マラソンや長距離走に取り組んでいると、
・距離を踏めば速くなるのか?
・きつい練習をすれば記録は伸びるのか?
こういった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際には、長距離の走力は単純な要素で決まるものではありません。ダニエルズのランニングフォーミュラでは、走力は複数の能力の組み合わせによって決まるとされています。
この記事では、ダニエルズのランニングフォーミュラの考え方をもとに、「走力を決める6つの要素」とその役割についてわかりやすく解説していきます。
以下の動画でも今回の内容を解説しております。
なお、ダニエルズのランニングフォーミュラについては、YouTubeでも全体像を解説しています。まずは概要をつかみたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。
▶︎ ダニエルズのランニングフォーミュラとは?(全体解説)
トレーニングの意味を理解したい方や、伸び悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
ダニエルズのランニングフォーミュラでは走力をどう考えるのか
ダニエルズのランニングフォーミュラでは、走力は単一の能力で決まるものではなく、複数の要素が組み合わさって決まると考えられています。
多くのランナーは「心肺機能を上げれば速くなる」「スピードを上げれば記録が伸びる」といったように、1つの能力に注目しがちです。しかし実際の長距離パフォーマンスは、それほど単純ではありません。
例えば、
VO2maxが高いランナーでも、乳酸性作業閾値が低ければ速いペースを維持することができません。
またスピードがあっても、ランニングエコノミーが低ければ無駄なエネルギーを消費してしまい、結果として記録は伸びません。
このように、走力は
それぞれの能力がバランスよく機能することで初めて発揮されます。
そのためダニエルズの理論では、「どの能力を伸ばすか」だけでなく、「それぞれの能力に対して適切な刺激を与えること」が重視されています。
つまりトレーニングとは、やみくもに負荷をかけるものではなく、目的に応じて設計するものだという考え方です。
この視点を持つことで、トレーニングの意味が大きく変わります。ただ距離を踏む、ただきつい練習を行うといったやり方から、「今の練習は何を伸ばしているのか」を意識した取り組みへと変わっていきます。
この章で示されている考え方は、この後に出てくる心血管系や筋肉の適応、乳酸性作業閾値、VO2maxといった各要素を理解するための土台になります。
まずは「走力は複数の要素で決まる」という前提を押さえておくことが重要です。
走力を決める6つの要素とは
ダニエルズのランニングフォーミュラでは、長距離の走力は以下の6つの要素によって構成されるとされています。
・心血管系
・筋肉の働き
・乳酸性作業閾値
・VO2max
・スピード
・ランニングエコノミー
以上の6つです。
これらはそれぞれ独立した能力ではありますが、実際のパフォーマンスにおいては密接に関係し合っています。どれか1つだけを高めればよいというものではなく、それぞれをバランスよく引き上げていくことが重要になります。
ダニエルズ理論で一番大事なのは、「走力は1つの能力で決まらない」という考え方です。https://t.co/MznHW5M99X
心肺だけ強くてもダメだし、スタミナだけあっても速くはならない。実際の走力は、いくつもの能力が組み合わさって決まっています。
その要素がこれです👇
・心血管系
・筋肉の適応… pic.twitter.com/uEvdLghnvF— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) April 17, 2026
例えば、VO2maxが高くても、その能力を長時間維持できなければレースでは活かせません。またスピードがあっても、エネルギー効率が悪ければ後半で失速してしまいます。
このように、走力は単純な足し算ではなく、それぞれの要素がかみ合うことで発揮されるものです。
そしてもう一つ重要なのは、それぞれの要素に対して「適切なトレーニングが異なる」という点です。
低強度のランニングで伸びる能力もあれば、高強度のトレーニングでしか伸びない能力もあります。
つまり、トレーニングを組み立てる際には、「どの能力を狙っているのか」を明確にする必要があります。これがダニエルズ理論の大きな特徴です。
次のセクションでは、まずこの中でも土台となる「心血管系」と、それを最も効率よく鍛えることができるイージーランニングについて解説していきます。ここを理解することで、なぜ低強度のトレーニングが重要なのかが見えてきます。
ここまで解説してきた「走力がどのように作られるのか」については、YouTubeでも詳しく解説しています。
それぞれの要素がどのように関係しているのかをイメージで理解したい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。
▶︎ 走力が伸びる仕組み
心血管系とイージーランニングの関係
走力を構成する要素の中でも、まず土台となるのが心血管系の能力です。
これはシンプルに言えば
「どれだけ効率よく酸素を体に運べるか」という力です。
酸素は肺で取り込まれ、血液によって全身に運ばれ、最終的に筋肉でエネルギーとして使われます。
この一連の流れの中心にあるのが心臓の働きです。
心臓はポンプの役割を果たしており、血液を全身に送り出しています。このときの重要な指標が心拍出量で、これは「1回の拍動で送り出せる血液量」と「1分間の心拍数」の掛け算で決まります。
トレーニングを継続すると、このうち特に「1回で送り出せる血液量」が増えていきます。
つまり心臓そのものが強くなり、一度の拍動でより多くの血液を送り出せるようになります。
その結果、同じ運動をしていても心拍数をそこまで上げる必要がなくなり、安静時心拍数の低下や、同じペースでも楽に感じるといった変化が起こります。
ここで重要なのは、この適応は強度の高いトレーニングだけで起こるわけではないという点です。むしろ、長時間にわたって継続できる低〜中強度の運動によって引き出されます。
つまり、イージーランニングの役割は非常に大きいということです。
イージーランニングは一見すると負荷が低く、効果が薄いように感じるかもしれませんが、実際にはこの心血管系の土台を作るための最も重要なトレーニングです。
SAMURAI練習会35㎞
昨年の春は、マラソンシーズンが終わったタイミングで一度止まってしまいました。
そこで一度流れが切れてしまった感覚があります。ただ今期は違う。
シーズンが終わった今でも、距離を踏みながら5000mに向けた準備ができている。この違いはかなり大きいと感じています。… pic.twitter.com/6VPGReFCak
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) April 12, 2026
継続的に行うことで、心臓のポンプ機能が高まり、全身への酸素供給能力が底上げされていきます。
また、血液量そのものが増えることや、毛細血管の発達といった変化もこの領域で起こります。これにより、より効率的に酸素を運び、使える状態が整っていきます。
このように、心血管系の能力はすべてのトレーニングの土台になります。ここがしっかりしていない状態で強い刺激を入れても、十分な効果は得られません。
次のセクションでは、この土台の上でどのような変化が起きるのか、筋肉の適応について解説していきます。
ここでは「エネルギーをどう作るか」という視点が重要になります。
筋肉の適応で何が変わるのか
心血管系によって酸素を運ぶ力が高まったとしても、それだけで走力が上がるわけではありません。
運ばれてきた酸素を実際に使ってエネルギーを生み出すのは筋肉です。
つまり、最終的にパフォーマンスを左右するのは「筋肉がどれだけ効率よくエネルギーを作れるか」という点になります。
トレーニングを継続することで、筋肉の中ではさまざまな適応が起こります。
まず大きな変化として挙げられるのがミトコンドリアの増加です。
ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを生み出す役割を持っており、その数や働きが増えることで、同じ運動でもより効率よくエネルギーを作れるようになります。
結果として、疲れにくく、長く動き続けることができるようになります。
さらに、毛細血管の発達も重要な変化です。
毛細血管が増えることで、心臓から運ばれてきた酸素や栄養が筋肉の隅々まで行き渡りやすくなります。
「なぜ30km走なのか?」
20kmでもいいし、25kmでもいいはずなのに、なぜ30kmが基準になっているのか。
多くのランナーが「なんとなく」で取り入れているトレーニングだと思います。https://t.co/NbKnEi4N9Tただ、トレーニングは本来、目的から逆算して選ぶべきものです。… pic.twitter.com/az3z9Ogs8G
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) April 8, 2026
これにより、エネルギー供給がスムーズになり、持久的な運動能力が向上していきます。
また、エネルギーの使い方そのものも変わっていきます。トレーニングによって脂質をエネルギーとして使う能力が高まると、糖質の消費を抑えながら走ることができるようになります。
長距離においては糖質の枯渇が失速の大きな原因になるため、この適応は非常に重要です。
加えて、乳酸の処理能力も向上します。乳酸は単なる疲労物質ではなく、エネルギーとして再利用される物質でもあります。
トレーニングによってこの処理能力が高まることで、同じ強度でも乳酸が溜まりにくくなり、より長い時間運動を継続できるようになります。
これらの変化が積み重なることで、「同じペースなのに楽に感じる」という状態が生まれます。
つまり、走力が上がるというのは、単純に速く走れるようになる前に、まずは“楽に走れる能力”が高まることから始まるのです。
そしてここでも重要なのは、これらの適応は高強度のトレーニングだけで起こるものではないという点です。
むしろ中心になるのは、イージーランニングのような低強度の積み重ねです。長時間にわたって酸素を使い続ける環境を作ることで、ミトコンドリアや毛細血管の発達が促され、基礎的な能力が向上していきます。
この筋肉の適応は、心血管系と並んでトレーニングの土台となる部分です。
ここがしっかりしていることで、その後の閾値トレーニングやインターバルの効果も引き出されやすくなります。
次のセクションでは、この土台の上に積み上がる能力の一つである「乳酸性作業閾値」について解説していきます。ここでは「どのくらいの強度を維持できるか」という視点が重要になります。
乳酸性作業閾値とTペースの役割
ここまでで、心血管系や筋肉の適応といった土台の話をしてきましたが、その上に積み上がる重要な能力の一つが乳酸性作業閾値です。
乳酸性作業閾値とは、「どのくらいの強度までなら乳酸を急激にためずに走り続けられるか」というラインのことです。
言い換えると、「きつくなり始める一歩手前の強度」と考えると分かりやすいです。
この能力が高いランナーほど、速いペースでも余裕を持って走ることができます。
例えば同じVO2maxを持っているランナー同士でも、この閾値が高い方がレースでは明らかに有利になります。
なぜなら、より高い強度を維持できるからです。
長距離のレースは、最大能力をどれだけ出せるかではなく、「その何%をどれだけ長く使い続けられるか」で決まります。その意味で、この乳酸性作業閾値は非常に重要な指標になります。
この能力を高めるのが、いわゆるTペースのトレーニングです。
今回は
「春以降で差がつく」をテーマに、
冬のマラソンで結果を出すためのトレーニングについて解説しています。https://t.co/rqF3YtnMr7マラソンで最も記録が出やすいのは冬場です。
しかし、その冬にピークを持っていくためには、… pic.twitter.com/4KcJVoaI7T— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) March 20, 2026
Tペースとは、会話は難しいが完全に追い込むほどではない、持続可能なややきつい強度のことを指します。
この強度で一定時間走ることで、乳酸の生成と処理のバランスが改善され、より高いペースを維持できるようになります。
ここで重要なのは、「きつすぎないこと」です。多くのランナーはこのトレーニングをやや速く設定しすぎてしまい、結果としてインターバルに近い負荷になってしまうことがあります。
しかしそれでは目的が変わってしまい、閾値の向上にはつながりにくくなります。
適切な強度で行うことで、体は乳酸を効率よく処理する能力を高めていきます。
その結果、同じペースでも余裕を持って走れるようになり、レース後半の失速を防ぐことにもつながります。
また、乳酸濃度の数値には個人差があるため、「この数値が正解」というものはありません。
そのためダニエルズは、VDOTをベースにしたペース設定を推奨しています。これにより、自分にとって適切な強度でトレーニングを行うことが可能になります。
この乳酸性作業閾値は、心血管系や筋肉の適応といった土台の上に成り立つ能力です。そのため、基礎ができていない状態で無理に強度を上げても効果は限定的になります。
次のセクションでは、この閾値のさらに上に位置する能力である「VO2max」について解説していきます。
ここでは「どれだけの最大出力を持っているか」という視点が重要になります。
VO2maxはなぜ重要なのか
ここまでで、土台となる心血管系や筋肉の適応、そしてそれをどれだけ維持できるかを決める乳酸性作業閾値について見てきましたが、そのさらに上にあるのがVO2max、つまり最大酸素摂取量です。
VO2maxとは、体が1分間に取り込んで利用できる酸素の最大量を示す指標で、いわば「エンジンの大きさ」にあたります。
この数値が高いほど、より高い強度の運動を支えることができるようになります。
もう少し具体的に言うと、
VO2maxは「取り込む力」「運ぶ力」「使う力」の総合です。
肺で酸素を取り込み、心臓と血液で全身に運び、筋肉がそれをエネルギーとして利用する。この一連の流れの上限がVO2maxです。
ただしここで重要なのは、ダニエルズが繰り返し強調しているように、「VO2maxが高いだけでは速くならない」という点です。
今回のテーマは
「40過ぎても記録を伸ばす方法」です。https://t.co/Fb7JEAkmTD
年齢を重ねると
回復が遅くなったり、仕事が忙しくなったりして
「もう記録は伸びないのでは?」と感じる人も多いと思います。
私自身も40代に入ってから思うように結果が出ない時期がありました。… pic.twitter.com/ebptsAojnA
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) March 12, 2026
例えば同じVO2maxを持っているランナーが2人いたとしても、乳酸性作業閾値やランニングエコノミーが異なれば、レースの結果は大きく変わります。エンジンが大きくても、それを長時間使えなかったり、効率が悪ければ意味がありません。
つまりVO2maxはあくまで「最大出力」であり、それをどれだけ実際のレースで活かせるかは別の能力に依存します。
ではこのVO2maxをどのように高めるかというと、ここで重要になるのがインターバルトレーニングです。具体的には3〜5分程度の高強度の運動を繰り返すことで、体をVO2maxに近い状態で動かす時間を増やしていきます。
このトレーニングのポイントは、完全に追い込むことではなく、「高い酸素摂取状態をできるだけ長く維持すること」です。レストを短めに設定することで、次の運動に入るときも酸素摂取量が高い状態を保ちやすくなり、効率よく刺激を入れることができます。
こうしたトレーニングによって、心臓のポンプ機能や血液の運搬能力、筋肉の酸素利用能力がさらに引き上げられていきます。
ただしここでも重要なのは、このトレーニングはあくまで「上積み」であるという点です。心血管系や筋肉の土台ができていない状態で行っても、十分な効果は得られず、むしろ疲労だけが蓄積される可能性があります。
そのためダニエルズは、まずイージーランニングで基礎を作り、その上で閾値トレーニング、そしてVO2maxトレーニングを積み重ねていくという構造を重視しています。
次のセクションでは、このVO2maxとは異なる役割を持つ「スピード」と、走りの効率を決める「ランニングエコノミー」について解説していきます。ここでは「動きの質」と「無駄の少なさ」が重要なポイントになります。
スピードとランニングエコノミーの考え方
ここまでで、心血管系、筋肉の適応、乳酸性作業閾値、VO2maxといった能力について見てきましたが、最後に重要になるのがスピードとランニングエコノミーです。
この2つは一見すると別の要素に見えますが、実際には「動きの質」と「効率」に関わる重要な能力です。
まずスピードについてですが、ここは非常に誤解されやすいポイントです。多くのランナーは「速くなりたいなら速い練習を増やせばいい」と考えがちですが、ダニエルズはそれだけでは不十分だと説明しています。
長距離のレースにおいて重要なのは、単純な最高速度ではなく、「そのスピードをどれだけ維持できるか」です。
ゼッケンゲット!
てなわけで今回の動画では
マラソントレーニングにおいて多くの人が悩むテーマ「強度と反復、どちらが重要なのか?」
について、自分自身の実体験とこれまでのトレーニングの積み上げをもとにお話ししています。https://t.co/jJUpIRVSiv… pic.twitter.com/TP7NIaqdV5
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) February 28, 2026
どれだけ瞬間的に速く走れる能力があっても、それを数分しか維持できなければ、マラソンや長距離では意味がありません。
つまりスピードは、それ単体で価値があるというよりも、「他の能力と組み合わさって初めて活きる能力」です。
乳酸性作業閾値や有酸素能力が高いことで、初めてそのスピードをレースで使えるようになります。
ただしスピードトレーニングが不要というわけではありません。ここでのスピードの役割は、心肺機能を追い込むことではなく、「動きそのものの質を高めること」にあります。
速い動きを行うことで神経系が刺激され、筋肉の動員がスムーズになります。簡単に言えば、体の使い方が上手くなるということです。
その結果、無駄な動きが減り、同じペースでもより少ないエネルギーで走れるようになります。
この「効率」という視点で重要になるのが、ランニングエコノミーです。
ランニングエコノミーとは、同じスピードで走ったときにどれだけ少ないエネルギーで走れるかを示す指標です。
例えば同じペースで走っていても、酸素消費量が少ないランナーの方が効率よく走れているということになります。
この能力が高いほど、長距離において有利になります。なぜなら、同じペースでもエネルギー消費を抑えられるため、後半まで余力を残すことができるからです。
ランニングエコノミーはフォームや動きの無駄の少なさ、筋肉の使い方、さらには神経系の適応によって改善されます。
そのため、短い距離を高いスピードで走るレペティショントレーニングや、フォームを意識したドリルなどが有効になります。
ここで重要なのは、「追い込むこと」ではなく「良い動きを身につけること」です。無理にスピードを上げるのではなく、余裕を持った状態で速い動きを繰り返すことで、効率の良い走りが身についていきます。
このように、スピードとランニングエコノミーは、単純に速く走るための能力というよりも、「いかに無駄なく、効率よく走るか」を決める要素です。
次のセクションでは、ここまで見てきたすべての要素を踏まえて、ダニエルズ理論において最も重要とされる「土台作り」について解説していきます。
ここでは、なぜイージーランニングが全体のベースになるのかを整理していきます。
ダニエルズ理論で大切なのは土台作り
ここまで、心血管系、筋肉の適応、乳酸性作業閾値、VO2max、スピード、ランニングエコノミーと、走力を構成する6つの要素について見てきました。
これらを整理して見えてくるのは、すべての能力が独立しているわけではなく、土台の上に積み重なっているという構造です。
まず最も下にあるのが、心血管系や筋肉の適応といった有酸素的な能力です。この土台がしっかりしていることで、その上に乳酸性作業閾値が積み上がり、さらにその上にVO2maxやスピードといった能力が活きてきます。
逆に言えば、この土台が不十分な状態で高強度のトレーニングを増やしても、十分な効果は得られません。それどころか、疲労の蓄積や故障につながるリスクも高まります。
ダニエルズが一貫して強調しているのは、「まず土台を作ることの重要性」です。
その中心となるのがイージーランニングです。低強度で長く継続できるランニングによって、心臓のポンプ機能が高まり、血液の運搬能力が向上し、筋肉の中ではミトコンドリアや毛細血管が発達していきます。
こうした変化が積み重なることで、「楽に走れる能力」が高まり、その結果として走力が引き上げられていきます。
そしてこの土台ができているからこそ、Tペースのトレーニングによって乳酸性作業閾値が伸び、インターバルトレーニングによってVO2maxが高まり、スピードやランニングエコノミーも効果的に改善されていきます。
つまりトレーニングは、単に強度を上げていくものではなく、「土台の上に順番に積み上げていくもの」です。
この構造を理解することで、トレーニングの組み立て方は大きく変わります。ただきつい練習を増やすのではなく、「今どの段階にいるのか」「何を積み上げるべきか」を考えることが重要になります。
ダニエルズのランニングフォーミュラは、単なるトレーニングメニューの集まりではなく、このような考え方を提供してくれるものです。
走力が伸び悩んでいる場合、多くはこの土台の部分が不足していることが原因です。まずはここに立ち返り、基礎から積み上げていくことが、結果的に最短で走力を伸ばすことにつながります。
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