないと感じている人ほど、ペース設定の考え方を一度整理することで、練習の質が大きく変わるはずです。
この記事の内容は以下動画でも解説しているのでよかったら見てみてください。
1000mインターバルのペースで悩む理由
1000mインターバルのペースで悩む最大の理由は、「レースペース」という明確な基準ができてしまうからです。
5000mを走る機会が増え、ある程度安定したラップで走れるようになると、そのペースが自分の実力を表す指標になります。すると自然と、そのペースを練習でも再現すべきだと考えてしまいます。
特に多いのが、
「5000mをこのペースで走れるなら、1000mなら余裕なはず」という発想です。
距離が短くなる分、インターバルでは同じ、あるいはそれ以上のペースで走らなければ意味がないと感じてしまいます。
その結果、1000mインターバルを5000mレースペースで設定し、きつさに直面します。
もう一つの理由は、
「インターバルはきつくて当たり前」という思い込みです。
インターバル走は追い込む練習、苦しい練習というイメージが強く、楽に感じると不安になります。そのため、本数が揃わなくても「きついから効いているはず」と考え、ペースを下げる判断ができなくなります。
しかし、ここで問題になるのは、きつさの質です。
同じきつさでも、狙っている負荷なのか、単に無理をしているだけなのかでは、練習の意味が大きく変わります。ペース設定に悩む多くのランナーは、この違いを整理できていない状態と言えます。
つまり、1000mインターバルのペースで悩む背景には、
・レースペースを基準にしすぎてしまうこと
・インターバルは速くないといけないという思い込み
・きつさ=効果だと考えてしまう意識
があります。
5000mレースペースでインターバルをするときつい理由
5000mレースペースで1000mインターバルを行うと、想像以上にきつく感じるのには明確な理由があります。
それは、同じペースであっても「負荷のかかり方」がレースとインターバルでは大きく違うからです。
まず、5000mレースは止まらずに走り続けます。一度心拍や呼吸が上がると、その状態を維持したまま走れるため、エネルギーの使い方や動きが安定します。出力を微妙に調整しながら走れるため、常に限界の100%を出し続けているわけではありません。
一方で、1000mインターバルは走って止まり、また走ることを繰り返します。
この「止まる」という動作が、体への負担を大きくします。心拍や呼吸はいったん下がり、次の1本で再び一気に引き上げる必要があります。毎本が再加速になるため、同じペースでも体感的な負荷はレースより高くなります。
さらに、レースペースは本来「使い切るための強度」です。
5000mを走り切る前提で設定されているため、1本ごとに区切って繰り返す強度ではありません。そのペースをインターバルに持ち込むと、1本目から高い負荷がかかり、2本目以降は疲労が急激に積み重なります。
結果として、
・本数が揃わない
・後半になるほど極端にきつくなる
・動きやフォームが崩れる
といった状態になりやすくなります。
ここで重要なのは、「きつい=効果的」とは限らないという点です。
5000mレースペースでのインターバルは、狙っている心肺や持久力への刺激よりも、局所的な疲労や我慢の要素が強くなりやすく、練習の目的から外れてしまうことがあります。
1000mインターバルは「揃える練習」
1000mインターバルの本来の役割を一言で表すと、「速さを競う練習」ではなく「本数を揃える練習」です。
ここを取り違えると、ペース設定も練習の評価もズレてしまいます。
インターバル走の目的は、1本だけ全力で走ることではありません。
前回走った5000mを振り返っていて気づいたのですが、
よく考えると俺は今回の5000mのレースペースで1000mインターバルを1本もこなせない。
じゃあインターバルは必ずレースペースより速くやる必要があるのか?
今は正直、そうは思っていません。… pic.twitter.com/Qjbkdn4vuN
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) January 7, 2026
高い強度の状態に何度も入り、その状態を一定の質で繰り返すことにあります。言い換えると、「どれだけ速く走れたか」よりも、「同じ質の走りを何本積み上げられたか」が重要になります。
1000mインターバルでは、1本目は体を高い強度に近づける役割を持ちます。
2本目、3本目になると、体はすでに高負荷の状態を経験しているため、同じペースでもよりスムーズにその強度に入れるようになります。そして後半の本数ほど、短い時間で高い負荷に到達できるようになります。
この流れが成立して初めて、インターバルとして意味のある刺激になります。
しかし、ペースが速すぎるとこの流れが崩れます。1本目で強く追い込みすぎると、2本目以降は質を保てなくなり、本数が揃いません。その結果、高い強度に「触っただけ」で終わってしまいます。
反対に、ペースを適切に設定すると、
・各本で同じ動きができる
・後半までフォームが大きく崩れない
・最後の1本まで同じリズムで走れる
といった状態を作ることができます。
この状態こそが、「揃える練習」が成立しているサインです。
1000mインターバルは、速さを誇る場ではなく、再現性のある走りを積み上げるための練習だと考えると、ペース設定の考え方が大きく変わります。
なぜレースペースより遅くていいのか
1000mインターバルがレースペースより遅くていい理由は、単に「楽をしていいから」ではありません。
目的に対して、その方が合理的だからです。
インターバルで狙っているのは、高い強度そのものではなく、高い強度に入っている状態を繰り返し作ることです。
そのためには、各本で同じ質の動きができることが前提になります。ペースが速すぎると、体はその強度に対応しきれず、本数を重ねるごとに質が落ちていきます。
レースペースは「1回使い切るための強度」です。
5000mを走り切ることを前提に、無意識の微調整や我慢を含めて成立しています。その強度をインターバルにそのまま持ち込むと、1本目から出力を出し切る形になり、繰り返す余地がなくなります。
一方で、レースペースより少し落とした設定であれば、
・各本で同じフォームを維持できる
・心拍や呼吸が極端に乱れない
・後半の本数でも動きの質を保てる
といった状態を作ることができます。
この「少し余裕がある状態」が重要です。
余裕があるからこそ、高い強度に入り、そこに留まり、次の本でも同じ強度に戻ることができます。結果として、インターバル全体で見たときの刺激量は、速すぎる設定よりも大きくなります。
また、ペースを落とすことで、練習の再現性も高まります。
毎回同じような感覚で走れる練習は、体にとって覚えやすく、次の練習やレースにつながりやすくなります。無理に速いペースで崩れた動きを繰り返すよりも、安定した動きを積み上げる方が、長期的には効果的です。
つまり、1000mインターバルがレースペースより遅くていいのは、
効果を下げているからではなく、むしろ狙った効果を最大化するためだと言えます。
この考え方が当てはまる人・当てはまらない人
ここまで説明してきた「1000mインターバルはレースペースより遅くていい」という考え方は、私自身の実体験を踏まえたものです。
ただし、これはインターバルだけで走力を作っている場合には成り立ちません。インターバルトレーニング以外の要素が揃っていることが前提になります。
私の場合、1000mインターバル以外にも、低強度のジョグ、Eペースでのラン、MペースからLTペースでのトレーニングなど、複数の強度帯を意識的に取り入れています。
特にMペースからLTペースについては、昼休みの時間を使って行うことが多く、かなり高い頻度で継続しています。
このMペースからLTペースでのトレーニングは、
・ある程度きついが、止まらずに走り続けられる
・フォームやリズムを保ったまま出力を出し続ける
・5000mやマラソンにつながる感覚を作る
という役割を持っています。
このようなトレーニングを継続していることで、
「止まらずに一定の強度で走り続ける力」
「レースペースをコントロールする感覚」
が身についています。
そのため、インターバルではレースペースを使い切らなくても、レース本番ではそのペースを最後まで使い切ることができます。
つまり、この考え方が当てはまりやすいのは、
インターバル以外のトレーニングで、すでに走力の土台を作れている人です。
低強度で距離を踏み、Eペースで動きを整え、MペースからLTペースで実戦的な強度に慣れている場合、インターバルは「仕上げ」や「刺激」として位置づけることができます。
一方で、インターバルだけで走力を伸ばそうとしている場合は、この考え方は当てはまりにくくなります。
低強度やEペースの積み重ねが不足していたり、MペースからLTペースでの連続的な負荷に慣れていない場合は、1000mインターバルに頼りすぎる形になり、ペース設定の問題が解決しません。
また、スピードそのものが不足している場合や、有酸素の土台が弱い場合も、まず優先すべき練習は別にあります。
この段階でインターバルのペースだけを調整しても、思ったような効果は得られにくいでしょう。
私自身、
・低強度からEペースでの積み重ね
・昼休みに行うMペースからLTペースでの継続的な刺激
・その上での1000mインターバル
という順番でトレーニングを組み立てています。
だからこそ、インターバルでは「揃えること」を重視し、レースではその強度を使い切る、という整理が成立しています。
それでも5000mは走り切れた理由
ここまで読むと、
「インターバルではレースペースを使い切っていないのに、なぜ5000mではそのペースで走り切れたのか」
という疑問が残ると思います。
結論から言うと、5000mを走り切れたのは、インターバル以外のトレーニングで、すでに必要な準備ができていたからです。
今日は5000m記録会、17分11秒でPB!
年末年始は30から35kmのEペースでの走り込みが中心、あとは低強度ジョグに少し刺激を入れるランニングが中心でしたが、どういうわけか5000でベストが出ました。
良かったのはいつもより1つ遅い組みで走ったこと、走りやすかったです。… pic.twitter.com/qFt3WOyEJl
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) January 4, 2026
私の場合、日常的に低強度のジョグやEペースで距離を踏み、動きを整える時間を確保しています。これによって、走り続けるための基礎的な持久力と、フォームを安定させる土台が作られています。
この土台があることで、レース中に多少きつくなっても、動きが大きく崩れにくくなります。
さらに、昼休みを使って行っているMペースからLTペースでのトレーニングが、5000mを走り切る上で大きな役割を果たしています。
この強度帯は、楽ではないものの、止まらずに走り続けられるペースです。心拍や呼吸が高い状態を維持しながら、一定の出力を出し続ける感覚を日常的に経験しています。
このMペースからLTペースでの積み重ねによって、
・高い心拍のまま走り続けること
・ペースを微調整しながら出力を維持すること
・きつさの中でもフォームを保つこと
に慣れていました。
そのため、5000mのレースでは、一度ペースに乗ってしまえば、心拍や呼吸を無理に上下させる必要がありません。
止まらずに走り続けることで、インターバルよりもエネルギーのロスが少なく、同じレースペースでも体感的な負担は抑えられます。
また、インターバルでレースペースを使い切らなかったことも、結果的にプラスに働いています。
練習段階で出力を出し切らず、「触れる」程度に留めていたからこそ、本番でそのペースを使い切る余地が残っていました。
レース当日は、その余力をすべて5000mに注ぎ込むことができました。
つまり、
・低強度からEペースでの土台づくり
・MペースからLTペースでの実戦的な積み重ね
・その上での1000mインターバルによる刺激
この流れがあったからこそ、レースでは5000mを最後まで走り切ることができたと言えます。
インターバルだけで5000mが走れるようになったわけではありません。
複数の強度帯のトレーニングが噛み合った結果として、レースペースを使い切ることができた、という整理が一番しっくりきます。
まとめ:インターバルのペースは目的で決める
1000mインターバルのペース設定で迷ったときに大切なのは、「速いか遅いか」ではなく、
「その練習で何を狙っているか」です。
インターバルは、レースペースをそのまま再現するための練習ではありません。
1本の速さを追い求めるよりも、高い強度に入る状態を何度も作り、その質を揃えることが目的になります。そのため、レースペースより少し遅い設定の方が、結果的に狙った刺激を積み上げやすくなります。
一方で、レースペースは本番で使い切るための強度です。
5000mのレースでは、止まらずに走り続けることができ、出力を微調整しながらペースを維持できます。練習で無理に使い切らなかったからこそ、本番でそのペースを最後まで使い切る余地が生まれます。
また、この整理が成り立つ背景には、インターバル以外のトレーニングの存在があります。
低強度やEペースでの積み重ね、MペースからLTペースでの継続的なトレーニングによって、走り続ける力やペース感覚が作られているからこそ、インターバルでは「揃える」ことに集中できます。
インターバルだけで走力を作ろうとすると、ペース設定の悩みは解決しません。
どの強度の練習も、それぞれ役割があり、互いに補い合っています。その中で1000mインターバルは、「刺激を入れる練習」として位置づけるのが最も自然です。
インターバルがきつく感じるとき、それは失敗ではなく、役割を取り違えているサインかもしれません。
ペースを落とすことは妥協ではなく、目的に沿った選択です。
インターバルのペースは、他人と比べて決めるものではなく、自分の練習全体の中で決めるもの。
この視点を持つことで、1000mインターバルも、5000mのレースも、より納得感を持って取り組めるようになるはずです。
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