盛り上がりを見せた東京オリンピックでしたが、今回のマラソンはこれまで以上に注目が集まりました。
特に男子マラソンは大迫選手の影響もあり、かなり注目されていましたね。
陸上経験者であればマラソンの日本代表選手を挙げることは出来ますが、日頃ランニングをしない方であれば、マラソンの日本代表選手を挙げろと言われても分からなかったのではないでしょうか?
今回注目された大迫選手は、2度にわたるマラソン日本記録更新など実に素晴らしい活躍をしてきました。
そこに至るまでのプロセスも印象的で、米国での武者修行だけでなく、独自のトレーニング環境を作って選手を集めるなど、これまでの日本のマラソン界にはない活躍を見せてきました。
日本陸連の報奨金1億円のニュースも何だか夢のある話でしたよね。
そんな大迫選手が「大迫傑のRunning Note」という書籍を出版しました。
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本書には大迫選手のオリンピックレース当日から約半年前からのトレーニング内容から行動、感じたことなどが記録されています。
私自身購入して読んでみましたが、非常に参考になりましたし、書籍として面白かったです。
本記事ではその感想について書いてみたいと思います。
「大迫傑のRunning Note」は以下の方にオススメです。
・マラソンのトレーニングについてヒントを得たい
・重要な場面で結果を出したい
以下で解説して行きます。
トレーニング参考書としての「大迫傑のRunning Note」
ランナーの方であれば、大迫選手が米国でどの様なトレーニングをしてきたのか気になると思います。
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私も大迫選手がどんなトレーニングをしていたのか気になっていました。
大迫選手と言えば世界レベルの選手とスピード練習をしたり、長距離選手離れしたウエイトトレーニング、ケニアでの走り込みなどが印象的です。
しかもその様子を自身のYouTubeで発信しており、刺激を得た方は多かったと思います。
そんな方からすると、本書がトレーニングの参考書として使えるかどうか気になると思いますが、実際かなり参考になります。
私なんてトレーニングの参考書として購入したくらいです。
トレーニング内容として私が興味深かったのは以下の4点です。
・日々のトレーニング内容
・低酸素トレーニングについての知見
・ウエイトトレーニングについての知見
・ポイント練習の強弱
以下記事でそれぞれの内容について解説していきます。
大迫選手の日々のトレーニングの内容について
本書では具体的なトレーニング内容はシークレットとされていますが、時々設定を書いてくれていることがあります。
記録を狙うランナーのバイブルと言えば、「ダニエルズのランニングフォーミュラ」が浮かびますが、本書はそういった具体的な指標が書かれた本ではありません。
タイトルの通り、一部秘密の大迫選手の練習日誌といったところです。
よってトレーニングの設定は分からずとも、大迫選手のトレーニングで走った距離やインターバルの本数から大体の負荷や頻度を想像する必要があります。
フルマラソンを2時間5分台で走る選手が、どういった内容や頻度のトレーニングをしているのかを垣間見ることができるので非常に参考になるかと思います。
これまではトップ選手の具体的なトレーニング方法を学ぶには「ランニングタフ」などの書籍を参考にしていましたが、本書も読み解けばそれに近い使い方が出来ると感じました。
また、大迫選手自身が本書でそのトレーニングをどういった位置づけで行っているのかをコメントしています。
そのコメントからも大迫選手の持ちタイムから本人がどの程度の余裕度で行っているのかも何となく予想できかると思います。
例えばロングランひとつを例にしても「ジョグの延長上のロングラン」など、トレーニングの負荷や目的が書かれているので、トレーニングの入れ方などがトップランナー以外にも参考になるのだと感じます。
トレーニングはその設定に対して自分がどれだけの余裕度でこなしたかによって効果は変わってきます。
よって、本書をトレーニングバイブルとして生かすにはある程度仮説を立てて自身のトレーニングを組み立てることが重要です。
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大迫選手の低酸素トレーニングの内容について
最近市民ランナーの間で流行しているのが低酸素トレーニングです。
ただ、低酸素トレーニングについての知見はまだ少なく、実際にパフォーマンスを向上させるにあたってどの程度の頻度や負荷で行うべきか分からない方は多いのではないでしょうか?
私も低酸素トレーニングを導入しておりますが、最も効率的な設定で出来ているのかまだ分からないところがあります。
本書では低酸素トレーニングについて、大迫選手が専門家と蓄積してきた貴重な知見が書かれていますのでむちゃくちゃ勉強になります。
低酸素トレーニングのメリットだけでなく、デメリットについても書かれているので、低酸素トレーニングをMAXで活用したい人にはかなりおすすめできます。
具体的には低酸素トレーニングをどの程度の負荷で行うべきか、SPO2の数値はどの程度を目安にトレーニングすべきかなどが書かれています。
また、1週間にどれだけ低酸素トレーニングを入れるべきかなど、トレーニングしてからパフォーマンスが向上する時間についても書かれているので、自分が目標とするレースに合わせて低酸素トレーニングをどういったスケジュールで入れるべきかの指標を立てる際にも役立てることが出来ます。
大迫選手のウエイトトレーニングについて
大迫選手と言えばマラソンランナーでありながらウエイトトレーニングにも力を入れている印象があります。
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日本の実業団や駅伝部でもウエイトトレーニングは日常的に行われていますが、テレビで見るオレゴンプロジェクトの特集では選手がけっこうな重量のウエイトトレーニングをしている姿を見ます。
大迫選手の活躍を見たランナーの方もウエイトトレーニングの必要性を感じて取り組む方は増えたのではないでしょうか?
本書では大迫選手が行ってきたウエイトトレーニングについて、大迫選手の考え方が書かれています。
詳細なメニューは書かれていませんが、ウエイトトレーニングを入れるに当たっての注意点や入れるタイミングなどについて書かれています。
日々のトレーニングにウエイトトレーニングは必要だなと感じさせられるもので、私が勉強しているトレーナーとしての勉強の理にもかなっているものでした。
武井壮さんも大迫選手とトレーニングについて話をしたことがあったらしいのですが、基本的なトレーニング原理に基づいた内容ではある様です。
以前、アメリカのオレゴンプロジェクトに行った大迫傑選手に『何が凄いの?技術とか理論とか?』と聞いてみたら『日本と何も変わりませんよ』と答えた
『え?そうなの??』と聞くと
『特別ではなく、シンプルに速く、たくさん走るから速く長い距離走れるようになる』と答えた
これ以上ない答えだった— 武井壮 (@sosotakei) August 22, 2021
自己ブランド確立の参考書としての「大迫傑のRunning Note」
最近は多くのアスリートが自分の意思を発信する時代になりました。
自分自身を商品として売り出すことで、アスリートとしての付加価値を得るためです。
陸上競技選手でも例外ではありませんが、大迫選手は多くを発信して自分のブランドを確立してきた選手です。
そんな大迫選手は走ること以外にもやらなくてはならないことが実に多かったことが本書から読み取ることができます。
読んでいて本当に大変そうだな、、と感じます。よくこれだけのタスクや新しい試みをしながら日本記録を更新する様なトレーニングを積んでいたよなと感心します。
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しかし、大迫選手が最終的に陸上界をリードしていくと最初から考えていたのであれば、日本記録更新や活躍できる選手を輩出する環境造りは例え忙しくても両方必要なことだったのでしょう。
大迫選手が自分の夢に向かってどの様に課題をクリアし、モチベーションを維持していたのかをリアルに知ることができる本でした。
まとめ
今回は「大迫傑のRunning Note」を紹介いたしました。
冒頭でも書きましたが、ランナーのトレーニング参考書としても、何かの目標に向かって頑張る人にもオススメできる本です。
しかも大迫選手の具体的な取り組みや苦悩がリアルに描かれているので、読みやすいですし勇気を与えられます。
まだ読まれていない方は是非読んでみてください。
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