今回はマラソンにおけるカロリーの考え方について解説していこうと思います。
このカロリーについての考え方は前日の食事やレース当日の食事や補給に関わるところなので気になる方は多いのではないでしょうか?
フルマラソンは消費カロリーが非常に大きい競技です。
42.195kmを走る中で、体重や走力にもよりますが、2000〜3000kcal近くを消費すると言われています。
私もマラソンを走り終えてからGARMINの消費カロリーを見ると大体2500Kcalくらいです。
そのため多くのランナーは、ジェルでの補給は高カロリーの方がいい、エネルギー切れを起こさないことが最優先だと考えがちです。
実際、私自身も以前は同じように考えていました。
しかし現実には、カロリーをしっかり摂っているはずなのに、マラソン後半で失速してしまうことは少なくありません。
ジェルを計画通り摂っているのに脚が止まる、30kmを過ぎてから急に動かなくなる、そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんなマラソンとカロリーについて解説します。
具体的には皆さんが気になると思われる、
・マラソンスタートまでに体内にあるカロリー
・レース中に摂取するカロリー
この2つを分けて整理しながら、マラソンにおけるカロリーの考え方について掘り下げていきます。
マラソンスタート前に体内にあるカロリー
まずはマラソンスタート前に体内にあるカロリーについてです。
フルマラソンでは、トレーニングだけでなくカロリーの面でもスタートラインに立った時点ですでに勝負の大部分が決まっています。
人の体は、マラソン中に使うエネルギーの多くを、スタート前にすでに蓄えた状態で走り始めるからです。
https://twitter.com/AC71592310/status/1994609337235296352
もちろんレース中の補給も重要ですが、これらはゼロからエネルギーを作るものではなく、あくまでスタート時点のエネルギー状態を維持・調整する役割に過ぎません。
え?どういうこと?と思うかもしれませんので、
・マラソンで使われる主なエネルギー源
・前日の夕食と当日の朝食の役割の違い
・レースが始まってからのエネルギーの使われ方
・スタート時点のエネルギー状態が後半を左右する
という流れで順に解説して行こうと思います。
マラソンで使われる主なエネルギー源
まずマラソンで使われる主なエネルギー源についてですが、大きく分けて次の3つです。
・筋グリコーゲン
・肝グリコーゲン
・脂質
このうち、スタート前の食事内容が直接関係するのは、主に筋グリコーゲンと肝グリコーゲンです。
これらは体内に蓄えられる量に限りがあり、約2500Kcalほど貯蔵できるとされています。(筋グリコーゲンが筋肉量にもよります)どれだけ満たした状態でスタートできるかが重要になります。
ちなみにこれらのグリコーゲンは生命活動の燃料としても使われるので、マラソンだけに使うわけにはいきません。
実際に使用可能なのはこの貯蔵量よりも更に少ないということです。
よって、2500Kcal近く消費するマラソンであれば、糖質と脂質のハイブリッド燃料で走ることになります。
前日の夕食と当日の朝食の役割の違い
次に前日の夕食と当日の朝食の役割の違いについてです。
前日の夕食から当日の朝食にかけて摂取した炭水化物は、消化・吸収された後、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。
中でも前日の夕食は重要で、このタイミングは筋肉内にグリコーゲンを蓄える条件が整いやすく、
筋グリコーゲン量の大まかなベースがここで決まります。
前日に十分な炭水化物が摂れていない場合、スタート時点ですでにエネルギーが不足した状態になりやすく、後半で失速するリスクを高めてしまいます。
一方、当日の朝食で摂取した炭水化物は、主に前夜からの絶食によって減少した肝グリコーゲンを回復させる役割を担います。
これにより血糖が安定し、スタート直後から中盤にかけてのエネルギー供給を支えることになります。
つまり、
・前日の夕食は、エネルギーを体内に貯めるための食事
・当日の朝食は、スタート時点のエネルギー状態を整えるための食事
このような役割分担になります。
前日と当日の食事が重要であることはここからも分かるかと思います。
レースが始まってからのエネルギーの使われ方
レースが始まると、まず使われるのは筋グリコーゲンと肝グリコーゲンです。
ペースが速いほど、グリコーゲンへの依存度は高くなります。
一方で、脂質も同時にエネルギー源として使われていますが、その割合は走力や強度、日頃のトレーニング状態によって大きく変わります。
グリコーゲンは貯蔵量が限られているため、レースが進むにつれて徐々に減少していくのですが、この減少をいかに緩やかにできるか、そして脂質をどれだけうまく使えるかが、マラソン後半の走りを大きく左右します。
スタート時点のエネルギー状態が後半を左右する
レース中にいくら補給をしても、スタート時点でグリコーゲンが十分に満たされていなければ、後半で失速するリスクは高くなります。
補給が間に合わない、吸収が追いつかないといった問題が起きやすくなるためです。
逆に、スタート時点でしっかりとエネルギーが蓄えられていれば、レース中の補給は枯渇を防ぐための調整で済みます。
マラソンは、走り出してからエネルギーを作る競技ではありません。
走る前にどれだけ準備できているかが、後半の走りを大きく左右する競技です。
マラソン中に摂取するカロリーの役割
スタート前に体内のエネルギーを整えたうえで、次に考えるべきなのがマラソン中の補給です。
ただし、ここで大切なのは「レース中の補給でエネルギーを満たす」という考え方ではありません。
マラソン中に摂取するカロリーは、新たにエネルギーを大量に作り出すためのものではなく、スタート前に蓄えたエネルギーをできるだけ枯渇させないための調整役として機能します。
以前私はジェルを選ぶにあたってはどうしても栄養成分地に表記されているカロリーを摂取することに重点を置いていました。
私の周りでもそう思っている方は多いのですが、確かに多くのカロリーを商品するマラソンを走るにあたってはその気持ちはよく分かります。
記事では
・レース中の補給でできること、できないこと
・「高カロリーの方が安心では?」という疑問について
・カロリーは「多さ」ではなく「適量」で考える
・マラソン中の補給の本当の目的
に分けて解説していきます。
レース中の補給でできること、できないこと
レース中の補給でできることとできないことを知っておくことは重要です。
レース中に摂取した糖質は、すぐに筋グリコーゲンとして蓄え直されるわけではありません。
主な役割は、
・血糖として直接利用される
・肝グリコーゲンの消耗を抑える
・筋グリコーゲンの減少を間接的に緩やかにする
といった点にあります。
つまり、レース中の補給は「減っていくエネルギーを完全に補う」ものではなく、あくまで「減り方をコントロールする」ためのものです。
以前の私はここが理解できておらず、ジェルの栄養成分表示ばかりを見てしまっていました。
「高カロリーの方が安心では?」という疑問について
ここまで読むと、
どれでも高カロリーのものを選んだ方がいいのでは?
と感じる人もいるかもしれません。
確かに、
カロリーの数字だけを見れば、高い方が多くのエネルギーを摂取できているように感じます。
明日はレースだが、今回は2時間47分台では確実に走りたいところ。
週末のロングラン(SAMURAI練習会)に加えて、ペース走やインターバルの頻度をけっこう意識してきた。
ちょっと負荷落としてその分多めにやるっていう感じです。
それに加えて、レース前になんとなく効果があると感じたLSDです。… pic.twitter.com/DLJtbeGUTK
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) December 6, 2025
私自身、高いカロリーのジェルを取っても結果的にエネルギー切れを起こしたりすることがよくありその考えが変わりました。
マラソン中に重要なのは、どれだけ摂ったかではなく、
摂取したエネルギー源をどれだけ使えたかです。
それにはどれだけ消化吸収ができたかが大きなポイントになります。
マラソン中は消化吸収能力が大きく低下し、一度に処理できる糖質量には限界があります。
処理できる量を超えたカロリーは、
・胃に滞留する
・吸収が追いつかない
・エネルギーとして使われない
結果として、摂ったつもりでも走りには反映されません。
つまり高いカロリーであることだけが正解ではないということです。
そう考えるとベストパフォーマンスを出すための摂取戦略も変わってきますよね?
カロリーは「多さ」ではなく「適量」で考える
レース中の補給では、できるだけ多くのカロリーを摂ることよりも、その時点で体が処理できる量に合わせることが重要になります。
高カロリーの補給が向いている場面もありますが、常に高カロリーである必要はありません。
長時間走り続けるマラソンでは、
吸収できる量を安定してとること
が最後までエネルギー切れなく走り切るコツです。
先に解説したように、前日からスタート前に摂った食事が結果的にエネルギーにすべて変えて走れることが理想なのです。
そのためにはジェルなどでの戦略的な補給が重要になるということです。
マラソン中の補給の本当の目的
マラソン中の補給の目的は、エネルギーを満たすことではありません。
・血糖を大きく下げない
・グリコーゲンの消耗を緩やかにする
・後半まで走れる状態を維持する
これらにより、体内に蓄積されたエネルギーをしっかり使うようにするということです。
つまり補給とは、走りを崩さないためのサポートと考えればいいでしょう。
スタート前に作ったエネルギーの土台がしっかりしていれば、レース中の補給は過剰である必要はなく、調整としてシンプルに機能します。
マラソン中の補給は主役ではありません。
主役はあくまで、スタート前に整えた体内のエネルギー状態です。
今日は城沼で#samurai練習会 30km走!
気温も下がってきて走りやすく、多くのランナーと一緒に走れて刺激になりました。
みんな9月なのにすごい!例年この時期はロングランばかりになりがちですが、今期は方針を少し変えています。
・マラソンペース以上のトレーニングを増やす。… pic.twitter.com/AObd90GYh9
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) September 23, 2025
なぜ高カロリー補給でも後半に失速するのか
次に、レース中に高カロリーの補給食を摂取しても失速してしまう理由について解説します。
ポイントとしては
・摂取カロリーと利用できるエネルギーは一致しない
・マラソン中は消化吸収能力が低下する
・血糖の乱れが後半の走りを崩す
・高カロリー補給が脂質代謝を妨げる場合もある
ということです。
以下記事で解説していきます。
摂取カロリーと利用できるエネルギーは一致しない
まずコレですが、先に解説したように、走りながら摂取したカロリーが全てエネルギーに変換されるわけではないということです。
マラソンでは、カロリーをしっかり摂っているにもかかわらず、後半で失速してしまうケースが少なくありません。
この現象は、カロリー不足というよりも、
摂取したカロリーをエネルギーとして利用できていないことが原因となっている場合が多くあります。
https://twitter.com/AC71592310/status/1954458240798072941
前日までにたくさん食べたのにレース当日にエネルギー不足を感じる方はここがうまくいっていない可能性があります。
マラソン中は消化吸収能力が低下する
次にマラソン中は消化吸収能力が低下するという事です。
マラソン中は、筋肉への血流が優先されるために消化管への血流は大きく制限されます。
その結果、胃腸の働きは安静時よりも低下してしまうのです。
この状態で高カロリーの補給を行うと、胃の中に内容物が滞留しやすくなり、吸収が追いつかなくなります。
摂取したカロリーが必要なタイミングで血糖として利用されず、結果として走りに反映されないという状況が起こりやすくなります。
カロリーを摂っているつもりでも、体が処理できなければ意味を持tないというのはこういうことなのです。
血糖の乱れが後半の走りを崩す
次に注意したいのが結党の乱れが走りに影響するということです。
高カロリーの補給を一度に行うと、血糖値が急激に変動することがあります。
いわゆる「インスリンショック」というもので、血糖が急上昇したあとに急低下すると、脚が重く感じたり、集中力が落ちたりといった影響が出やすくなります。
これらの変化は、後半にペースを維持できなくなる感覚として現れ、失速につながります。
問題はエネルギー量そのものではなく、エネルギー供給が不安定になることにあります。
高カロリー補給が脂質代謝を妨げる場合もある
次に高カロリー補給が脂質代謝を妨げる場合もあるということです。
マラソンのような長時間競技では、糖質だけでなく脂質も重要なエネルギー源になります。
しかし、高濃度の糖質補給を繰り返すことで、その脂質代謝がうまく働きにくくなる場合があります。
その結果、糖質への依存度が高まり、グリコーゲンの消耗が早まりやすくなり、後半にエネルギーを維持できなくなり、失速につながるケースも見られます。
マラソン後半で起こる失速の多くは、単純なカロリー不足ではありません。エネルギーを安定して使い続けられる状態が崩れてしまうことが、本質的な原因です。
以上の理由から、カロリーの数字を増やすだけでは解決にならず、補給の質やタイミング、そしてスタート前の準備が重要になるということは何となく分かっていただけたかと思います。
マラソンにおける補給は、エネルギーを満たすためではなく、走りを崩さないためのものだと考える必要があります。
カロリーの数字に振り回されない補給の考え方
ここまで、マラソンにおけるカロリーの役割について整理してきました。
フルマラソンでは多くのカロリーを消費しますが、それは「多く摂ればいい」という話ではありません。
繰り返しになりますが、マラソンで重要なのは、摂取したカロリーの総量ではなく、
エネルギーを安定して使い続けられる状態を作れるかどうかです。
カロリーの数字は目安にはなりますが、それだけで補給の良し悪しが決まるわけではありません。
レース中は消化吸収能力が低下し、一度に処理できるエネルギー量には限界があります。
そのため、高カロリーの補給を重ねても、体が処理できなければエネルギーとして使われず、結果的に走りを崩す原因になってしまいます。
補給を考える際は、まず「どれだけカロリーを摂るか」ではなく、「どのタイミングで、どれくらいなら処理できるか」という視点を持つことが大切です。
レース中の補給は、エネルギーを満たすためのものではなく、血糖を安定させ、グリコーゲンの消耗を緩やかにし、後半まで走れる状態を維持するためのものです。
スタート前に体内のエネルギー状態が整っていれば、レース中の補給は過剰である必要はありません。
少量を分けて、無理なく吸収できる形で補給していくことで、結果的にエネルギー状態を安定させることができます。
また、補給は単体で考えるものではなく、日頃のトレーニングや食事とも深く関わっています。
脂質を使える体を作るトレーニングを積み重ねていれば、糖質に過度に依存することなく、後半まで安定した走りを維持しやすくなります。
マラソンの補給は、数字を追いかけるものではありません。
自分の体がどれくらい処理できるのか、どの状態なら安定して走れるのかを理解し、それに合わせて補給を組み立てていくことが大切です。
カロリーの数字に振り回されず、自分の走りを崩さないための補給を考える。
それが、マラソンを最後まで走り切るための、現実的で再現性の高い考え方だと思います。
まとめ
フルマラソンは2000〜3000kcal近くを消費する、非常にエネルギー消費の大きい競技です。
そのため、補給は高カロリーの方がいい、エネルギー切れを起こさないことが最優先だと考えがちです。
しかし、マラソンにおいて重要なのは、摂取したカロリーの量そのものではありません。
本当に大切なのは、エネルギーを安定して使い続けられる状態を作れているかどうかです。
マラソンでは、スタート前に体内に蓄えたエネルギーが土台となり、レース中の補給はその土台を崩さないための調整として機能します。
いくらレース中に補給を重ねても、スタート時点の準備が不十分であれば、後半で失速するリスクは高くなります。
また、レース中は消化吸収能力が低下するため、高カロリーの補給を重ねても、それがそのままエネルギーとして使われるとは限りません。
一度に処理できる量を超えた補給は、かえって走りを不安定にしてしまうこともあります。
マラソン中の補給は、エネルギーを満たすためのものではなく、血糖を安定させ、グリコーゲンの消耗を緩やかにし、後半まで走れる状態を維持するためのものです。
カロリーの数字に振り回されるのではなく、自分の体が処理できる量やタイミングを意識して補給を考えることが大切です。
マラソンは、走りながらエネルギーを作る競技ではありません。
走る前にどれだけ準備できているか、そしてレース中にその状態をどれだけ安定して維持できるかが、後半の走りを大きく左右します。
今回の記事で整理した考え方を土台に、自分に合った補給の組み立て方を考えるヒントにしてもらえたらと思います。
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