トレイルランやファストパッキングは軽装で山に登ることから、通常の登山以上に低体温症のリスクがあります。
そこで今回はレイヤリングについて解説したいと思います。
これによりウエアーの持つ機能を理解して、より効率的に山で活動することが出来るようになるはずです。
知っておきたい山のレイヤリングの基本
山で大切なのは、常に快適な状態を保つ工夫をするということです。
特に山で怖いのは、
低体温症です。
レイヤリングの知識がないと、せっかく低体温症を防げる装備を持っていても、うまく使いこなすことが出来ずに命を危険にさらしてしまうことになります。
過去に起きた「トムラウシ山遭難事故」では、亡くなられた方も低体温症にならない装備をちゃんと持っていたと記録されています。
しかし問題だったのは、持っていたウエアーを正しく使えていなかったということです。
低体温症を防ぐ為には、まずウエアーの役割をしっかり理解することから始まります。
冷えることで低体温に繋がる部位
冷えることで低体温につながる部位には、
体の中核部が冷えること
が挙げられます。
体の中核部とは文字の通り体の中心部のことで、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つために高く安定している部分です。
手足や顔など体の末端は気温などの外的要因の影響を強く受けますが、この部分が低温にさらされてもすぐに生命に危険が及ぶことはありません。
しかし、この中核部が冷えると場合によっては低体温症により生命活動の維持が困難になります。
登山のレイヤリングにはポイントがある
低体温症回避のポイントとしては、この体の
中核温を保つということです。
これは通常の登山だけではなく、トレイルランニングやファーストパッキングにでも言えることです。
私はトレイルランのときにはドライレイヤーのノースリーブを着て体の中核温を高く保つようにしています。
山でトレーニングを積んでいる時に、「こんな寒い山の中、短パンで走るとか信じられない。。」と言われることもありますが、
中核部の体温が高く保たれているので全く問題ないのです。(もちろん通常の登山よりも軽装なので、体温維持の為にも走ることが前提にはなりますが)
基本は3層、必要に応じて更に調整する
ウエアーは、
大きく3つ
に分けてその役割分担を理解することから始まります。
先にも述べましたが、低体温症回避のポイントとしては、
体の中核温を低くしないということです。
ウエアリングをしっかりした上で山で快適に行動づるには効率的なウエアリングを学ぶことが大切です。
登山に限らず、トレイルランニングについても言えることですが、快適登山のために重要なのは、
汗を残らないような工夫をすることです。
汗をかくと気化熱により体温が奪われるからです。
特にトレイルランやファストパッキングでは失速した際にこの辺りが低体温症に大きく影響します。
汗をかいてもウエアーをうまく活用して、肌に汗が残らない工夫をしていきましょう。
ドライレイヤー(肌着)
まずはこのドライレイヤー層で、かいてしまった汗を肌から離して
気化熱による汗冷えを防ぎます。
これにより非常に快適に山を移動することが出来ます。
冬に必要になりそうなドライレイヤーですが、気象が大きく変化する夏場も大変活躍します。
私なんか夏場のトレイルランレースでもノースリーブ型のファイントラックは必ず着る様にします。
ノースリーブで大丈夫なの??と疑問に思われる方も多いと思いますが、
ノースリーブであれば身体の中核部は保温されるので、大丈夫なんです。
だからアウトドアブランドもノースリーブ型のドライレイヤーを発売しているのです。
トレイルランであっても、2000m近くまで登るレースもありますので、夏場であっても身体の中核部が冷えれば、低体温症は十分起こり得ますので確り対策を立てましょう。
また、撥水性が保たれなくなった場合にも、買いなおすことなく復活させることもできます。
ベースレイヤー
ドライレイヤーの上に着るものです。
最近はアウトドアブランドの研究開発が進み、ドライレイヤーの役割も担ったベースレイヤーもたくさん出ています。
山に行かなくても、寝巻として活躍してしまう程着心地が良いものばかりです。
機能性だけでなく、デザインもスマートなので、私服としても十分活躍してくれます。
必要に応じてダウンも準備する
冬場の厳しい寒さが予想される場合は、アウトレイヤーとベースレイヤーの間にダウンを着る場合があります。
ダウンのメカニズムは自身の体温をダウンに伝えて保温することです。
基本的にダウンは雨風をしのぐレインウエアの下に着ないとなりません。
理由は雨風によりダウンが濡れたり、ダウンに熱が伝わららないと、その効果を発揮することが出来ないからです。
街で使用する分には一番外にダウンジャケットを着るという選択肢もアリかもですが、登山ではその方法はおすすめできません。
街でも山でもダウンジャケットを羽織って出かけたい場合には、ゴアテックス生地が外側についているものを選択するといいでしょう。
ダウンジャケットは水にぬれるとロフトが壊れてしまい、保温性を失ったり、羽毛の細い芯が外に出てきてしまったりします。
こうなるとダウンジャケットとしての本来の機能を失ってしまうわけですが、外側に水の侵入やダウン羽毛の逃げ出しを防ぐゴアテックス生地のようなシールドが付いているものであれば話は別です。
この考えのダウンジャケットは1980年からあるものなので、アウトドアメーカー各社がダウンだけで着られる商品をたくさん出しています。
このようにダウンも設計によって使い方も変わってくるので、是非ウエアーを選ぶ際には気を付けてみてください。
アウトレイヤー
現在ではウインドシェルとレインウエアを兼用するのが主流になっています。
ただ登山の場合にはトレイルランやファストパッキングとは異なり、
途中で休憩することがあり、その時に冷たい風が吹いてきた時には確実にガードしておきたいもの。
なのでウインドシェルよりも保温性が高く、防水性も高い
レインウエアを持っていた方が安心です。
シェルの厚さで選択するのがオススメ
アウトレイヤーはシェルの厚さによって選択するのが一般的です。
シェルというのは簡単に言うと
レインウエアーのタフさです。
例えばこれは冬場に私が使用しているTHE NORTH FACEのジャケットです。
12年間使用していますが全くヘタってきませんし、防水性もいまだに健在です。
この様にシェルが厚くて、岩場やピッケルが不可抗力でウエアーに当たっても破けることがありません。
組み合わせによってはスノーボードやスキーにも十分使えますし、本当にいい買い物をしました。
業界ではあまりにも一般的ですが、GORE-TEX(ゴアテックス)素材を使用しています。
このGORE-TEX(ゴアテックス)素材の登場以前は防水しつつ、湿気は通すという商品はありませんでした。
ゴアテックスメンブレンという1平方センチメートルに14億個もの微細な穴を持ち、この穴の特長は水蒸気は通すけれども、水は通さないというもの。
これが透湿性を持ちながらも、雨は通さないという機能を実現しているのです。
現在はGORE-TEX(ゴアテックス)のなかでも、シリアスな環境(登山や大雨でのモーターサイクルなど)ではなく、日常生活やトレーニングにフォーカスしたGORE-TEX INFINIUM(ゴアテックスインフィニアム)というラインナップも出ています。
道具を揃えたら実際に使ってみよう!
今回は登山に特化してレイヤリングを解説してみました。
代謝などは人によって様々ですので、是非山に入って自分で確認してみてください。
きっと自分に合うレイヤリングが見つかるはずです。
装備を無駄なく揃えたら山に出かけましょう!
上達してきたら以下記事の様なファストパッキングもおすすめです!
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