HOKAから登場したRocket X Trail(ロケットXトレイル)は、カーボンプレートを搭載したトレイルランニングシューズです。
ロードではカーボンプレートを搭載したシューズが当たり前になっていますが、トレイルでは路面の変化が大きく、ロードと同じように「カーボン=速い」と単純には言えません。
特にトレイルランニングでは、林道のようにスピードを出しやすい区間もあれば、急な登りや下り、岩場などのテクニカルな区間もあります。
そのためRocket X Trailが気になっている人の中には、
「実際にトレイルで履くと速いのか?」
「どんなコースに向いているのか?」
「ロード区間でも走りやすいのか?」
「普通のトレイルランニングシューズと何が違うのか?」
と気になっている人も多いと思います。
私自身、普段からロードランニングとトレイルランニングの両方を走っており、Rocket X Trailについても実際にロードとトレイルの両方で使用してきました。
この記事では、Rocket X Trailを実際に履いて感じた走行感を中心に、メリット・デメリットやどんなランナー、コースに向いているのかを詳しくレビューしていきます。
| 著者:千坂 充宏(SAMURAIGEL開発者) マラソンと並行してトレイルランニングに取り組み、ショートからロングレースまで幅広く出場しています。 主なレース実績 ・比叡山インターナショナルトレイルラン 50mile 6位 ・富士登山競走 山頂コース 3時間21分 ・各務原アルプストレイルランニングレース 優勝 ・別府大分毎日マラソン 2時間46分48秒 YouTube|マウンテンランニング研究所 |
HOKA Rocket X Trail(ロケットXトレイル)とは?
Rocket X Trail(ロケットXトレイル)は、HOKAから登場したスピードを重視したトレイルランニングシューズです。
大きな特徴となるのが、ロードのレーシングシューズを思わせる構造です。

ミッドソールには反発性を重視したA-TPUスーパーフォームを採用し、さらにH型のカーボンファイバープレートを搭載しています。
一般的なロード用カーボンシューズとは異なり、トレイルでは路面が常に一定ではありません。
そのためRocket X Trailでは、推進力を得ながら変化する路面にも対応できるよう、H型のカーボンプレートが採用されています。
アウトソールについても、深いラグで悪路への対応力を高めるというより、3mmの比較的短いラグを採用。林道やグラベル、比較的走りやすいトレイルでスピードを出すことを意識した設計となっています。
つまりRocket X Trailは、あらゆる山を走るための万能なトレイルランニングシューズというよりも、「走れるトレイルで速く走る」ことに重点を置いたレーシングモデルと考えると分かりやすいでしょう。
Rocket X Trailをトレイルランニングで履いた感想
Rocket X Trailを実際にトレイルで履いてみて、最も特徴を感じたのは林道や比較的走りやすいトレイルでの走行感です。
一般的なトレイルランニングシューズは、グリップ力や安定性を重視していることもあり、ロード用のレーシングシューズと比べると反発感は控えめです。
Rocket X Trailはその感覚がかなり違いました。

特に林道でペースを上げたときには、ロードのカーボンシューズを履いているような反発感があり、接地してから前へ進む感覚をしっかり感じます。
一方で、単純に硬いカーボンプレートを入れて反発を高めているわけではありません。
Rocket X TrailにはH型のカーボンプレートが搭載されており、この構造がトレイルの凹凸に対してサスペンションのように働く感覚があります。
ロードのように路面が一定ではないトレイルでは、石や木の根などによって左右の足の接地位置や角度が変わります。H型のプレートによって左右がある程度独立して動くことで、カーボンによる反発を得ながら、不整地にも対応しやすくなっています。
実際に走ってみても、ロード用のカーボンシューズをそのままトレイル仕様にしたというより、トレイルの路面変化に対応しながら、ロードシューズに近い反発を得られるようにしたシューズという印象を受けました。
ただし、Rocket X Trailが最も真価を発揮するのは、岩場や木の根が連続するようなテクニカルなコースではないと思います。
林道や緩やかなアップダウン、比較的路面が整ったトレイルなど、しっかり走れる区間でペースを上げたときに、このシューズの反発と推進力を活かしやすいと感じました。

そのため、どんなトレイルでも使える万能なシューズというより、走れる区間が多いコースでスピードを活かしたいランナーに向いたトレイルランニングシューズだと思います。
Rocket X Trailについては、YouTubeでも実際にトレイルを走りながらレビューしています。文章だけでは分かりにくい実際の走行シーンも紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
また、以下の記事は2026年の「志賀高原100」の40㎞の部でロケットXトレイルを履いた時の記事です。
この日は雨で路面がかなりウエットで走りにくい状況でしたが、その分このシューズの真価が発揮されるレースとなりました。
Rocket X Trailをロードで走った感想
Rocket X Trailはトレイルランニングシューズですが、実際にロードでも走ってみました。
ロードを走って感じたのは、ロード用の厚底レーシングシューズのような強い反発があるわけではないものの、トレイルランニングシューズとしてはかなりスピードを出しやすいということです。
最近のロード用カーボンシューズと比較すると反発感や推進力には差がありますが、厚底レーシングシューズが登場し始めた頃のモデルと比較すれば、ロードでも十分に走れる感覚があります。
実際にこの日は、ロードで4分/kmを少し切るくらいのマラソンレースペースでも走ってみましたが、ペースを上げても大きな走りにくさはなく、しっかり走ることができました。
一般的なトレイルランニングシューズでは、ロードでペースを上げると接地の重さやラグによる走りにくさを感じることがあります。その点、Rocket X Trailはトレイルランニングシューズの中では圧倒的にロードシューズに近い感覚があります。
今回は、「夏にキレを維持する重要性」についてお話しします。https://t.co/tqoSXHJAf7
夏は走り込みの時期と言われますが、1500mに挑戦したことで一つ大きな気付きがありました。… pic.twitter.com/04fkrHnpRO
— ヒロ|マウンテンランニング研究所 (@AC71592310) July 29, 2026
ただし、Rocket X Trailをロードシューズとして評価するのは少し違うと思います。
このシューズの良さはロードだけを速く走れることではなく、ロードや林道ではある程度スピードを出すことができ、そのままトレイルに入っても対応できるバランスの良さにあります。
ロード、林道、トレイルと路面が変化するコースを一足で走ったときに、Rocket X Trailの特徴をより感じやすいと思います。
Rocket X Trailのメリット・デメリット
Rocket X Trailをロードとトレイルの両方で使用して感じたメリット・デメリットを整理します。
Rocket X Trailのメリット
最大のメリットは、トレイルランニングシューズでありながら、ロードのレーシングシューズに近い反発や推進力を感じられることです。
特に林道や比較的走りやすいトレイルではペースを上げやすく、ロード区間に入ってもトレイルランニングシューズ特有の走りにくさを感じにくいです。
また、H型のカーボンプレートによって、単純に反発を高めるだけではなく、路面の凹凸に合わせて左右が動きやすい構造になっています。
そのため、ロードのカーボンシューズのような走行感を持ちながら、不整地にも対応できる点はRocket X Trailならではのメリットだと感じました。
ロードや林道、比較的走りやすいトレイルが混在するコースでは、シューズを履き替えることなくスピードを活かせるのも大きな強みです。
以下の動画はこのロケットXトレイルを履いて志賀高原100の40㎞の部を走った時の動画ですが、その様子が分かるかと思います。
Rocket X Trailのデメリット
Rocket X Trailの大きなデメリットとして挙げられるのが、
35,000円という価格の高さです。
近年はロードのカーボンシューズも価格が上がっていますが、トレイルランニングシューズとして考えても決して購入しやすい価格ではありません。
特にRocket X Trailは、どんなトレイルでも使える万能なシューズというより、林道や比較的走りやすいトレイルなど、スピードを出せるコースで強みを発揮するシューズです。
そのため、普段のトレーニングから一足ですべてをこなしたい人にとっては、35,000円という価格は大きなデメリットになると思います。
また、アウトソールのラグは3mmと比較的浅く、泥濘や滑りやすい路面、岩や木の根が連続するテクニカルなコースでは、Rocket X Trailの反発や推進力を活かしにくい場面もあります。
一方で、ロードや林道、比較的走りやすいトレイルが多く、スピードを出せるレースでタイムや順位を狙うのであれば、このシューズの性能を活かしやすくなります。
35,000円という価格に対して、自分が走るコースでRocket X Trailの性能を活かせるかどうかは、購入前に考えておきたいポイントです。
Rocket X Trailがおすすめな人・おすすめしない人
Rocket X Trailは、すべてのトレイルランナーにおすすめできるシューズというより、走れるトレイルでスピードを活かしたいランナーに向いているシューズだと思います。
特におすすめしたいのは、
ロードランニングの経験があり、ロードで培った走力をトレイルでも活かしたい人です。
林道や緩やかなアップダウン、ロード区間などが多いコースでは、Rocket X Trailの反発や推進力を活かしやすくなります。トレイルレースでも完走を目指すだけでなく、タイムや順位を狙って積極的に走りたい人とは相性がいいでしょう。
一方で、岩場や木の根、急な登り下りが連続するテクニカルなコースを中心に走る人には、Rocket X Trailの特徴を十分に活かせない可能性があります。
また、価格は35,000円と高いため、普段のトレーニングからレースまで一足ですべてをこなしたい人よりも、コースによってシューズを使い分け、走れるレースで勝負するための一足を探している人に向いていると思います。
Rocket X Trailは「高性能だからどんな山でも速い」というシューズではありません。
自分が走るレースのコースを確認し、走れる区間が多いのであれば有力な選択肢になるシューズだと思います。
まとめ
Rocket X Trailは、H型のカーボンプレートを搭載した、スピードを重視したトレイルランニングシューズです。
実際にロードとトレイルの両方で走ってみましたが、特に特徴を感じたのは、林道や比較的走りやすいトレイルでした。
トレイルランニングシューズでありながら、ロードのレーシングシューズに近い反発を感じることができ、ペースを上げたときにはスムーズに前へ進んでいきます。また、H型のカーボンプレートがサスペンションのような役割を果たすことで、路面の変化にも対応しやすくなっています。
一方で、Rocket X Trailはテクニカルなコースへの対応力を最優先したシューズではありません。また、35,000円という価格も決して安くなく、誰にでもおすすめできるシューズではないと思います。
その分、林道やロード、比較的走りやすいトレイルが多いコースでは、Rocket X Trailの反発や推進力を活かしやすくなります。
ロードの走力をトレイルでも活かしたい人や、走れるトレイルレースでタイムや順位を狙いたい人にとって、非常に面白い選択肢になるシューズだと思います。
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